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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第5部(第33話)

第四章  託す希望 12 ―メドゥーサVS赤猫部隊④―

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         12

 荒れ狂う大地の海原に君臨する圧倒的な支配者――

 その姿は、禍々しい蛇姫――土が変化した蛇で編み上がっている豪奢なドレスを纏った魔女。
 【ゴーレム】の亜種である【使い魔】タイプの【基本形態】である。
 しかし【使い魔】とはいっても、正確には【使い魔】ではない。あくまで【使い魔】を擬態して本体に組み込まれる事によって、システム側を誤認させるチート技だ。
 使用エレメントは【地】であるが、魔術的液状化現象を利して大地を海のごとくコントロールしている姿は、海神ポセイドンを彷彿とさせる。
 その規模からしても神威の光景だ。
 ユピテル、セイレーンとは異なり【結界】ではないメドゥーサの【基本形態】――

 名称は――《バイパーズ・キュベレ》という。

 メドゥーサが始動した。
 双子の妹を核とした偽装【使い魔】に、本体となった姉が【ワード】を連続で告げる。幾つもの【アプリケーション・ウィンドウ】に次々と【コマンド】が打ち込まれていく。
 電脳世界そのものを共有しており、二人がかりで魔術オペレーションしていた。
 矢継ぎ早の攻撃魔術。
 連続かつ高速で命じられる【ワード】を、《バイパーズ・キュベレ》は同時と形容して差し支えない処理速度でもって完璧に応えてみせた。

 大地の津波が様々なパターンを彩る。
 その波から、数多の大蛇が荒れ狂う。
 その間隙に土の槍が飛び交っていく。

 それは【結界】内の単一エレメント世界では実現できないであろう、複雑な光景である。
 しかも同一派生魔術で、魔術プログラムのパラメータを変化させているのではない。
 パターン一つ一つが、独立した派生魔術として、次々と惜しみなく連続起動されているという脅威にして規格外。
 しかも《バイパーズ・キュベレ》から《ゴルゴーン・スネーク》と《マテリアルリキッド・コンダクト》の強化版をサブOS魔術プログラムとしてマルチ・タスクしている。
 デュアル起動のサブOS魔術プログラムの基本性能と派生魔術の組み合わせにより、単一エレメントによる魔術とは信じられないほど多種多彩なフラクタル性が発揮されていた。
 ユピテル、セイレーンは大規模【結界】を【基本形態】とするが、メドゥーサは魔術戦闘において【結界】という固有世界を維持する必要などないと考えている。
 数多の派生魔術を、超高速かつ連続で切り替え続ける事を可能とする、このメドゥーサならではの戦闘理論だ。他に、こんな芸当が可能な戦闘系魔術師は存在しない。
 一般的な【エレメントマスター】のイメージは、規格外の魔術出力を前面に押し出してくる超パワー型だが、このメドゥーサは拡張した魔術出力パワーでの力押しを必要最小限に留めて、むしろ技巧の幅を増やす方向にリソースを割り振る超テクニック型である。
 魔術師本体と【使い魔】としての関係とは定義できないだろう。
 詐欺(チート)といっていい関係だ。
 通常ならば、本体はこれだけ強力な【使い魔】を魔術的存在として維持するのに、莫大な魔力と意識容量を割り裂かねばならない。しかし、この《邪王のメドゥーサ》の場合は、魔術師本体と【使い魔】が独立存在しているばかりか、互いの魔力と意識容量を相互フォローしているのだ。
 メドゥーサは一切の過負荷なしで《バイパーズ・キュベレ》を操作する。
 冷然とした口調でメドゥーサが言った。

