アニメを斬る!

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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第6部(第26話)

第二章  スキルキャスター 12 ―エレナVS闇好―

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         12

 ランキング2位とランキング7位。上位ランカー同士による魔術戦闘の開幕だ。
 私闘であり公式戦ではないが、すぐに光葉一比古の情報網にに把捉されて、正式なランキング戦扱いになるだろう。
 互いの【基本形態】が立ち上がる。
 エレナは《アクトレス・レッドウィング》を起動完了。
 そして、対する闇好は――
 彼女の専用【DVIS】が魔力を注がれて煌々と紅い光を灯す。宝玉が埋め込まれているのは、黒い高級万年筆だ。それを見せつける様に眼前に翳して、ペン回しを披露した後、闇好は胸ポケットに差し込んだ。
 闇が発生した。
 正確には、闇めいた黒い煙である。闇好はスカートの中に仕込んでいる煙球を炊いたのだ。
 魔術師御用達の特殊な煙である。
 この黒煙が闇好の使用エレメントによって魔術現象と化す。
 漆黒の魔術煙をオーラのごとく纏った闇好。
 昨晩に観たMKランキングの公式戦配信で、エレナもすでに知っている。

 これが黒壊闇好の【基本形態】――《ダークネス・スモーク》だ。

 使用エレメントは特殊エレメントに分類される両儀の片方――【闇】である。
 しかし【闇】のみでは事象化しての顕現が難しい。よって煙を媒介として【闇】を操作するのが、《ダークネス・スモーク》の魔術特性だ。
 闇好が言った。
「ちぃィ~~ッスっ! これが私の【基本形態】だよ」
「ええ。知っているわ。貴女の《ダークネス・スモーク》。シンプルだけど手強そうだわ」
 失神している里央に【闇】が伸びて、寝袋の様にスッポリと覆う。
 小さな破裂音が幾つか鳴った。
「ハイ、終わりだ。発信機器は全て壊したから」
 平日の昼下がりとはいえ――、ギャラリーが増えてきている。数名の警察官も遠巻きに見ていた。当然、通報はあったのだろうし、事件性の有無を確認しているのだ。
(光葉一比古と堂桜の根回しがあるから、警察関係はどうでもいいとして……)
 まさか白昼堂々、公衆の面前で魔術戦闘をする羽目になるとは。
 このまま里央を奪われれば、赤っ恥である。

「――《ヒート・ハンマー》」

 先制攻撃だ。エレナの【ワード】で、《アクトレス・レッドウィング》が動く。
 展開された両翼から羽毛群を射出。その羽毛群が巨大なハンマーを形成して、頭上に掲げられている《アクトレス・レッドウィング》の両手に収まった。
 ハンマーによる豪快なスウィングが闇好に襲いかかる。
 闇好は後方に飛び退いて、《ヒート・ハンマー》を躱した。
 エレナは二撃目の《ヒート・ハンマー》にはいかずに、闇好に向かって疾駆する。
 同時に、《アクトレス・レッドウィング》が里央を確保に前進した。
 狙い通りに、里央から闇好を引き離した。

「――《ダークネス・ハウンド》」

 その【ワード】で《ダークネス・スモーク》が『闇の猟犬』を象る。
 里央を咥えた『闇の猟犬』が《アクトレス・レッドウィング》から逃げた。逃げる――が、術者である闇好からは一定の距離をキープしていた。【基本形態】として使役する『闇の猟犬』――つまり【ゴーレム】や魔術幻像ではないので、逃げるだけで精一杯といった様子だ。
 この『闇の猟犬』は配信されていた試合映像にはなかった、初見の派生魔術であったが、エレナにとっては問題ではない。とりあえず電脳世界の【ベース・ウィンドウ】で、魔術現象としてロックオンしておく。超視界で常に認識するのだ。
(そう……。問題ないわ)
 これでいい。闇好と【基本形態】の切り離しには成功した。

 ならば――近接格闘で真っ向勝負にいって、力ずくでねじ伏せるッ!!

