アニメを斬る!

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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第5部(第34話)

第四章  託す希望 13 ―統護VSメドゥーサ①―

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         13

 メドゥーサは油断なく統護を見据えた。
 任務達成だけを思うのならば面白くない展開だ。しかし妹が核となっている《バイパーズ・キュベレ》からは歓喜が伝播してくる。会話を許可すれば、すぐにでも統護に嬉々として話し掛けるだろう。
 確かに……面白くないが、詰まらなくもない展開だろう。
 とりあえず忠言だけはしておこうか。
「言っておくけれど、これがリターンマッチだなんて期待しないでね」
 統護は頷いた。
「ああ。姉の方のラグナスとは、もう一度戦いたいとは思うが、今のお前達――《邪王のメドゥーサ》は話が別だな」
 その台詞にメドゥーサは警戒心を引き上げる。
「へえ? 瞬間移動としか思えない登場方法だけじゃなく、私と妹をすでに知っている。ねえ、アンタって何者なの? 堂桜統護」
 右手を高々と挙げた統護は、短く〔言霊〕を唱えると、一気に振り下ろした。
 ドン!!
 その挙措に従って、《バイパーズ・キュベレ》が生み出している地面の大海が静まる。
 否、正確には平面になるように、強引に押さえつけられていた。
「な――に――」
 メドゥーサの両目が見開かれる。
 メイ、アン、クウの三名も驚きと緊張で息を飲み込んだ。
 統護がメドゥーサに答える。

「俺が何者かって? 俺は堂桜統護。それ以外の何者でもない」

 ダメだ。どんなに出力を上げても、魔術的に液状化させた地面を震動させられない。
 少なくとも、広域では無理だ。
 メドゥーサは自身の状態を高速スキャンで診断した。
 魔術の実行プログラムにバグはない。ソースコードは全て正確にコンパイルされている。
 それどころか正常に実行中だ。つまり完全にパワー負けしているという事だ。
 しかし統護は【魔導機術】を起動していない。電脳世界の【ベース・ウィンドウ】でも統護が及ぼす魔術効果は検知できない。この現象は魔術プログラムの実行結果とは異なっている。
 いや、堂桜統護という男は魔術を一切使えないのだ。
 それ故に彼は《デヴァイスクラッシャー》と異名され、その魔力異常を逆手にとった魔術キャンセラーとしての戦闘方法を確立していた。
 くくくくっ。メドゥーサの喉から笑いが込み上げる。
 そうか。やはり噂は真実だった。
 大規模情報遮断【結界】が常時起動されているこの場所ならば、この男は《デヴァイスクラッシャー》という『隠れ蓑』を剥ぎ取り、その真のチカラを示すというのか――!!
 メドゥーサは牙を剥いて断じる。
「――お前が見せているチカラは魔術ではなく〔魔法〕だ!

 そしてお前の正体は……伝説の【ウィザード】か、堂桜統護!!」

 自然界の〔精霊〕を己の魔力のみで使役する〔魔法使い〕という伝説の存在。
 戦闘系魔術師――【ソーサラー】の魔術が、人為システムを介する『魔の技術』ならば。
 伝説の〔魔法使い〕――【ウィザード】の〔魔法〕は、『魔の法規』による奇蹟だろう。
 統護はあっさりと白状した。
「ああ。俺が見せているチカラは〔魔法〕と呼ばれているモノだ」
 信じられない。〔魔法〕とは、これ程までのチカラなのか。
 統護は土の〔精霊〕を使役して、強化版《マテリアルリキッド・コンダクト》を、上から力技で封じ込めてしまっているのだ。
 とはいえ、メドゥーサに動揺はない。
 手の内を隠す。実力を過小評価させる。敵対者に舐めさせる。生存戦略としては、基本中の基本である。むしろ統護は重大なミスを犯した。ユピテルを倒した事で『より巨大なチカラを隠している』と怪しまれていたのに、セイレーンを無力化させる為に【ウィザード】としてのチカラを、遠巻きとはいえ大勢の人間の目に晒してしまったのだから。拡散されている統護の戦闘データが『統護にとって都合よく』改竄されているのは、裏社会の人間には公然の秘密に等しいのである。
 統護が言った。
「一応、簡単に説明してやるが、【地】の魔術を封じるのに土の〔精霊〕だけを使役しているんじゃないぜ。風の〔精霊〕も同時に使役して、相乗効果で押さえ込んでいる。何しろ俺が使っている〔魔法〕ってやつは、お前達【ソーサラー】の魔術とは違って、複雑な理論とか行程とかが必要ないんだ。要は〔精霊〕に『お願い』して魔力を提供するだけだからな」
「へえ。まさに化け物ね。流石は〔魔法使い〕だわ」
 複数のエレメントを一つの【魔導機術】に組み込む事が、非常に難易度が高いのに対して、統護の〔魔法〕はナチュラルに複数の〔精霊〕が使役可能というのか。
 特に【エレメントマスター】は、ワン・エレメントに特化した【ソーサラー】だ。
 多様性で〔魔法使い〕である統護と渡り合うのは分が悪いか。
 まずは小手調べだ。

