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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第5部(第24話)

第四章  託す希望 3 ―コード―

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         3

 

 統護は脱いだ上着を着直した。
 二階のベランダから統護を見下ろすポアンは、動こうとしない。
 出迎えないので勝手に入れという事か。統護はそう解釈して正面玄関へと歩を進めた。
 約束通りに面会するのは統護のみだ。ラナティアはその場で待機してもらう。
 統護が玄関前に立つと、扉がゆっくりと開いた。
 スライド式の自動ドアではなく、手動で開閉させる観音開きである。

 

 恭しく扉を引いて統護を出迎えたのは、二人の青年だ。

 

 統護は軽く驚く。検査室にいるのはポアン一人だと思っていたからだ。ルシアからの情報には、この二人の存在は欠落していた。
(ルシアでさえも、ポアンと検査室については正確に把握できなかった、という事か)
 二人は二十代後半から三十代前半といった年齢に見える。
 共に、やや細身で長身だ。一九〇センチはあるか。
 肩幅は広く、細身であっても決して華奢ではない。二人が羽織っている研究員用の白衣を脱げば、案外、筋肉質で頑健な体格であるかもしれない。
 顔付きは、目鼻の彫りが深い白人系だ。特に鼻が高い。
 力強い造形の貌なのに、不思議と優しげで中性的な印象を、統護は受けている。
 右の男が金髪で碧眼。
 左の男が黒髪で茶色い瞳。
 共に白人系だが、左の男の肌は若干黒みがかっている。
 髪型は揃えており、オールバックにしたセミロングの頭髪は、軽くウェーブを巻いていた。
 右の男が統護を手招きする。
「ようやく逢えたね。待っていたよ、堂桜統護」
 相手の口調と表情に、統護は迷った。
 この二人にどういった口調と態度で接すればいいのか判断がつかない。普通に「案内をお願いします」と頼むべきか、堂桜の嫡男として「案内してくれ」と命じればいいのか……
 不思議な感覚だ。
 何故だろう? 想定外の二人にしても、なんら気兼ねなく話し掛けられるこの特別な状況で、まさか言葉遣いに詰まるなんて。
 黙っているわけにもいかないので、統護は口を開こうとした。
 統護が言葉を発する寸前、左の男が言った。
「まあ、とにかく入れ。中に入ればすぐに理解できるだろうさ」
 彼等に一言も発しないまま、統護は玄関内に入る。
 玄関から窺える一階の様子、間取りは、奇をてらっていないスタンダードな普通の洋館といえよう。
 二人の男によって扉が閉められる。

 


 景色が一変した。

 


 今度こそ統護は本気で驚かされた。
「な、何だと!?」
 慌てて周囲を見回し、状況を把握する。白い――純白の空間だ。その白さには、染み一つ、汚れ一つない。真白と白のコントラストのみで構成されている世界である。
 風景はなだらかな草原。空は快晴。ただし青空ではなく、空も白い。
 そして広さは無限だ。
 どこまでも際限なく広がっており、地平線すら認識不能である。
 セカイそのものが変革している、と思った。

 

「これは――純虚数空間(インナースペース)なのか?」

 

 検査室という名目の洋館だったが、建物内部にまさか純虚数空間を包括していようとは。
 統護は二人の男を振り返る。
 最悪で、このまま神魔戦に突入するかもしれない。しかし、今の統護は――
 身構えた統護に、二人の男は苦笑を浮かべた。
「心配しなくてもいい。我らに戦闘の意志はないのだから」
「そう。我らは約束通りにお前に特注のレアメタル――《アスティカ》を渡すだけだ」
「敵対の意志はない」
 神魔戦にはならないと確認できて、安堵する。
 統護は彼等を誰何した。
「受け取る前に訊くが、お前達は何者なんだ?」
 レアメタルの秘密どころではない。まさか直接的に〔神〕が関わっていようとは。
 問われて、右の男が言った。

 


「俺は《ライトエンジェル》として〈神下〉した者である」

 


 右座に位置せし、栄光で光り輝く天使(ライト・エンジェル)――それが右の男の正体。
 続いて、左の男が言った。

 


「そして俺は《レフトデビル》として〈神下〉した者だ」

 


 左座に位置せし、咎から取り残された悪魔(レフト・デビル)――それが左の男の正体。
 名乗り終わり、両者は白衣を脱いだ。

 

 天使の男の背に、白い羽毛を纏った双翼が三対、顕現した。
 悪魔の男の背に、コウモリの羽めいた一対の翼が顕現した。
 次いで。

 

 天使の男の頭上に、荘厳な【天使の輪】が浮かんで輝く。
 悪魔の男の頭部に、禍々しい【悪魔の角】が生えて輝く。

 

 白い光と紅い光。この【天使の輪】と【悪魔の角】が、彼等が主である〔主神〕からチカラを受信する役割を果たしている。いわばアンテナだ。
 統護は驚かなかった。この二名が〈神下〉者であるのは状況から当然だろう。

 

 ――〈神下〉者とは、主としての〔神〕に、人を超えた存在係数を与えられた臣下だ。

 