 闇好も下がらずに前に出てきた。怯んだ気配はない。
 それも織り込み済みだ。相手の戦闘スタイルは把握している。自分と噛み合うタイプだ。
 長身のエレナと、一五〇センチに届かない身長の闇好。
 エレナはリーチ差を最大限に生かして、遠間からテコンドーの蹴り技を繰り出す。
 基本的に、三撃のコンビネーションだ。
 ワンで意図的に空振りして相手の体勢を誘導する。ツーで誘導した体勢を崩しにいく。そして本命のスリーで強打を狙うのだ。その三連撃を、パターンを変化させながら繰り返す。
 まさしく蹴りで行うボクシング。
 その見事さは一種の芸術といえるだろう。
 ぅぉぉぉおおおおおぉおおおおおぉッ!!
 ギャラリーが沸きに沸く。大歓声だ。日頃は一般人に迷惑がられ、忌避される戦闘系魔術師ソーサラーであるが、ここまで見物人が増えると集団心理から恐怖よりも安心感が上回る。
 そして歓声を受けているのは、エレナだけではない。
 エレナの蹴りをアクロバティックに躱し続ける闇好の防御に対しての歓声も多かった。
(問題ない……わ)
 クリーンヒットを奪えなくとも、慌てたり焦る展開ではない。
 闇好の近接格闘能力が、自分と五分だと昨晩の時点で結論している。予定調和だ。
「いい蹴り技だ。でも、もう慣れたかな」
 余裕たっぷりな一言を残し――闇好の姿が掻き消えた。
 いや、正確には消えたのではなく、消えたと錯覚させる程の低空タックルに来ている。
 タイミングといい、角度といい、低さといい、文句の付けようがない。
「これなら例のバックハンドブローは無理でしょ」
 蹴りの間合いから侵入されて、懐を許すエレナ――であるが。
(問題ない……わ)
 快心のタイミングで迎撃にいく。そう来るのは読んでいた。

 天空から振り下ろされるかの様な――豪快なチョッピング・ライトである。

 手札はカウンターのバックハンドブローだけではない。
 そしてこのパターンはエレナの十八番だ。
 通常ならば、タックルにパンチで迎撃などリスキーに過ぎるが、エレナはこの右を得意としているのだ。どんなタックルだろうが、確実に上からのカウンターで頭部を捉えてみせる。
 体重が乗って加速した打ち下ろしの右が、闇好の後頭部に炸裂する――刹那。
 ぐるん。闇好がタックルを急停止する。下を向いていた体勢から半回転して上を向く。
 そのまま上からの右拳を両手で包む込むようにキャッチする。
「残念。正確に頭を狙い過ぎだね。見なくても受けられる」
 拳を支点に、闇好がエレナの手首を捻り込む。
 チョッピング・ライトを掴まれたと理解した瞬間、エレナの身体は高々と宙に舞っていた。
 投げられたのではなく、自分から飛んだかのように感じた。
 どんな手品だ――と、驚愕に大きく目を見開くエレナ。
 闇好が古流武術をベースとした近接格闘を得意としているのは、配信されている試合映像から瞭然ではあったのだが、まさかこの堂桜エレナを投げ飛ばす程の技前とは。
 合気の一種である。エレナを投げた反動を利して、背中を地面にバウンドさせた闇好が跳ね起きる。間髪入れずに、空中で自由を失っているエレナへ決着となる打撃を決めに――
(問題ない……わ)

「――《ヒート・レーザー》ッ!!」

 キィィィンィ!
 両翼を展開した《アクトレス・レッドウィング》から熱線が発射された。
 羽一枚一枚からのエネルギーが《アクトレス・レッドウィング》の胸前に集中して、そこから一条のレーザービームとして撃たれたのである。
 ギュィンッ! 着弾までのタイムラグ0に等しい熱線攻撃が、一瞬で闇好に伸びる――が。
 電脳世界の【ベース・ウィンドウ】に発生した警告で魔術攻撃を感知した闇好が、未来予測めいた動きで、レーザービームを回避した。
 魔力を帯びた者との近接格闘戦とは異なり、純粋な魔術攻撃ならば、【基本形態】によって意識内に展開している電脳世界の超次元的なタイムスケジュールでの処理が可能となる故だ。
 ロックオンしてのビーム照射では、先にロックオンを感知されてしまうので、電脳世界の超視界ではなく自身の視界で撃ったのだが、通用しなかったか。
(里央は?)
 着地を決めて、エレナは真っ先に里央の場所を確認する。
 魔術的にロックオンして超視界で認識しているポイント――《ダークネス・ハウンド》に捉えられたまま、里央は闇好側に戻されていた。抜け目ない、はなく当然だ。やはり大ポカをする程、甘い相手ではないか。
 ギャン! キュオンッ! 二撃、三撃とエレナは《ヒート・レーザー》を撃つ。
 当たらない。忌々しい事に、躱す闇好を里央から引き離せない。
「やはり直線攻撃では厳しいわね」
 完全にレーザーの射線と着弾点を演算されて先読みされている。
 ロングレンジ攻撃が通用しにくい相手だとは分かっていたが、ここまでとは……
 闇好が狐面の奥で、呵々大笑した。