「――《石化の魔眼(アイズ・オブ・キュベレイ)》ッ!!」

 双眸を光らせ、メドゥーサは《石化の魔眼》を試してみた。
 しかし統護を覆う【地】の魔術粒子は、風の〔精霊〕によって綺麗に吹き飛ばされてしまう。石化現象の魔術抵抗(レジスト)に紛れて侵食させる【ベース・ウィンドウ】妨害用ウィルスも、電脳世界を有しない統護には全くの無意味だった。
「まだまだよっ!」
 地面の一箇所に魔術出力を集中させて、一瞬だけ津波を起こす。
 この為に、高速スキャンで魔術を自己診断したのだ。
 再び押さえつけられる前に、メドゥーサは波の面から、数多の土の槍を飛ばす。
 統護は〔言霊〕を唱えて、右手を突き出した。
 すると彼の周囲に炎の渦巻きが発生して、外周から炎弾が次々と撃ち出されていく。
 土、風に続いての炎の〔精霊〕だ。
 炎弾がメドゥーサの土槍を全て破壊してしまった。
(なるほど。確かに掛け値なしに強いわ)
 噂通りならば、統護の〔魔法〕はこの程度ではないはずだ。詳細は不明とはいえ、大観衆の魔力とリンクしてチート化したセイレーンを、統護は真正面からのパワー比べで打ちのめしている。それにユピテル戦も小細工なしで正面撃破したと推定されているのだ。
 とはいえ、大方のデータは採取できた。
 データとは【ベース・ウィンドウ】の解析数値のみならずに、自身の感覚や勘も含むのだ。
(ま、単に強いだけね。何ら問題はない相手)
 統護が見せている余裕の表情を、すぐに焦りで歪ませてやろうか。
 《バイパーズ・キュベレ》に思念を送る。

 妹も同じ考えで、即座にトラックへと移動して、ポアンを蛇の群で宙吊りにした。

 薬で眠らされていたポアンは意識を回復していたが、手足は拘束されている。
 魔術師ではないポアンなど、それこそ一瞬すら要さずに殺害可能だ。
 ポアンを楯に、メドゥーサが告げた。
「最強で無敵の絶対バリアの存在って知っている? それはね『人質』って名称なのよ。実際に絶対バリアなんて展開する必要なんて皆無だわ。相手の攻撃を全て無効化するのに、絶対バリアである必然性はない。それと同じ状況を作り出せば事足りるだけ」
 余計なリスクを支払わずに、安全な状況から相手を一方的に攻撃するのが理想だ。
 それを体現するのに、人質は最も有効なバリアでありスキルである。
 戦いに優劣や強弱といった下らないロマンを求めなければ、こうして『最強で無敵の絶対バリア』を纏えばいい。拳を交換して強さを比べ合う――なんてバカバカしいにも程がある。