「私達メドゥーサは、PCに例えるとツインCPUを搭載して魔術師側で魔術プログラムの並列演算が可能な【ソーサラー】よ。脳が二つあるのと全くの同義なのだから」

 そして脳が二つある事を前提とした【基本形態】のプログラム設計となっている。加えて、二者による同時オペレーションを可能とするユーザーインターフェイスまで備えている。
 ラグナス姉、ラグナス妹として個別に動いていた時とは、完全に別存在だ。
 加速する技巧。
 連綿なる戦術。
 増大する出力。
 圧倒的戦闘力を前に、三名の【ブラッディ・キャット】は為す術なく蹂躙されている。
 三名の【ベース・ウィンドウ】内は全速でメドゥーサの魔術解析を行っている。しかし、解析パターンが多すぎて演算が追いつかないのだ。電脳世界は『計算中』『計算結果』『計測値の修正』等の文字で埋め尽くされている。リソース・オーバーで超視界を封じられているのに等しい。有視界に頼るしかないのである。
 いつチェックメイトされても不思議ではない苦境だ。
 メイが歯噛みした。
「これだけ変幻自在に強力な魔術を繰り出せるのにも関わらず、メドゥーサ本体は地面の大海原で、余裕の仁王立ちですか……ッ!!」
 このメドゥーサの態度は、三名にとって屈辱以外の何物でもない。
 ロングレンジ戦を行う際のセオリーとして、接近された場合の防御を固めておくのは常道であるが、メドゥーサはその身を無防備に晒しているのだ。
 メドゥーサ自身と《バイパーズ・キュベレ》の場所が、【ブラッディ・キャット】を間にして、全くの反対側に配置されていた。
 これが大規模【結界】を【基本形態】としている戦闘系魔術師ソーサラーならば話は別だ。
 魔術師本体が何処にいようが、【結界】内ならば関係ないのだから。
 本体と【使い魔】の配置が意味しているのが『メドゥーサの自信』という程度は、【ブラッディ・キャット】とて理解している。
 至極単純に、三対一で近接を許しても――真っ向からの格闘戦で勝てると踏んでいるのだ。
 そして誘われてもいた。
 メドゥーサが三名を翻弄しているロングレンジ戦は、三名がラグナス姉妹を翻弄したロングレンジ戦とは、決定的に異質である。
 三名はラグナス姉妹を近付けさせない戦い方をしていた。
 けれど、メドゥーサは三名に対して、近接格闘を挑みたければ挑んでこい――と距離の支配を放棄しているのだ。つまり接近を阻もうという意志は皆無だ。
 逆にいえば、相手の接近を警戒するという余計な縛りがない分だけ、さらに戦術に幅のあるロングレンジ戦を展開できる。
 ゆえに全く歯が立たない【ブラッディ・キャット】は決断した。
 メイが叫ぶ。
「アン、クウ、一気に勝負をかけますよ!!」
「了解です」
「分かりました!」
 せめて一太刀を――と、意識をシンクロさせている三名は意を決する。
 紅い疾風と化して、三名は猫の姿勢で駆けた。
 メドゥーサは三名の接近を阻もうとはせず、むしろ冷静に待ち構えている。
 《バイパーズ・キュベレ》も動きを止めた。派生魔術も止む。
 約八〇~一〇〇メートルの距離が詰まる一瞬の間、メドゥーサのリアクションといえば、肩コリをほぐすように、首筋をコキコキと鳴らしただけ。
 三名が最後の最後に更に加速する。
 メイが真上。
 クウが左上。
 アンが右上。
 勝負を仕掛けに、三名が同時に大ジャンプした。ゆうに五メートルは飛んでいる。
 三名を代表してメイが【ワード】を唱える。

「いきます――《クリムゾン・デスマーチ》!!」

 纏っていた『紅い影』が三名の中心点へと収束していき――真紅の猫を象った。
 にゃぁぁあ~~~~~~~ぁん。
 猫の魔術幻像が指揮者となり、【ブラッディ・キャット】は三本の矢として放たれた。
 むろん最後の一撃として、真紅の猫も己を魔術砲弾と化すのである。
 これが正真正銘の奥の手だ。
「蛇の牙での石化は間に合いません!」
「地面での大津波も間に合いません!」
「土の飛沫や槍撃も間に合いません!」

「「「 お覚悟をっ! メドゥーサ!! 」」」

 対するメドゥーサ。
「フ。【NEO=DRIVES】とかいう欠陥技術を用いての最後の一手がこれとはね」
 決着の一瞬前。
 彼女は冷然と、失笑しながら呟いた。

 