「ずっこい!! ズルイ狡い、ずるっこいってばぁ! その【基本形態】、名前と外観は同じでも、使用エレメントは【金属(メタル)】じゃなくて【熱】じゃないのさ!!」

 バレたか、とエレナは内心で舌を出す。
 本当は最後まで騙しきりたかったのだが、相手が強いので仕方がなかった。
 一人の魔術師が生涯で研究できるエレメントは、一つか、多くて二つと云われている。
 例外的に多数のエレメントを研究する天才を超えた超天才もいる。他にはエージェント魔術師の様に、規格化されたエレメント理論とカスタマイズ用のベース【基本形態】を、自身にアジャスト(改良)させて複数、操るケースもある。しかし、カスタム版の戦闘用魔術は、純粋な【ソーサラー】のオリジナル魔術よりも性能面では劣る。
 ほとんどの魔術師は、二つ以上のエレメントを研究・理論開発していても、メインの【基本形態】は一つで、残りはサブとして格落ちするのが普通なのだ。

 けれどエレナは【熱】と【金属】という二つのエレメントを、一つの【基本形態】――つまり鋳型において【熱】ヴァージョンと【金属】ヴァージョンという違った形式で操れる。

 つまりメインとサブという格差がない。
 そして使用エレメントを欺ける。故に――アクトレス(女優)を名前に冠しているのだ。
 闇好の文句(クレーム)は止まらない。
 むろんエレナの熱線も続いているが、全て避けられている。
「それに名前も詐称だよ! それだったら女優じゃなくて詐欺師って付けるべきだ!!」
「あら、魔術戦闘における女優って、対戦相手を手玉に取る詐欺師なのよ?」
「詭弁だよ、詭弁! この嘘つき!」
 そろそろだ。闇好は《ヒート・レーザー》の軌道演算と回避行動にリソースを取られている。
 キュゥオゥぅ!! 出力を上げた《ヒート・レーザー》を《ダークネス・ハウンド》に撃つ。
 命中した。やはり魔術師本体よりも警戒と防御が甘い。
 胴体を貫いたが、決定打には至らない。ダメージを与えただろうが、《ダークネス・ハウンド》は里央を咥えたままである。
(問題ない……わ)
 ダメージを与えた一瞬で充分だ。ほんの瞬時でも《ダークネス・スモーク》の魔術オペレーションにノイズを加えられれば――

「――《ヒート・ハンマー》」

 本命の一撃が唸りをあげる。照準は《ダークネス・ハウンド》だ。
 作戦通り。戦闘プランとして、闇好をKOするよりも【基本形態】の破壊を狙っていた。
 闇好を倒すよりも里央の奪回が優先という事もある。

「――《ダークネス・シールド》」

 闇好の【ワード】で『闇の猟犬』が『闇の円楯』へと形状を変化させた。
 ゴゴン!! 激突する【熱】と【闇】の魔術。
 全力だ。エレナは魔術出力を上げていく。魔術密度もハンマーの打撃面に集中していく。
 相手の防御――魔術理論の強度・密度を破壊するのだ。
 これはHEAT弾の原理を応用した【金属】ヴァージョンの《ヒート・ハンマー》ではない。
 純粋に魔術的な【熱】を相手にぶつけるシンプルな『熱(ヒート)』ハンマーなのだ。

 相手の防御がどんな魔術現象だろうが、【熱】によって蒸発させてみせる。

 じゅぅぅぅぅぅ――……
 圧倒的な【熱】を受けた《ダークネス・シールド》が蒸発して消えていく――が。
 蒸発させられた【闇】が、次から次へと『闇の円楯』の背面へと回り込んで、防御面を再生していた。【闇】が循環しているのである。
「ちぃ~~ッス! 凄いパワーだけど、私に通用するには、ちょっと捻りが足りないかな」
「なるほど。見事な防御魔術ね」
 エレナは《アクトレス・レッドウィング》を下がらせた。
 相性が悪い。闇好の【闇】には【金属】ヴァージョンの【基本形態】の方が有効だ。
 防御面の魔術効果からプログラム解析した結果――HEAT弾を模した《ヒート・ハンマー》ならば《ダークネス・シールド》を突破できる。
 隙を見つけて【魔導機術】を再起動する。