 思い知れ――このメドゥーサは正々堂々と戦う気などゼロなのだ。

 だが、期待とは裏腹に統護の表情は変わらない。
 不愉快だ。人質という『最強で無敵の絶対バリア』を張られて、まだ余裕を見せるか。
 魔術を押さえ込んでいる〔魔法〕を解除させる前に、統護を挑発した。
「状況が正確に理解できている? 【ウィザード】であるアンタは最強とやらに拘りがあるんでしょうね。アンタとオーフレイムとの戦い――いわゆる『俺TUEEEEEEEE!!』比べってやつかしら? あれ、観ていて本当に笑えたわよ。このメドゥーサは『俺TUEEEEEEEE!!』なんて興味がない……どころか、身上は真逆の『私YOEEEEEEEEEE(笑』だからね。だから『最強で無敵の絶対バリア』――人質を使わせて貰うし、人質を楯に一方的に攻撃させて貰うわ。『私YOEEEEEEEEEE(笑』の特権、弱者の権利として、徹底して安全な場所から強力な方法で一方的に攻撃させて貰うから。間違っても同じ土俵になんて上がらない。同じ土俵で『最強をアピール』する縛りプレイは『俺TUEEEEEEEE!!』サン達だけでやって頂戴。私は御免被るわ」
 統護がメドゥーサに答えた。
「理解しているよ。要するに、この戦闘は――知恵比べなんだろう?」
 そして、右拳を《バイパーズ・キュベレ》に向ける。
「人質を取られた俺は、この状況を維持する事を約束しよう。けれど、この状況を解除もしない。仮にポアンを殺されたのならば、次の瞬間に、お前の妹が核になっている【基本形態】を粉々に吹っ飛ばしてみせる。俺の〔魔法〕ならば可能だ。信じる信じないは勝手にしろ」
 先に条件を突きつけられて、メドゥーサの頬が微かに引き攣る。
 まさかこの私と駆け引き――交渉をしようというのか。
(面白いじゃない……ッ!!)
「嫌だ、と私が拒否したら? まずはそちらが〔魔法〕を解除するのが先よ」
「確かにポアンは人質として有用だが、俺だって最初からその程度は織り込み済みだ。仮にだ。ポアンを殺しちまったら、そっちこそどうなる? 根本的に本末転倒だろう? 『最強で無敵の絶対バリア』とかいう大仰な例えも、そこから先の長々とした台詞も、動揺しない俺にその点を気づかせない為のブラフだろうが」
 バレていたか。舌打ちを我慢して、メドゥーサはポーカーフェイスを維持する。
(だったら次にいきましょうか)
 メドゥーサとて、この程度で動揺などしない。ならば、こうするだけだ。
「赤猫の三匹に命令するわ。一挺でいいから所持しているサブマシンガンを私に投げて寄越しなさい。拒否すれば、ポアンを殺すわ。ポアンを殺されたくなく、なおかつサブマシンガンを渡したくなければ全員、揃って自決しなさい」
 さあ、これで統護はどう応えてくる?
 間違いなく三名は統護の様に無視できない。そんな精神力はないのだ。もしも無視しようならば、手始めに見せしめとして、ポアンの片腕を無残に引き千切ってみるか。
 【ブラッディ・キャット】三名は、迷わず自決の構えになった。
 全員、銃口を自分のこめかみに当てる。
 統護が三名に命じた。
「メイ、お前の銃をメドゥーサに寄越してやれ。自殺は許さない。俺はポアンだけじゃなくて、お前達全員を助けに来た。メドゥーサを倒すのが目的じゃない。助けるのが俺の勝利だ」
「分かりました、統護様」
 大人しく従ったメイは、メドゥーサめがけてサブマシンガンを放った。
 片手でキャッチしたメドゥーサはサブマシンガンを確認する。【AMP】ではない。特注品であるが通常の携行兵器だ。セーフティは全て解除済み。それは当然だろう。
 メドゥーサは銃口をクウに照準する。
 クウは覚悟を決めて『気をつけ』の姿勢で直立した。
「さて、堂桜統護。いえ、伝説の【ウィザード】。次にアンタはどうする?」
「クウを撃つなら、先に俺を撃て」
「あらあら、予想通りでツマラナイかな? 期待外れよ」
 そうくるしかないだろう。
 そして、遠慮なく無抵抗の統護を撃って――この戦闘は自分達姉妹の勝ちである。
 これこそ完璧で完全な勝利。
 相手の手段を全てキャンセルする。その上で、安全な場所から無抵抗の相手を一方的に撃つ。強者のメンタルでは抵抗がある所行だろうが、生憎とこのメドゥーサは強者のメンタルや誇りなど持ち合わせていないのだ。
 銃口の先端が、クウから統護へと移動する。勝利を誇示する為に、ゆっくりとだ。
 メドゥーサがトリガーを引こうとした、その瞬間。

「――ッ!!」

 ギクリとなった。
 十キロ以上遠い距離から、マグナム弾と思われる小型物体が超音速で向かってくる。
 しかも魔術反応まで感知。魔術弾だ。[ WARNING ]の文字が煌めく。電脳世界の【ベース・ウィンドウ】に警告が発生した。
 自働スキャン開始。
 弾頭形状は既製品には該当品がない。ワンオフ品の弾丸か。