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 メドゥーサの身上は『とにかく勝てば良い』である。
 それも結果として、が頭に付く。
 過程は問わない。方法も問わない。最終的に勝利条件を得られる算段があるのならば、途中での敗北も布石として問題ないと考えている。全戦全勝、常勝不敗など彼女には無価値だ。
 例えば、ラグナス姉が統護に喫した敗北が典型例だ。あの敗北は、結果として最終的な勝利をたぐり寄せる為の効果的な敗北だった。しかも統護の戦闘能力を学習できた。
 また実力勝負にも拘らない。
 相手が自分より強かろうが、弱かろうが、勝利という結果を得る事だけを考える。
「……フッ」
 メドゥーサは《クリムゾン・デスマーチ》で特攻してくる【ブラッディ・キャット】を冷ややかに見据えた。
 浅慮で、芸のない力押しの魔術。裏を掛けない。工夫がない。なんて低脳だろうか。
 戦闘とは高等な駆け引きが要求される頭脳ゲームなのに、バカほど不必要なパワーとスピードに拘る。スキルやスペック、ステータス等は駆け引きの前には飾り以下だ。
(それに悪いけれど、マトモに戦ってあげるなんてサービス、私はしないのよね)
 敗北と共に、この私の身上を教えようか。
 同時に、このコードネームを与えられた最大の理由をも。
 マスターACTした後の全ては――次の一瞬を起こす下地だったと思い知れ。
 今のメドゥーサは《ゴルゴーン・スネーク》を纏っていない。頭髪は蛇ではないのだ。
 だが、やはりメドゥーサを名乗る以上、石化能力は必須であろう。
 メドゥーサの双眸が【ワード】と同時に怪しく輝く。

「――《石化の魔眼(アイズ・オブ・キュベレイ)》ッ!!」

 これがメドゥーサ本体が単独で起動可能な唯一の魔術にして、最強魔術。
 ビキビキビキビキビキビキィィ。
 《石化の魔眼アイズ・オブ・キュベレイ》が発動し、魔眼の視界に捕らえられた【ブラッディ・キャット】三名が、灰白色に染まりながら石化していく。
 高速挙動していたはずの三名の動きが、まるで水中にいる様に緩慢になっていた。
 しかも即座に落下せず、空中に浮かんでいるかのようだ。
 瞬時での石化ではない。
 三名は【NEO=DRIVES】で増幅させている魔力を最大出力にして、懸命に魔術抵抗(レジスト)を試みていた。魔術ワクチンを精製し続けるが、そのワクチンが次々と破壊されていく。石化アルゴリズムが変化し続けて、魔術ウィルスによって耐性すら攻撃してくるのだ。【NEO=DRIVES】で強化されていなければ、二秒と保たずに全身を石化させられていただろう。
 そして石化の進行をレジストにより遅延させていた為に、そのカラクリを理解した。
 愕然となっている三名の顔を眺めて、メドゥーサが嗤う。
「その表情。今までの攻撃が《石化の魔眼》を発動させる為だったと気が付いたようね」
 石化の魔術特性自体は、蛇の牙による《ストーン・バインド》と同じだ。
 だが過程がまるで違う。

