アニメを斬る!

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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第6部(第03話)

第一章  何でも屋の少女、再び 2 ―依頼―

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         2

 少女の名はオルタナティヴという。
 姓はない。シンプルにただのオルタナティヴだ。
 かつて名乗っていた家名と身分は、当時の身体と共に決別していた。
 火傷しそうな程に熱いシャワーを浴び終わり、彼女はバスルームから出た。バスルームは狭く、脱衣所は洗濯場と共用である。
 軽く身体を拭くと、黒いショーツとブラを身に付け、拭いたバスタオルを肩にかけた。
 此処は、神奈川県内の工業区域にある大型貸し倉庫だ。
 貨物用である内部を、簡単な改装とバスユニットの追加によって、簡易住居としている。
 関東圏内には他にもセーフハウスをキープしているが、オルタナティヴは此処を一番のお気に入りとしていた。
 大きめの姿鏡に映る自身の姿――
 怜悧というよりは鋭利な美貌。気に入っている貌だ。どことなく狡猾さを隠し切れていないのが、少し残念であるが。
 切れ長の目は、ルビーの様な真紅の瞳である。
 ミステリアスかつ中性的な造形と相反している、実に女らしい魅惑的な体つき。特に胸が豊かだ。豊満という程ではないが、肉付きが貧弱というイメージは皆無である。長身という程の背丈はないが、決して短躯でもない。例えるのならば、豪奢な長太刀といったスタイルか。
 この躰は、彼女にとって宝物だ。
 まだ乾き切っていない長い黒髪を、オルタナティヴは慣れた手つきでポニーテールにした。
 微かな笑みがオルタナティヴの頬に浮かぶ。
 彼女は倉庫内を見回す。ワンルームではなく、単にパーティションのない空間だ。殺伐としている広さの中央には、トレーニング用のリングが設置されている。その脇にはサンドバッグが吊されていた。パンチングボールも。それとスパーリング用に調整されている訓練用【ドール】が三体ある。外見はマネキンそのものの簡素さだ。これは市販品ではない。【DDC(堂桜・ドールズ・カンパニー)】から格安で調達した試作品だった。
 この【ドール】とは、機械仕掛けのマネキンならぬ、魔術――【魔導機術】によって動作する魔導人形ロボットである。
 トレーニングはこの倉庫でしかできない。

 彼女は年齢的には女子高生だが、その生業は『何でも屋』である。

 とはいっても、新参中の新参だが。現状のほとんどが師からの借り受け品だ。
 彼女は職業として『何でも屋』を名乗るが、裏社会での通称が『何でも屋』であり、正式な職業名は存在していない。要するに、特務機関に所属するプロの特殊エージェントとは一線を画する、民間寄りの荒事を秘密裏に解決する個人事業者を括る総称である。
 未施錠のドアが開いた。
 セキュリティは一切なかった。機械的な在宅警戒システムおよびセキュリティ用【結界】に頼らずに、己の感覚を磨き上げる為である。
 下着姿のオルタナティヴは、接近を察知できなかった来訪者を睨み付けた。
 半裸の姿を隠すような真似はしない。恥の上塗りになってしまう。
 完璧に足音と気配を消せる相手は、ただ者ではない。
「インターホンがなかったから、悪いけれど、そのまま入らせて貰ったわ。鍵も掛かっていなかったし。でも、ちょっと間が悪かったかしらね」
 晒している肌を隠さないもう一つの理由は――相手が女性で、しかも既知の間柄だからだ。
 訪問者――累丘みみ架は、学校制服姿である。
「この場所をどうやって知ったの?」
 みみ架は無言で一冊の本を掲げて見せた。
 彼女のみが保持している本型の魔導機器――《ワイズワード》である。なるほど、あの【AMP】には、そこまで情報が記されているのか。
「放課後の寄り道にしては少しばかり遠いんじゃないかしら?」
「寄り道じゃなくて用事があって来たの」
「へえ? 用事って?」
 興味が沸いてきた。単純に、みみ架の性格からして無駄や不必要は避けるからである。ましてや《リーディング・ジャンキー》と揶揄されている読書中毒にして孤独を好む変人が、自分から友人付き合いを温めるなんて真似をするはずがないのだ。
  つまり――『何でも屋』かオルタナティヴにしか扱えない案件だろう。
  みみ架が言った。
「ズバリ、依頼に来たわ。内容は、警察が手を出せない連続殺人事件――いえ、殺人鬼の追跡および実力行使によるこの世界からの排除よ」