「長引くかな、これは。この魔術戦闘はここで勝敗を次に預ける事を提案するよ」

 失神している里央の喉を握って、闇好はエレナを牽制した。
 休戦の申し出に、エレナは首を横に振る。
「里央を置いていくのなら、その申し出を受け入れるわ」
「ノンノン。それはダメだよ。私と里央ちんはネット繋がりとはいえ、以前からの友達だからね。大切な友達を浚った悪女の手から取り戻すのは、正義の友達の役目なんだよ」
「里央は私にとっても大切な友人なのよ。たとえ以前からの友人であっても、こんなカタチで里央を奪おうとする輩に引き渡せないわね」
「後付けの友達設定だなんて、誰が信じるかなぁ?」
「私の事情に里央を巻き込んだのは悪いと思っている。だからこそ、できるならば最後まで私が里央を守り通す。このMKランキングの件が終わるまで」
 自分勝手は百も承知だ。自分勝手だからこそ、筋を通すのである。
「MKランキング? 私は体よく利用しているだけ。なんか里央ちんって世界的に話題を集めているし、別段、意味はなくとも宝物的に扱えそうで、面白そうだよね?」
 そこで一息ついて、闇好が宣言した。
「いい事を思い付いた! MKランキングのイベント内容とは別に、イベントで最後に里央ちんを確保していた者には、この私が特別ボーナスとして二千万円を贈呈するよ」
 貯金――『なるぞ小説』書籍化作品三シリーズの印税で支払うから、と付け加える。
「だから二千万円が欲しい人は、こぞってイベント開始前にMKランキングに参加してね」
 ギリぃ……、とエレナは奥歯を噛み締めた。
「私が言えた義理じゃないけれど、そうやってアジテージする狙いは、なに?」
「イベントで私に勝てたら教えてあげる。その時に、里央ちんを取り戻せばいいよ」
 いいや、逃がさない。相手の理屈に乗る理由がエレナにはないのだ。
 闇好は里央を確保しての逃走を謀っている。喉を握って牽制しているが、完全にブラフ(ハッタリ)だ。よって逃げに入ったタイミングを狙えば――

「――互いの本気は次にしようってば。ね?」

 エレナは薄く笑う。
「へえ? 今まで手抜きをしていたって事かしら」
「披露していい手札の中でなら、かなり本気だったかな。強いよ、堂桜エレナ。でも手抜きはそっちも同じでしょう。互いの本気モードならば短期決戦になると思う。だけど、こんな場所で『堂桜』一族の戦闘系魔術師としての真価――封印解除をする気はあるのかなぁ?」
 封印解除を知っているのか。
 堂桜一族のみの特権を。『ノーマルユーザー』ではなく『スーパーユーザー』認証での魔術の行使である。潜在する魔力総量と意識容量をフル活用する為に、堂桜専用の軌道衛星【ラグナローク】にアクセスして、割り当てられる演算領域を拡張するのだ。
「世界一のスーパーモデルERENAが戦闘系魔術師ソーサラーだった、というだけじゃない。エレナはエレナでも貴女は『堂桜』エレナだもんね。実は全然、本気じゃないんでしょう?」
 否定はしない。エレナの本気は、【基本形態】の真のフォームは、まだ見せていないのだ。
 エレナは闇好に確認する。
「貴女も本気じゃない、隠している手札があるって言ったわよね?」
「うん。どう本気になるのかは、ご想像に任せるけど」

