第四章 宴の真相、神葬の剣 2 ―三つ巴戦①―
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最高の月夜である。不穏な曇天なのが、とても良い。
今にも雨が降ってきそうだ。
降水確率は四十パーセントである。雨が降れば、それは『神の涙』となるのだろうか。
一比古は最終ステージとなる本館の屋上で、全ての招待客を俯瞰していた。
多機能スコープとして機能するゴーグルには、マンション内にセッティングしてあるカメラからの映像が投影されている。網膜上で疑似立体映像に変換されていた。
ほくそ笑む一比古。
満足かつ自慢できる光景。まさに選りすぐりの――贄達だ。
「ご覧になっているかな? 我がマスターよ」
参加者全ての参集を確認できた。欠席者はゼロだ。
一比古はルールの説明を配信した。
まずは基本ルールだ。
●スマートフォンはナビゲートアプリ以外の起動を禁止する。
●アプリでマンション内のマップを表示できる。
●アプリで半径三十メートル以内の参加者を検索できる。
●参加者を検索可能であるがランキング表示されるのは10位以内のみ。
●遭遇した場合、登録すればマーキングが可能となる。
●トイレ中の襲撃は不可とする。
●同じく食事中の襲撃も不可とする。
●トイレは各部屋内のものを利用する事。便所以外での排泄は禁止とする。
●食事および水分補給は、マップを検索して補給ポイントに移動する事。
●食事および補給水に毒を仕込むのは禁止とする。
●トイレ時間は一度に十分以内とし、それ以上は失格となる。
●食事とトイレは最低、一時間以上の間隔をとる事。
次に戦闘についてだ。
●予選はバトルロイヤル形式をとる。
●基本的にはワンONワンとする。
●奇襲と不意打ちは可だが、全ての状況はワンONワンに倣う。
●建造物の構造や備え付けの道具を利用するのは可とする。
●トイレに逃げ込んだ場合は失格とする。
●複数対複数の団体戦や乱戦は不可とする。
●一対多数は一人側が了承していれば成立する。
●必ずしも決着まで戦う必要はない。
●殺害は不可とする。
●策略も含めた実力以外での『不当な勝利』は発覚時、無効かつ失格とする。
最後にイベントの勝者になる条件だ。
●制限時間は夜明け前とする。
●予選突破=決勝ステージに進む為には、最低でも三勝は必要とする。
●ランキング上位三名(2位、3位、4位)が決勝ステージに到達できる。
●イベント開始から、ランキングは純粋な入れ替え戦となる。
●脱落者が出た時点で、ランキングは繰り上がる。
●敗北=脱落ではない。戦闘可能ならば何度負けてもリトライを可とする。
●十勝以上かつランキング4位以内で、決勝ステージ進出が確定となる。
●三名の確定者が出た時点で、予選のバトルロイヤルは終了となる。
●決勝ステージでのルールは未公開とする。
ルールは以上である。
疑問点と不明点を質問タイムとしてアプリを通じて募った。
幾つかの細かい点に回答して、全参加者からルールの受諾を確認した。忘れずに、エクストラ・ルールとして、確保した美濃輪里央に危害を加える事を厳禁しておく。あの巻き込まれた少女を不幸にする意図はない。もっとも結果的に不幸な思いを味わうかもしれないが。
準備は整った。役者も揃った。ようやくイベント名を明かそう。
この屋上は祭壇なのだ。
決勝ステージが始まる頃には、待望のランキング1位が光臨するはずである。
その時、MKという二文字が秘める真の意味が明かされる。
光葉のMと一比古のKではない真実が。
果たして予選を勝ち残った2位、3位、4位の三名でランキング1位を――
一比古は宣言した。
「では現時刻を以て、MKランキング初イベント……
――『ラグナロク』、スタートだ」