 

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 聞き及んではいた。
 しかし実際に目にする、古風で歴史を感じさせる重厚な佇まいとのギャップに、オルタナティヴは苦笑してしまう。
 外観は敷地も含めて壮大な寺院である。
 けれどもその実態は地下五階まで拡張されている最新鋭の総合トレーニング施設だ。
「これが黒鳳凰流の道場とはね……」
 みみ架の案内で、オルタナティヴは場所をセーフハウスからこの道場へと移動していた。
 時刻は十七時を過ぎている。
 母屋――一階となっている道場は、主に精神修養と、現在は二十五名いる内弟子の宿舎として使用されている。
 それから入口にある受付。
 専門の女性事務員二名が常駐しているのだ。
 極稀にではあるが、道場主が門下生を相手に組み手や型を披露したりもする。
 道場主はみみ架の祖父だ。
 黒鳳凰弦斎――孫娘に当代を譲った先代の【不破鳳凰流】にして『伝説の武人』と呼ばれる人間国宝扱いの重鎮が、この道場の主を務めている。
 オルタナティヴは素直に感想した。
「これなら道場を本部として、隣か近くに自社ビルを建てた方が効率的なのでは?」
「曾お祖父ちゃんの代までは余所に自社ビル道場があったのよ。老朽化から建て直し――という話になって、資金力がある門下生が中心となって現在の形にしてしまった、という嘘みたいな本当の話。お祖父ちゃんも最初は冗談か悪ふざけかと思っていたらしいわ」
「資金力のある門下生……ね」
「一番、出資したのは当時のボクシング統一ヘヴィ級チャンプね。流石に政府からの補助金には届いていないけど。引退後、プロモーターをしている今でも、毎年多額の寄付をしてもらっているわ。個人で億単位の寄付金は流石に彼だけね」
 この道場の門下生は多岐に渡る。
 内弟子や練習生のみならず、様々な格闘技においてアマチュア選手、プロ選手を輩出している、いわば影の名門ジムとしても機能しているのだ。なぜ影なのかというと、弦斎の方針で、黒鳳凰の弟子である事の公表を、可能ならば控えさせているからだ。
 政府から多額の補助金を受けている手前だ。
 黒鳳凰流という看板を掲げて道場を運営しているのは、黒鳳凰の血脈以外にも数多の人材を集める事により、国家の財産としての【不破鳳凰流】を維持する為なのだから。
 国民の血税が投入されるという意味は、イコール、国家に還元できる利益・公共性を生まねばならないのは、小学生でも理解できる簡単な理屈だ。
 警察や自衛隊および特殊部隊の関係者に【不破鳳凰流】のメソッドを教授するのならばともかく、プロの格闘家を育て上げるのは、道場の運営理念から外れている。ましてや弦斎を師を仰ぐ格闘家の多くは、ニホン人よりも外国人の方が多いという現状だ。
 二人は今、地下一階に降りている。
 トイレとシャワー室は各階にあるが、一般会員が使用する着替え用のロッカー室および大浴場は、この地下一階に集約されていた。
 この階はキッズコースと初心者コース、そして体力作りコースがメインだ。
 体力作りコースには専用インストラクターが、キッズコースと初心者コースには内弟子の指導員が、各会員の面倒をみている。
「えい! えい! えい!」
「せいぃ! せいぃ! せいぃ!」
「やっ! やっ! やぁッ!!」
 威勢が良く、そして可愛い掛け声が響いている。キッズコースのコーナーからだ。
 このキッズコースは、国からの補助を除外しても経営状態が極めて良好かつ健全な為に、現在は月謝無料となっている。他はコースによるが月額五千円から一万円という設定だ。
 子供達は全員が空手着姿だ。一見して四十名ほどか。
 今は打撃練習として空手の型をやっている。
 きちんとしたフォームで行われているか、我流の癖がついていないか、数名の指導員が子供達に目を光らせていた。基本中の基本として、初心者には絶対に『見よう見まね』での自己練習は認めていない。原則として担当指導員の許可が出るまで厳禁だ。練習生として預かっている以上、責任をもって正確かつ適切な指導を徹底しているのだ。特に『見よう見まね』で変な癖がつくと、上達が妨げられて、矯正が大変となってしまう。
 子供達の練習風景に、オルタナティヴは眉を潜めた。