 この女――まさか【エレメントマスター】か。

 堂桜一族の封印解除とは似て非なる拡張魔術――その使い手を【エレメントマスター】と呼ぶのである。【魔導機術】システムのセーフティの穴を突く方法だ。単一エレメントに臨界点以上の魔力を注入する事によって、システムエラーを回避する為の手段として、システム側に演算領域を強制拡張させるのだ。
(ここで手札を全て晒すのは得策ではない……わね)
 エレナの目的はMKランキングを制する事ではない。あくまで主催者の光葉一比古だ。
 この場で黒壊闇好を撃破して里央を取り戻しても、今後の展開が辛くなる。
 ビジネスライクに判断すると、オルタナティヴと黒鳳凰みみ架をMKランキングに引きずり込むのに、自分が里央を確保しなければならない必要性はないのだ。
 闇好が里央を伴ってイベントに参加するのならば、状況としては同じといえる。
「分かったわ。ここは私が引きましょう」
「ちぃぃ~~ッスぅ!! 理解してくれて嬉しいよ。里央ちんの身柄は大切に預かるよ。というか、同じ友達でも、里央ちんは貴女よりも私と一緒がいいって喜ぶと思うよ?」
「里央は丁重に扱いなさいよ」
「強奪した貴女に言われる筋合いはないかなぁ。元々の発端は貴女じゃないか。ああ、そうそう。お金と人脈と権力にモノをいわせて、私と里央ちんの宿泊先を堂桜の特殊部隊に襲わせるなんて卑怯な真似は禁止だから」
 不愉快さを隠さずに、エレナは答えた。
「私を誰だと思っているの? 私は堂桜エレナよ。そんな恥知らずな真似はしないわ。堂桜エレナの名に賭けて誓うわ。大切な友人は、私がこの手で、貴女から取り返してみせる」
 侮辱にも程がある。正々堂々と相手を叩き潰すのがエレナの身上だ。
「ち、ち、ちぃ~~ッス! 言質は得たからね。流石は世界一のスーパーモデル様だ。格好いいね! 素敵だね! そして超ウルトラ美人だねっ!! 私はチビだから、そのスタイルが羨ましいよ。じゃあ、決着持ち越しになったから、ギャラリーにお詫びとしてサイン会でも開いてあげる事だね! 私はこれでバイバイびぃ~~ん♪」
 闇好は《ダークネス・スモーク》をロープ化させてビルの屋上へと伸ばした。
 軽々と里央を抱え上げると、屋上に繋げたロープを引いて、あっさりと離脱する。
 ビルの屋上から屋上へ――『闇のロープ』を渡して、飛び移っていき、視界から消えた。
 まんまとしてやられた。
 失態を噛み締めて踵を返したエレナに、女子高生二名が近づいて話し掛けてきた。
 恐る恐るといった感じで、二人とも色紙をエレナに差し出す。
「あ、あのぅ……。サインをお願いします」
「モデル引退は残念ですけど、ずっと前からファンでした」
 エレナが二人を見ると、二人は縮こまって身を寄せ合った。
「そ、【ソーサラー】でも関係ありません。大ファンなんです」
「大好きなんです。応援してます」
 恐いのに無理をして……と、苦笑しつつもエレナはサインに応じた。
 モデルとしての契約は全て解除してある。当然、サインの権利に関しても同じだ。権利者を介さずに独断でサインしても今ならば問題はない。価値の有無はどうでもいい話だ。
 サインを貰った二人は頭を下げてから、逃げるように走っていった。
 エレナは肩を竦めた。
 しかし、それで終わりではなかった。
 女子高生二名がサインを貰えたので、他のファン達がエレナに殺到してきたのだ。
 先程までの魔術戦闘のギャラリーとは完全に層が異なっていた。
 ほとんどが若い女性だが、中には男性もいる。呆れたことに婦人警官の姿まで。
 闇好との魔術戦闘とは違った意味で、道路は混雑し始めている。
 それから芳三郎に人員整理を任せての即席サイン会が、一時間以上も続く事となった。

         

 

 里央は意識を回復した。
 当て身で簡単に失神させられたのだが、その時の記憶はなかった。
 そして、目に飛び込んできた光景。
「ぅぅうううううぎゃぁぁあぁあああああああッ~~~~!!」
 高いぃ高ぁいぃぃィ、と里央の悲鳴がこだまする。
 里央を抱えてビルからビルへと高速で飛び移っている闇好が、愉しそうに笑った。
 闇好は黒い狐面を頭に上げている。
「あはははははは! ナイスリアクション♪ 目が覚めた? 里央ちん」
「え。あれれ? モンブラン先生? エレナさんは?」
「堂桜エレナとの再会はMKランキングのイベントになるかな。つまり、そういう事」
 状況を理解して、里央は申し訳なさそうに言った。
「まさかモンブラン先生が戦闘系魔術師ソーサラーだったとは。これって、なんかエレナさんに悪い事しちゃったなぁ。再会したら謝らなきゃ」
「いいじゃんいいじゃん。細かい事は。里央ちん、今度はこの黒壊闇好の人質役をお願いね」
「人質役、続行なんだ」
 このまま救出じゃ面白くないでしょ? と問われて、里央は頷いた。
 行き先は不安だが、ここでMKランキングからサヨナラは確かに――とても嫌だった。

 

 

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