最後に、優勝賞金が三億円になると発表された。
イベント名称『ラグナロク』の開幕と同時に、マンション内が全点灯した。
美濃輪里央争奪杯の関係で、直前にMKランキング登録者が跳ね上がった。当初は四十名定員の予定だったが百名以上まで増員した。その百名を超える参加者達が一斉に動き出す。
戦え、戦え、場所は存分に広いのだ。そして邪魔は入らないのだから。
モニタ越しで観戦しているのは一比古だけではない。この『ラグナロク』観戦料金二万円を支払っている全世界の特別会員達も、一人の例外もなく興奮しているだろう。
(もっとも金なんて、大した問題じゃないがね)
勃発したバトルロイヤルに、一比古はゴーグルの奥の瞳を愉快そうに細めた。
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…
真っ先に動いたのは、ランキング2位――黒壊闇好であった。
闇好は近場にいた三名に挑み、その三名は闇好からの一対三勝負を受けた。互いに戦略なしの出会い頭だ。闇好は三名をKOし、更にその三名は戦線復帰不能のダメージを負って、あえなくリタイアとなる。
瞬殺劇だった。
目撃していた者はマーカーに[ 黒壊闇好 ]と登録して、一斉に逃げ出した。その情報は闇好を避けたい者に伝達していき、ごく短時間でローカルネットワーク化したのである。
2位の闇好はスタートダッシュで三勝し、決勝確定まで残り七勝となったが、他の参加者は無意味な四勝目の献上を避けたのだ。ルール上は逃げても、不戦敗にはならない。勝負(試合)としてはノーカウント(ノーコンテスト)扱いで、再戦の時まで保留されるのだ。
これもバトルロイヤルにおける一つの戦略である。
現在地は西棟の十四階。
移動しても、近くのマーカーが距離をとる展開に、闇好は渋面だ。
「ぶぅ~~。逃げんなよぉ。つまんない、つまんないぃ」
「しょうがないって、闇好ちゃん。まだイベントは始まったばかりだし」
なにしろ優勝すれば非課税で三億円だ。
誰もが目の色を変えて、戦略を練ってくるだろう。
「里央ちん。私は十勝したからって予選を一抜けする気なんてさらさらないんだけどね」
最低ラインの三勝は確保している。このまま時間切れでも、闇好は決勝ステージに進める。
しかし、そんな事は闇好には関係ない。闇好は時間一杯まで全ての敵を狩るつもりだ。細かい事など考えない。ただ、ひたすらに敵を求めて、倒すのみ。
「やっぱり、楽しいから?」
「だけじゃないよ、里央ちん。私には必要だから」
「必要?」
「うん。一戦でも多く……ね」
約三十分が経過した。
参加者の大半が、二戦以上を消化し、約一割が戦線復帰を放棄して脱落している。その反面、上位のランキングに大きな変動はなかった。一時のランキング激動期を経て、再び上位ランク者が固定化傾向にあった。それに入れ替わり戦なので、下位の実力者が上位のランキングを奪うのには、従来以上の苦労を強いられる。一比古が実力と話題性に応じたマッチメークしてくれないのだから。
しかし、ついに。
『お知らせします♪ 10位以内のランキングが入れ替わりましたっ』
弾むような口調で、ナビゲートアプリのキャラクターが報告してきた。
全アクティブ参加者への強制通知だ。
内容を確認して、闇好は里央にスマホ画面を見せる。
「来たよ、堂桜エレナが。期待通りにね」
「エレナさんが!?」
7位だったエレナが4位を撃破して、両者のランキングが入れ替わっている。その元4位はダメージが深刻で戦線復帰不能(脱落)、ランキングから抹消だ。現7位以下のランキングは、前8位以下が全員繰り上がりとなった。そしてエレナの勝ち星は五勝である。ハイペースで勝ち星を重ねている。ここから先は、相応の実力者しか真正面から彼女に挑まないだろう。
決勝ステージ圏内に、エレナが颯爽と躍り出た。