「……気のせいか、中学生が一人混じっているのだけど」

 プロ・アマを問わずに選手志望の子供を除いて、キッズコースは小学生までだ。
 けれどオルタナティヴの言葉通りに、発育のよい小学生女子よりも体格的に子供っぽい少女が、児童達と一緒に型稽古をやっている。
 型こそ極めて正確であるが、突き・蹴り共に力強さが全くない。そして遅い。ヘロヘロかつへなちょこ打撃だ。しかし爽やかに汗を飛ばしている本人は熱心かつ楽しそうではある。
 みみ架がオルタナティヴの誤解を訂正した。
「いえ、あの子、ああ見えてもわたし達と同学年よ」
「そう。それは失礼したわね」
 オルタナティヴは自身の勘違いをクールに受け流した。
 第二次性徴期を終えるであろう高校二年であの起伏に乏しい体型では、成人後にも大人びた女性にはならないだろう、と思った。身長も低い。だが、身長と体型こそ小柄で未発達っぽいが、愛嬌があり可愛い子ではある。例えるのならば、テディペア的な可愛さだ。
「どうして高校生がキッズコースに?」
「初心者コースから移動になったのよ、ちょっと練習に付いていけなかった様で」
「なるほど」
 その女子高生が二人に気が付いた。

「あ、ミミ~~!! 今日は道場に来ない日じゃなかった?」

 彼女――美濃輪里央は、みみ架を見つけて、思わず稽古の手を止めてしまった。しかも両手を頭上でブンブンと振る始末である。里央につられて、稽古自体が中断になっている。
 指導員の女性が「いいですよ。お嬢のところに行っても」と、里央を促す。
 その言葉に甘えて練習を切り上げて離れていく里央の背に、多くの小学生達が「ばいばい、里央ちゃん!」「じゃまたなぁ、里央!」と親しげに声を掛けていた。
「まったく違和感なしに小学生と友達付き合いしているわね」
「ええ。この間はお誕生日会に呼ばれたそうよ。……小学二年生の子の」
「そ、そう」
 里央は笑顔でみみ架の横に並んだ。
「お待たせ、ミミ!」
「別に待っていないわよ。里央が勝手に付いてきただけでしょうに」
 みみ架は腰元に纏わり付いてくる里央を邪険に振り解く。
 その様子で、オルタナティヴは思い出した。
「美濃輪里央さん……だったわね。対抗戦で委員長とチームを組んでいた」
 過日、みみ架と里央が通っている【セントイビリアル学園】が主導となって、全国各地から戦闘系魔術師ソーサラーの卵を集めての一大イベントが行われた。対抗戦と通称されているそのイベントは、二人一組で参加するチーム戦であった。
 みみ架は里央をパートナーとして対抗戦に参加していたのだ。
 ただし里央は魔導科の生徒ではなく普通科の生徒である。優勝候補最右翼だったみみ架は、ハンディキャップ措置として、一般生徒と組む事を課せられていたのだ。
 生観戦は関係者を中心に限られた者だけしか許されていなかったが、試合模様は衛星中継で全世界に流されていた。世間の注目度は高く、当然ながらオルタナティヴも観ていた。
 里央はオルタナティヴに挨拶した。
「初めまして! ミミの親友をしている美濃輪里央です」
 単なる友人、と訂正を入れたみみ架を無視して、オルタナティヴが自己紹介を返す。
「よろしく。アタシはオルタナティヴよ。高校中退で『何でも屋』をやっているわ」
「高校生じゃないんですね。制服きているのに」
「この格好は単に気に入っているだけ」
「確かに、格好いいですね」
 オルタナティヴも学校制服姿だ。しかし、みみ架が着ている【聖イビリアル学園】女子用ではない。ブレザー型ではなく、セーラー服タイプだ。濃紺よりも黒に近い地色で、紋様のごとく紅いラインが施されている独特のデザインとなっている。更に、黒いマントまで羽織っている。マントはあまり目立っていないが、奇異といえば奇異な組み合わせだろう。
 二人から三人になった一行は、最下層である地下五階に降りた。
 十名定員のエレベータも設置されているが、使用したのは階段であった。
 素通りした各階はこうなっている。