 今までの大規模な地の津波や土による波状攻撃は、攻撃はフェイクで、空気中に『土の微粒子』を広域散布させるのが真の目的だった。

 土の微粒子とはいっても、単なる粉塵や土煙とは異なる、魔力コーティングした【地】属性の魔術粒子である。
 その【地】の魔術粒子を魔眼の対象者の表面に超高速集積させて、石化させているのだ。
 三名が空気中で止まっているのは、【地】の魔術粒子に把捉されている為である。
 一見して不必要な規模で大地を海化していたのは、空気中の魔術粒子の散布密度を薄めて敵に気が付かせないのが真意であった。
 石化に抵抗して、限界まで体内で魔力循環させる【ブラッディ・キャット】三名。
 《クリムゾン・デスマーチ》の像が停止しているのを確認したメドゥーサは《石化の魔眼》を解除して、クウへと躍りかかった。
 レジストに全力を傾注していたクウは、メドゥーサの強襲に対処できない。メドゥーサの左飛び膝蹴りをテンプルにもらって、半失神する。
 同時に、《クリムゾン・デスマーチ》の魔術幻像が掻き消えた。
「レジストしている相手を最後まで石化させる必要もない」
 単純に発想の転換だ。魔眼で相手を動かない的にしているだけで充分なのだから。
 打撃でKOできるのに、わざわざ攻撃魔術や武器を使用するなど愚の骨頂である。逆に、打撃でKOできないのならば、攻撃魔術や武器を効果的に使えばいいという話だ。
 メドゥーサは得意げにほくそ笑む。

 ――最初から正々堂々と戦う気などゼロだった、と。

 近接格闘で三名を同時に相手にしても勝てると判断している。けれども、余計なリスクを支払わずに済む、安全で確実な手段があるのならば、迷わずそちらを採択するだけだ。
 勝者になる=強者の証明ではないのだから。
 メドゥーサにとって、戦闘においての『強者の証明』など一セントの価値もないのだ。
 死に体で地面に堕ちる仲間を、しかしメイとアンは気に掛ける余裕はない。
 メドゥーサが呟いた『【NEO=DRIVES】の欠陥』が顕在化しているのである。
 辛うじて着地したメイとアンであるが、増加した【DRIVES】の負荷に、立っているだけで精一杯になっていた。
 半失神状態で倒れたままのクウは、【NEO=DRIVES】どころか【魔導機術】そのものが、強制シャットダウンしている。
 クウが分担していた負荷が、残ったメイとアンにのし掛かっているのだ。負荷が許容値を超えてしまい、全身がバラバラになりそうだ。
「メイっ!」
 アンの意志を汲み、メイが【NEO=DRIVES】を緊急停止させた。
 正式な停止手順を踏めたメイは、どうにか強制解除後に襲ってくる過負荷の反動から逃れられた。しかし代償として、【NEO=DRIVES】の負荷全てを、アンが背負い込んでしまう。次いでアンも【NEO=DRIVES】解除に入る。過負荷でアンの意識が薄らぐ。危険と判定されてシステム側から接続を切られると、解除時にくる反動負荷の餌食である。
 だが――全てが遅すぎた。
「それじゃ、こちらから倒すわ」
 ずどん。メドゥーサの右ストレートが、棒立ちかつ無防備のアンに炸裂した。
 真正面から完璧に顎を捉えた右拳の衝撃で、アンは脳震盪を起こされて呆気なくダウン。
 前のめりにバッタリと倒れ込み、一目で戦闘続行不可能と判る様子だ。
 メドゥーサは最後の一名となったメイに向き合った。
「さて、決着はついたわね」
 メイはその台詞を否定できない。
 どう足掻いても【ブラッディ・キャット】では一太刀すら与えられないのが証明された。
 だからといって、意識があり四肢が動く状態での降伏は、メイにはあり得ない。
 まだ《キャット・オブ・アサシン》は生きている。アンが残してくれた【基本形態】だ。
 メイは決意する。先に倒されてしまったアンとクウに恥じない散り方を――ッ!!
「抜くんでしょうね、サブマシンガンを」
 メドゥーサの嘲りを無視して、メイはサブマシンガンを抜く。
 それだけではなく、体内の魔力循環を最大にして石化魔術に備えた。魔術抵抗(レジスト)し切れないのは理解しているが、人差し指がトリガーをノックするまで抵抗できればいいのだ。
 双眸の輝きと共に、メドゥーサの《石化の魔眼》がメイを見据えた。
 しかしメイの身体には石化現象が顕れない。まさかの不発か、とメイの頬が釣り上がる。
「もらいました」
 フルオートモードでメドゥーサの頭を吹っ飛ばそうとして――メイは絶望した。