 ロックオンはされていない。

 電子的にであろうが、魔術的にであろうが、仮にロックオンされたのならば、タイムラグがほぼゼロで戦闘系魔術師は感知可能だ。その様に【基本形態】を調整している。
 二十一世紀の現在、観測衛星でロックオンして準亜光速飛行およびホーミングが可能な超小型ミサイルを発射すれば、地球の裏側からでも瞬時に、マッチ箱一つ分のエリアをピンポイントで狙い撃ち可能だ。核兵器は実質、時代遅れ。小型ミサイル数発で大都市を焦土化できるまで発展しているのが、この【イグニアス】世界の科学兵器なのだ。
 しかし戦闘系魔術師には、そういった科学兵器は通用しないのである。
 今、捉えたのは超音速の小型物体そのもの。
 探知用【結界】の代替として、広域散布している【地】の魔術粒子が、超ロングスナイプと推定される弾頭の飛来を把握したのだ。
 弾丸は空気抵抗で減速しない。
 重力の影響も受けていない。
 純粋に一直線に向かってきている。物理的にはあり得ない弾道だ。
 単なる狙撃ではなく、魔術を併用して撃たれた魔術スナイプ。
 魔術が用いられていない純粋な弾丸ならば【地】の魔術粒子で包み込んで止められる。
 しかし魔術粒子の包囲を突破しながら弾丸は進んでいた。

 狙撃から察知、そしてメドゥーサの反応までが、ほぼ一瞬の間で過ぎ去っていく。

 現実世界の時間を超える電脳世界内で行われる魔術オペレーションだ。
 演算に移る。着弾点の予想計算開始および意識領域へのフィードバック。頭や心臓を撃たれたら一巻の終わりだ。計算終了。メドゥーサの身体には直撃せず。《バイパーズ・キュベレ》からは大きく外れている。よって動く必要はないと結論する。わざわざ回避しなくても弾丸は当たらない。
 残念。外れだ。
 やはり肉眼照準では限界がある。
 戦闘系魔術師に狙撃など通用しない。狙撃されるマヌケな【ソーサラー】はいないのだ。
 メドゥーサは弾丸を無視して、サブマシンガンのトリガーに掛けている指を――
 弾丸の察知から、ゼロコンマ五秒後。
 キュドン!!

 サブマシンガンが、魔術狙撃弾よって精確に撃ち抜かれた。

(ば、バカ……な)
 狙撃手の真意を理解する。
 魔術師相手にロックオンを使用しないのは勿論、回避リアクションを起こさせない為に、ピンポイントで【基本形態】のスキャン外にあるサブマシンガンを狙うだなんて。
 メドゥーサは弾丸が撃ち込まれてきた方向を振り返った。
 見渡す限り、拓けている。遠くの街並みは……
(いったい何キロ先から!?)
 十キロ以上は先か。そんな距離からロックオンやホーミングを使用せずに、純粋な視認照準のみで、サブマシンガンを狙うという神業的なピンポイント狙撃を成功してみせるとは。
 こんな芸当ができる者は、世界でたった一人しかいないだろう。
 ガラクタと化したサブマシンガンを投げ棄てる。

「締里……ッ。楯四万締里か!」

 忌々しげに統護を睨むが、統護は先手を打って言ってきた。
「俺が締里と連絡とれない事は理解しているよな? 特に情報遮断用【結界】である《アブソリュート・ワールド》の影響下だ。で、俺が何が言いたいか説明する必要はあるか?」
 メドゥーサは歯軋りした。
 統護の言う通り、《アブソリュート・ワールド》が機能している以上、締里は望遠鏡でこちらの様子を肉眼で視認する事しかできない状況だ。魔術での通信、観測衛星とのリンク、その他諸々の電波的・音波的・光子的・魔術的なコンタクトが遮断されているのである。
 つまり、それが意味する現状は――
「説明なんて要らないわ。ええ、そうね。これでは締里にはポアンを人質にとっての交渉ができない。つまり締里には『最強で無敵の絶対バリア』として人質が使えないわね」
 ポアンが人質だと締里は理解しているだろう。
 だが、人質を楯にしていると締里に伝えられないので、メドゥーサにはどうにもできない。
 とはいえ、この状況は統護にも不利なはずである。
「でも締里と連絡とり合えない統護だって、こちら以上に不利でしょう? どうやって連携をとるつもりかしら? 統護に人質が効いている以上、締里の狙撃程度は何の脅威でもないわ。一発目はちょっとだけ驚かされたに過ぎない。でも……それだけ」
 そうだ。締里は脅威とはいえないのだ。
 いくらでも好きに狙撃すればいい。しかし邪魔ではあっても、狙撃は【ソーサラー】に対しては、決定打にはなりえないのだ。いや、ミサイルだとしても同じである。
 統護は不敵に言った。
「連携? ああ、連絡不能でも全く問題ないな。俺は締里を――信じているから」