 地下二階はフィジカル・トレーニング用。フィットネス・クラブとしても機能している。
 地下三階は主に打撃系選手(ストライカー)が使用する施設が揃っている。
 地下四階はMMA・レスリングおよび寝技系を主体とした練習が行われている。
 そして地下五階は総合護身術・武具技術の鍛錬、合気道や骨法等の古流、そして黒鳳凰流と銘打った【不破鳳凰流】の下位互換技術の教授と研究を目的としていた。

 その地下五階にあっても、特別に仕切られた一画がある。
 数多の門下生でも極限られている内弟子にしか立ち入ることが許可されていない部屋だ。
 部屋といっても、その広さは一般的な体育館ほどもある。
 ちなみに各地下階の面積は拡張工事を重ねた結果、東京ドーム並に広くなっていた。
 門下生とは別の、練習生やクラブ会員が年々増え続けているので、その対応に迫られてだ。
 正規雇用している各セッションのトレーナーだけでも、今では相当数になっていた。
 この階だけは、施設や道具が他の階とは趣きが異なっている。近代的ではなく、むしろ前時代的というべきか。練習風景もよくいえば歴史的で独特、悪くいえば奇異に映る。
 オルタナティヴは両目を眇めた。
(なるほど。興味深いわね……)
 地下四階までの最新式トレーニング方法は熟知しているし、実践している。
 みみ架の先導で進んでいくオルタナティヴは、古流や武芸の鍛錬風景を記憶に刻みつけた。
 地下五階のその区画の前に、オルタナティヴ達が到着した。
 扉に施錠はされていない。
 みみ架の手で無造作に開かれた未施錠の扉に、オルタナティヴは軽く驚く。
「此処って【不破鳳凰流】とそれに近しい者しか入れない禁断の場所よね。不用心だこと」
「無断で入ったところで何があるってわけでもないし」
「へえ。つまり秘伝や奥義が記された巻物は【不破鳳凰流】には存在していないのね」
 みみ架は首肯した。
「ええ。記録としては残さない。全て口伝と体得によって継承されるのが【不破鳳凰流】よ」
 里央が訊いてくる。
「ねえ、ミミ。私も入っちゃってもいいのかな?」
「構わないわ。どうせ人払いしているし」
 みみ架の言葉通りに、部屋の中には二名しかいなかった。
 一人は、みみ架の学友であり仲間である比良栄優季の専属執事――ロイド・クロフォードだ。
 その名とナチュラルに日焼けしている金髪が示す通りに、彼はニホン人ではない。
 裏社会における非合法【ソーサラー】という来歴の青年は、今では裏家業から足を洗い優季の執事としての人生を選択していた。
 堂桜の協力会社である大企業【比良栄エレクトロ重工株式会社】の令嬢――優季は現在、とある事情により、堂桜統護と一緒に中部地方へと遠征している。
 ロイドは関東を離れた主には帯同せずに、溜まっている休暇の消化をしているのだ。優季の専属執事に再就職して日は浅いが、今回の休暇まで休日なしで働いていた。強制労働ではなく雇用契約書を無視してロイド本人が勝手に働いていただけ――が実相である。ロイドにとっては執事としての日々のみで満たされており、また、仕事中もそれなりの自由裁量を認められているので、休日という形での余暇の必要性を感じていなかったという事だ。
 燕尾服でも私服姿でもない。今はトレーニング・ウェアを着ている。
 休暇の過ごし方はレジャーではなく、弦斎に弟子入りしての泊まり込み強化合宿に費やしているのだ。彼は住み込み可能な内弟子として認められていた。普段から護衛任務の為にも戦闘訓練は欠かしていないが、新しいエッセンスを取り入れての底上げ狙いである。
 そしてロイドの他にもう一名……