だたしエレナはダークホースではない。実力と知名度的には前評判通りの展開といえよう。
エレナの現在地は何処だろうか。
里央が言った。
「ねえ、闇好ちゃん。エレナさんだったら闇好ちゃんから逃げないと思うよ?」
「確かにね」
挑発めいた里央の言葉を、闇好は冷静に受け流した。
「だけど堂桜エレナは里央ちんの奪回を主目的にしているから。このままこっちから出向くなんて面白くないよ。むしろ堂桜エレナが相手だったら、私が逃げた方が面白い展開かな? ふふふ。簡単に里央ちんの期待通りにはいかないから」
再度の通知が来た。
今度はオルタナティヴであった。6位だった彼女は、ランキングを一つ上げて5位になった。勝ち星は四勝だ。これで2位~4位にリタイヤ者が出れば、決勝ステージ圏内になる。
最初の内は様子見の傾向が強かった上位ランカーが能動的に動き出していた。確実に十勝してから、トップ4に挑んでランキングを奪えば、その時点で予選を抜けられるのだ。五勝以上稼いでいる者が増え始めていた。
反対に、開幕速攻で三勝を挙げた闇好は、完全に停滞している。
闇好はマンション内を進んでいく。
襲いかかる獲物を求めるが、その歩みは孤独なままだ。
まるで仲間外れである。
他者のマーカーが露骨に逃げる中、しかし二つのマーカーが動かない。交戦中なのか、あるいは……
突如として、ハナ子が甲高く鳴いた。
天井に【魔方陣】が出現して、其処へハナ子が送還されていく。その光景に里央は動揺しなかった。闇好も同じで、かつ納得顔になる。
「なるほど。片方は分かったかな」
「先に行くね、闇好ちゃん!」
里央が駆け出すのを、闇好はあえて止めずに、里央の一歩後ろを付いていく。いざとなれば《ダークネス・スモーク》で捕縛するのは簡単だ。
階を二つあがる。里央は鈍足だ。闇好は走る必要がなかった。
そして最南西に位置する3LDKの住戸へ二人は入った。
マーカーが示す男達が対峙している。片方は予想通りの青年――ハナ子を【使い魔】として召還した戦闘系魔術師だ。
リングネームは羽賀地岳琉(本名:白陽院麗人)。
飼い主の里央から離れて、本来の主である岳琉の元に戻ったハナ子は、戦闘系魔術師の【基本形態】として起動している。氷のオーラによる巨大な双翼を纏う鷲。【使い魔】のハナ子が在るべき、真の姿ともいえるだろう。
岳琉に相対している男は、異色にして謎の参加者である。
彼に付けられた異名は《スキルキャスター》。
其の名は芝祓ムサシだ。
現在のランキングは、岳琉が7位でムサシが9位となっている。
双方、里央と闇好の乱入に気が付いた。
明らかに戦闘中だ。
岳琉が里央に声を掛ける。
「よう。コイツを片づけてから迎えに行くつもりだったが、お前の方から来るとはな、里央」
「えへへ。助けられに来たよ、岳琉くん」
ムサシに随伴している此花が声を弾ませる。
「やったよムサシちゃん! 美濃輪里央にランキング2位まで一気にゲットできる!!」
此花の声を無視し、ムサシが岳琉に掛かっていく。
岳琉も応戦するが、ハナ子が変化している【基本形態】――《アイスウィング・イーグル》を使わなかった。ムサシが対ロイド戦で披露した古流の格闘技能《打芸》に対して、自衛隊が開発している軍隊格闘技をベースにした立ち技で対抗する。
変則的な古流武術と効率的な近代戦闘法の激突だ。
今回のバトルロイヤルは、閉鎖空間である室内戦闘がベースとなるので、ロングレンジでの砲撃戦にもっていきにくいのだ。必然的にミドルレンジからクロスレンジがメインになる。
唾を飛ばしながら口汚く罵るムサシ。
「ふざけてんのかよ、テメエッ。せっかくベースの【使い魔】を本命にチェンジさせてやったんだから、さっさと本気の戦闘用魔術を見せやがれ!」
ドン、ドン、ドン、ゴォっ!!