 

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 交戦地点から約一七〇〇〇メートル離れた高層ビルディングの屋上。
 見晴らしは最高だ。
 そしていい風が吹いている。
 
 屋上に漆黒のコンバットスーツに身を包んだ少女――楯四万締里が立っていた。

 彼女はゴーグル型特殊望遠鏡を装着している。
 赤外線スコープ機能の他に『気温、湿度、風量、気流、気圧』等の気象データが表示される特注品である。気象データは気象衛星やネット情報からの取得ではなく、内臓センサとAIによって独自測定・計算されていた。狙撃にとって必須データだ。
 通常のライフル銃による狙撃であれば、現在、約六〇〇メートルが限度とされている。
 単純に空気抵抗や重力の影響で弾丸の運動エネルギーを使い切ってしまうからだ。高所から狙撃して弾丸に位置エネルギーを追加しても、ほとんど狙撃可能距離は伸びない。
 だが、魔術弾による狙撃ならば、狙撃可能距離は飛躍的に伸びる。
 超一流のスナイパー魔術師だと、実に一五〇〇〇メートル以上のピンポイント狙撃を、肉眼照準で成功させる事が可能だ。
 このレヴェルの狙撃手は世界に十名いるかいないか。
 そして『魔術狙撃手』として特化していないスナイパー魔術師の中で、一五〇〇〇メートルを超えるスーパーロングスナイプを可能とするのは、世界で締里が唯一だろう。

「……着弾を確認」

 締里は愛銃である専用【AMP】――《ケルヴェリウス》の銃口を下ろした。
 通常のハンドガンモードだと、黒い肉食獣めいたフォルムのハンドキャノンといった《ケルヴェリウス》だが、今は二挺分のパーツを一体に組み合わせて、銃身を伸ばした狙撃用ライフルモードにしている。
 締里の《ケルヴェリウス》は、各パーツに分解して衣服内に隠し持てる仕様になっている。分解したパーツが二挺分ある場合は、パーツの組み合わせパターンによってライフル形状にも組み上げる事が可能なのだ。通常の銃では不可能だが【AMP】ならではの機能だ。
「狙撃成功とはいえ……、流石に余裕をもって感知されたわね」
 かつて【セントイビリアル学園】で行われた【魔術模擬戦】において、統護をフォローする為に琴宮美弥子を校舎屋上から狙撃した事があった。
 あの時は、狙撃としては至近距離だった上に、美弥子の【基本形態】の対狙撃プログラムのパラメータ設定が甘く、かつ彼女自身の意識容量に余裕がなかったので、成功した。なにしろ統護と証野史基の二名を相手にして、複数の【ゴーレム】まで起動させていたのだから。
 狙いが美弥子本人ではなかった事もあり、弾丸の隠蔽魔術も上手く機能してくれた。それに、根本的に実戦とは異なる模擬戦だった。
 しかし、今回は距離がある上に、相手は【エレメントマスター】だ。
 狙撃だけで対処できるとは最初から思っていない。
 どういう方法かは不明だが、確かにラグナスは【エレメントマスター】化している。
(別に私にとっては関係ないけれど)
 締里はゴーグル型特殊望遠鏡を外した。
 次の手にこれはもう必要ない。
 彼女は表情を変えずに、冷たい声音で呟いた。
「さて。これはオープン・コンバットじゃないわよ、統護」
 一発目の狙撃は、あくまで布石だ。
 締里の双眸は、獲物を狙う肉食獣のそれとは対極の――破壊対象をロックオンしたカメラレンズの様である。
「ここから仕上げに入る。ハンティング・スタート」

 

 

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 本作品は、暴力・虐め・性犯罪・殺人・不正行為・不義不貞・未成年の喫煙と飲酒といった反社会的行為、および非人道的、非倫理思想を推奨するものではありません。また、本作品に登場する人物・団体などは現実とは無関係のフィクションです。