 古流武術【不破鳳凰流】の先代――黒鳳凰弦斎その人が待ち構えていた。

 齢七十を超えて、全く筋肉の衰えていない屈強な体格。
 見る者を畏怖させる不可視の圧力と、年相応の大らかさが同居している。それは威厳、貫禄または風格と形容できる重厚な雰囲気だろう。
 眉毛が濃く、顎髭も豊かな為に、典型的な老人貌と印象付けられてしまいがちだが、それに騙されずに顔の造形を評価できるならば、実は驚くほどのハンサムだと判る。
 弦斎は合気道風の道着の上に、トレードマーク的な赤い大人用ちゃんちゃんこを幅広の方に羽織っている。それがまた分厚い上半身に似合っていた。
 みみ架が祖父に言った。
「連れてきたわよ、お祖父ちゃん」
「ご苦労ご苦労、ほっほっほ」
 顎髭を撫でながら、弦斎が愉快そうに笑う。
 これが知る人ぞ知る伝説の武人か……、とオルタナティヴは弦斎を観察した。
 オルタナティヴは弦斎に自己紹介する。
「初めまして。貴方のお孫さんから依頼を受けた、『何でも屋』です。オルタナティヴと名乗っています。この度はアタシの我が儘を聞いて下さって、感謝しています」
「なに気にする事などない。じゃが一つだけ確認したいのだが、孫娘が家計をやり繰りしてのへそくりから用意した報酬は、相場として間に合っておるのかな?」
「足りていないからこそ、今回の我が儘――約束という運びとなっています」
「具体的にはどれくらいの金額じゃ? みみ架が自前で用意できる金額など、せいぜい五百万円ほどと睨んでおるのじゃが」
 みみ架が顔を顰める。ジャストで言い当てられたからだ。
「まあ、みみ架がワシに話さずに依頼したという事は、ワシに知られたくない依頼内容なのじゃろうて。その内容には首を突っ込まないし、知ろうとも思わんよ。それでオルタさんや。ああ、フルネームだと長いので略させてもらうぞ。で、オルタさん、依頼内容に対して相場はどれくらいなのじゃろうか?」
 オルタナティヴは正直に答えた。
「アタシが実績皆無の新人という点を加味して、倍額の一千万円というところかしら」
「一千万か。支払えるのが五百万円というのもビンゴじゃったか」
「決して高くはないはず。基本的に後ろ盾や保証、法律の保護なしでの危険な仕事よ。時と場合によっては、犯罪や非合法にも足を突っ込む上に、色々と必要経費だってかさむ。だから逆に、探偵事務所がやるような安い仕事は受けられないともいえるわね」
 加えて、オルタナティヴには何でも屋の師匠からの借金もある。主に開業資金として借り受けたのだが、現在ではローンを組んでの返済を開始していた。そのローンも安くない。
「分かった。不足分の五百万円はワシがお小遣いから出そう」
 その言葉に、オルタナティヴは目を見開いた。
 予想外にして見当違いである。相場の一千万円を支払われてしまうと、逆に約束が――
 みみ架が笑顔になった。
「あら助かるわ。たまには祖父らしい事ができるじゃないの、お祖父ちゃん」
 残りの五百万が都合できたので、彼女はこれで解散という雰囲気だ。
 対して、オルタナティヴはどうにかしてみみ架に約束を守らせる方便を考え始める。このままでは反故にされてしまう。みみ架は最初から乗り気ではなかったのだ。
 弦斎が言った。

「報酬は報酬。約束は約束。スパーリングの相手をしてやりなさい、みみ架」

 

 

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