ムサシの連撃が冴える。
無意識下で相手にフェイントと誤認させる打撃と打撃の繋ぎ、それがムサシの《打芸》の妙にして神髄である。岳琉はその《打芸》が魅せる『幻のフェイント』を克服できず、ほぼ一方的に攻撃を受けていた。
だが、防戦を強いられても、ダメージ的には余裕を残している。
ある意味では、無理に反撃にはいかない堅実な試合運びだ。岳琉は己の強みを充分に理解しており、それを前面に押し出している。
闇好が呆れ半分で感嘆した。
「頑丈頑丈。結構いいの貰っているのに、見た目以上に打たれ強いなぁ、あのタンクゴリラ」
「た、タンクゴリラって。老け顔はともかく、あんまりな言い様だよ」
「いや。老け顔の方が酷いと思う」
ムサシの上段後ろ回し蹴りが唸りをあげる。
両腕でガードを固めて、岳琉は回し蹴りを受け止めた。
「おぉゥおおオラぁぁあああァ!」
ムサシが吠えた。
ぐぅオォッ。今度はさらに回転を継続しての、前回し蹴りに繋げるムサシ。
円心力を生かした二連発の大技に、岳琉のガードが崩されて、頭部に足の甲がヒットした。
「た、岳琉くんっ」
流石に効いたか。大きくグラついた岳琉に、里央が血相を変える。
ベロリ、と舌なめずりした闇好は、額に上げていた漆黒の狐面を被ると、ムサシと岳琉の両者めがけて躍り出た。
二人の戦闘に水を差すのは無粋とは分かっていても、我慢できなくなったのだ。
「ち、ちぃ~~ッスぅ!! 一対二で失礼するッス!」
二人同時に相手にするという宣戦布告である。
次の瞬間。
岳琉の攻撃魔術が闇好を迎撃にいく。
ハナ子の氷翼はためきから発生する氷弾群だ。
しかし闇好は余裕で対処する。彼女の魔術オペレーション技術をもってすれば、セオリーに過ぎない戦闘用魔術の運用など――
《アイスウィング・イーグル》が里央を奪取した。
電脳世界での魔術サーチに意識を持っていかせて、【基本形態】であるハナ子に『里央を』奇襲させるという作戦である。それだけではない。岳琉は自身の魔術制御下から完全にハナ子を切り離して、独立での判断を許していた。【使い魔】強化型の最大の特徴にしてメリットである。岳琉は分離を悟らせない為に、ダミーの制御プログラムまで空実行していた。
ただし魔術幻像タイプの遠隔行動とは異なり、【基本形態】として独立する代償として、ハナ子は自身の魔力のみで《アイスウィング・イーグル》を維持しなければならない。主である岳琉からの魔力供給がリンケージと共にカットされてしまうからだ。
意図を理解した里央は、大人しく身を任せる。
ハナ子が里央を隣のフロアに運んでいく。このまま逃げるつもりだ。
別の部屋に入ると同時に、ドアごと壁を凍らせてしまった。
「しまったッ」
失態を理解した闇好は、里央を取り戻そうと《ダークネス・スモーク》を『闇の猟犬』形態に変化させた。こうしている間にも、岳琉はムサシの打撃技に晒されている。
自分を捨て石にしてでも、里央を逃がす作戦だ。
一瞬の判断だ。里央の追跡と奪回を《ダークネス・ハウンド》に任せ、闇好は魔術なしのまま、岳琉とムサシを倒しにいく。
ムサシと闇好が交戦に入ったタイミングで、今度は岳琉が退いた。
二人は岳琉に掛かっていかない。彼の目論見通りに、二人は協調しなかった。
闇好対ムサシに構図が変わる。
背中を見せての逃走でなければ、二人は岳琉よりも眼前の互いを優先して戦闘する。
その隙に、岳琉は仕掛けを作った。
仕掛けのタネは、背中のリュックサックに入れていた爆弾だ。床に特注品であるプラスティック爆薬を素早く配置したのである。信管を差し込む手際は、訓練を重ねたプロの技術だ。
あらかじめ鉄筋コンクリ製の床一面を抜くのに適した発破量に調整してあった。戦闘中という条件下で爆弾を利用しての落下は、一比古にレギュレーション内だと確認を取ってある。ただし、直接的に爆弾で対象を狙う罠は反則だ。上から相手に天井を落とすのもだ。
魔術による床の崩壊ならば、電脳世界の魔術サーチで事前に悟られただろう。逆に言えば、戦闘系魔術師は魔術サーチによる超視界と超時間軸に頼り過ぎの傾向がある。自衛官の岳琉はその事をよく知っており、そしてそれを利用したのだ。
闇好とムサシが揃って岳琉の不穏な動きに警戒した――が、もう遅い。
どどおぉんンッ!!