 サブマシンガンのトリガーに掛かっている指が石化していた。

 気が付けなかった。つまり自身に及ぶ魔術効果をサーチできなかったのである。電脳世界の【ベース・ウィンドウ】本体が魔眼によるウィルスに侵食されていようとは。相手の魔術抵抗(レジスト)に紛れ込んで、電脳世界そのものを石化させる――これこそが《石化の魔眼》の真の脅威だ。
 メギャァ! メドゥーサの左ミドルキックが、メイの右脇腹を破壊する。
 メイは苦悶に顔を歪めた。恐ろしい切れ味の左ミドルだ。そして重い。これだけで常人相手ならば簡単に殺害可能な必殺の技といっていい。あまりの威力に、メイの動きが止まる。
「もう一発」
 二連発(ダブル)で、メドゥーサは左キックをもっていく。
 身心に刻み込まれた脇腹の激痛に負けて、メイはサブマシンガンを持ったまま、右脇腹を守りにガードしにいってしまう。
 メイとて定石に引っかかっていると分かっているが、それでもダメだった。
 定石通りのフィニッシュ・シーンが演出される。
 一発目のミドルでガードを下げさせての、狙い澄ました左ハイキック。
 ドン!! メイの首から上を刈り取る勢いで、メドゥーサの左足が鋭く蹴り抜かれた。
 横薙ぎにダウンしたメイは、失神だけは免れる。
 しかし指一本すら微動だにさせられない――完全KO敗けであった。
 生きているだけで幸運だろう。常人ならば勁骨が折れていた鉈のような一蹴りであった。
「弱いといよりも、知恵が足りないわ。所詮は人モドキの飼い猫に過ぎなかったわね」
 メドゥーサは【ブラッディ・キャット】に背を向けた。

 

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(お、終わった。終わってしまいました)
 メイの両目から溢れた涙が、頬を伝って地面を濡らしていく。
 立てない。動けない。完膚無きまでに叩きのめされた――文字通りの完全敗北だ。
 ルシアの予想では『ほぼ勝ち目はない』であった。
 けれど勝つつもりであった。自分達の飼い主の為ではなく――統護の為に。
 シミュレート通りといえば、その通りの敗北であったのだが、メイ、アン、クウに課せられた役割は、統護と締里の為の時間稼ぎである。
 同じ捨て駒で終わるにしても、せめて役割を全うしてから終わりたかった。
(統護様、隊長、申し訳ございません)
 自分達の失態だ。このままラグナス姉妹にポアンと特注レアメタルを奪われて……

「――へえ? どういう手品(マジック)を使ったの? 堂桜統護」

 険を帯びたメドゥーサの台詞に、堂桜統護という単語に、メイの四肢に微かな力が戻る。
 自分でも驚く事に、なんとメイは自力で立ち上がっていた。
 メイだけではなくアンとクウも同じだ。
 そして三名は、メドゥーサの視線の先を見る。

 其処には、堂桜統護が立っていた。

 統護が歩み寄ってくる。
 脳にダメージを受けて鮮明な思考ができないメイでも、その異常には気が付ける。
 立っている方角がおかしい。
 メドゥーサを工場から追ってきた方向ではなく、統護は街境側から歩いてきているのだ。
 統護が言った。
「タネのない手品を使ってやってきた。メイ、アン、クウ、遅れて悪かったな。そして、ありがとう。よくここまで持ちこたえてくれた。ここから先は俺と締里に任せてくれ」
 労いの言葉に、三名の頬に新たな涙が伝う。
 悔し涙とは違う涙だ。
 懸命に泣くのを堪えるメイは声を大きく震わせた。
「お待ちしておりました、統護様」
 腰を折って、深々と頭を下げた。半死半生の状態だが、誇りを込めた渾身のお辞儀だ。
 アンとクウも言葉を続ける。
「【エレメントマスター】――《邪王のメドゥーサ》は強敵です」
「油断なさらぬよう。どうかご武運を」
 三名の言葉を受けた統護は、特に気負うでもなく、事も無げに言葉を返した。
 その台詞に三名は驚きで目を丸くする。
 統護は平然とこう云ったのだ。

 ――単に『勝つだけ』ならば何てことない相手だから心配するな、と。

 

 

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