地震めいた爆発音と共に、床一面が大きく崩落していく。
乱戦状態の三人と此花は、下の階に落下した。
岳琉は里央とハナ子を逃がした上で、なおかつ闇好とムサシを引き離したのである。あわよくば、床が破断したコンクリ片に巻き込まれてくれ……と。
粉塵が舞う中、岳琉は状況を確認する。
「やってくれるじゃねえかぁぁああ!!」
怒りの怒鳴り声と共に、ムサシが瓦礫の中から起きあがってきた。
どうやら此花を庇って屋根代わりになっていた様子だ。外傷こそ目立たないが、爆発と落下の衝撃で、此花は半ば呆然自失になっている。
「あのチビを逃がす為に、俺を利用しやがったな」
その通りであった。ハナ子とのリンクで、里央の位置は把握できていた。加えて、開幕速攻の三名瞬殺で、闇好のマーカーも入手できた。ならば闇好の性格を織り込んだ罠を仕掛けるのが道理である。
闇好の分かり易い性格も相まって、誘い込むのは岳琉にとって容易であった。
「まさか、まさかこの私が里央ちんを奪われるなんて……ッ!」
闇好も無事だ。
追跡させていた《ダークネス・ハウンド》を強制遮断して、【基本形態】による『闇の煙』でコーティングして身を守っていた。魔術現象は物理現象を上回るのだ。
「汚い真似を。そんなにまでして、二千万円が欲しいかなぁ。優勝賞金は破格の三億なのに」
岳琉が言った。
「金の問題じゃねえよ、クソガキ」
「戦闘用魔術を放棄してまで守る価値があのチビにあるのか? テメエに何のメリットがあるってんだ」
「メリット? 自衛官である俺に愚問だな」
「ハ。真っ当な公僕気取りかよ。利己主義バリバリの【ソーサラー】のくせしやがって」
出し惜しみは止めだ……と、ムサシが《ステータス・オープン》と唱えた。
その言葉と同時に、MMORPG風のステータス・ウィンドウがムサシの前に出現する。淡く輝く立体映像だ。ムサシはそのウィンドウを指先でタッチ操作して、とある〔スキル〕を選んで起動させた。
その操作に呼応して顕現したのは――
――《アイスウィング・イーグル》に酷似した【基本形態】モドキである。
ただしベースは岳琉とは違い【使い魔】ではない。
野生の鳶だ。それも死骸を利用しているではないか。
この死骸は【魔方陣】から召喚していた。このネクロマンサー的な死骸の召喚は、他の戦闘系魔術師から〔ラーニング〕していたものである。【使い魔】を持たない為の代替〔スキル〕だ。
「くくくくッ。どうだァ? 俺が〔ラーニング〕したテメエの魔術は」
ムサシが岳琉を挑発する。
岳琉との魔術戦闘で、すでにムサシは岳琉のオリジナル戦闘用魔術を〔ラーニング〕および〔スキル〕化してストックしていた。これがムサシの異名《スキルキャスター》の所以であり、彼が誇る戦闘特性だ。
ここから先は〔スキル〕全開だとムサシが嗤う。
里央は離脱した。此花が見守る。
闇好、岳琉、ムサシの三つ巴戦が、いよいよ激化する――
注記)なお、このページ内に記載されているテキストや画像を、複製および無断転載する事を禁止させて頂きます。紹介記事やレビュー等における引用のみ許可です。
本作品は、暴力・虐め・性犯罪・殺人・不正行為・不義不貞・未成年の喫煙と飲酒といった反社会的行為、および非人道的、非倫理思想を推奨するものではありません。また、本作品に登場する人物・団体などは現実とは無関係のフィクションです。