 その手続きとして、其の者は〔神〕に〈素体〉として認可される必要がある。ただし臣下とはいっても、〈素体〉は『生きた人間』である必要はない。また、顕現させるモノによっては、必ずしも人型でなくともよい。純粋に『器』として相応しいか否かだ。
 そして〈素体〉は〔神〕に存在コード(名)を与えられ、〔神〕=超越存在に準じた超常存在として、存在を世界に上書きされて顕現する。
 コードは二種類だ。
 右席を認められた者はエンジェルコード。
 左席を認められた者はデビルコード。
 すなわち――天使と悪魔として。
 空席となっているフリーコードの数だけ〔神〕は天使と悪魔を、己が臣下として顕現させられるが、同一コードによる重複使用はできない。
 彼等が天使と悪魔である事は問題ではない。問題は、彼等の〔主神〕が誰かという事だ。
 天使の男が言う。
「まずお前の勘違いを正そう、堂桜統護。ここは純虚数空間(インナースペース)ではない。我らは〈神下〉者とはいえ、〔神〕ではない。そして〈素体〉である我らは、堂桜の選ばれし血脈――〈資格者〉でもない。故に〈創造神〉にこの【イグニアス】世界において〈ゲイン〉現象を起こす資格は与えられていないのだ。この限定世界は純虚数空間(インナースペース)と似て非なるものである。大前提として時間は停止しておらず、外界との仕切りは【結界】によってなされている」
「要するに、この検査室を【結界】の触媒にして、内部に機能限定の純虚数空間(インナースペース)を展開しているのか」
 悪魔の男が頷いた。
「大雑把にはその理解で間違いないな。六つに独立した工場と中央に配置されたこの検査室は、一種の【魔方陣】として機能している。この王国の民から継続的に採取している魔力により、この疑似的な純虚数空間(インナースペース)を維持しているんだよ」
 大枠の構造は分かった。
 元の世界には存在していないファン王国という場所が、この機能限定の疑似的な純虚数空間を維持する為の装置だったとは。
「お前達だけではなく、ポアンも〈神下〉者なのか?」
「いいや、違う。ポアンについては後に説明しよう。とにかく付いてこい、堂桜統護」
 悪魔の男の言葉に、天使の男が付け足した。
「選ばれしこの空間では、堂桜統護と呼ぶよりも〈神座〉保持者といった方が相応しいか」
「どっちでも好きに呼べよ」
 統護にとっては、どちらでも構わない事だ。

 

 事実として、統護はその〔魂〕の裡に〈神座〉を保持している。

 

 元の世界における堂桜と、この異世界【イグニアス】における堂桜では、名に秘めらている意味が異なっている。元の世界での堂桜の血脈は、〔神〕との〔契約〕を継承していく為の、歴史から隠された一族だ。古来からの〔神〕との〔契約〕に従って、その血脈者は鍛錬を課せられていた。自然と一体化して心を鍛え、数多の武術を通じて身体を鍛えるのだ。環境汚染により自然力が弱まり、今や堂桜にしか触れる事ができなくなっている〔精霊〕や〔御霊〕達と通じられる
 〔魂〕を精錬するのが『堂桜(蘊奥)の業』の真の目的で、在り方であった。
 元の世界での堂桜の二つ名は――〔霊能師〕だ。
 堂桜の一族は〔神〕との〔契約〕によって〔精霊〕や〔御霊〕を使役して、自然に対して超常現象を起こせる。いわば奇蹟を体現できるのである。
 とはいっても、自然の減少・衰退に比例して〔精霊〕力が弱まっているので、〔霊能師〕としてのチカラを発揮しても、ごく小さな奇蹟しか起こせなくなっていた。
 マッチに火を灯す。
 そよ風を吹かせる。
 静電気を弾かせる。
 一瞬だけ光らせる。
 そのレヴェルの超常現象が精一杯だった。かつて世界に自然が溢れて〔精霊〕が繁栄していた頃ならば、劫火、大雨、暴風、落雷といった巨大な現象を自在に操れたらしい。

 

 しかし、統護の〔魂〕は〔霊能師〕として機能するだけではなかった。

 

 今でも全ての記憶は戻っていない。
 この異世界【イグニアス】に転生する原因となった事故を、思い出せないままである。
 統護は過日の対抗戦で、二度目の転生を経験した。
 戦闘系魔術師イヴ・ウィンターを〈素体〉とした〈神下〉者――大天使ジブリールと、初めてとなる神魔戦に臨んだ。
 この【イグニアス】世界では、転生者である統護は異物=〈イレギュラー〉だった。
 発端は、Dr.ケイネスこと堂桜那々覇の実験である。
 那々覇が発動させた〈ゲイン〉により、純虚数空間が形成された。
 実験はそれだけではなかった。クィーン細胞によりイヴを〈素体〉に仕立て上げた那々覇は、堂桜の〈資格者〉としての能力も試したのだ。
 すなわち〔名〕を与えて、〈素体〉を大天使ジブリールとして顕現させたのである。
 実験は成功を収めて、那々覇の計画は終わった。
 そこから先は那々覇の意志を離れ、〈創造神〉の介入により事態は進む事となる。
 この事態を利用しようと【イグニアス】世界の〈創造神〉は、臣下であるジブリールに使命を送り、統護の因果素子を解析を目論んだのである。この世界の管理システムでは実数空間――つまり現実世界の状態だと因果素子を正確かつ精緻には読み込めない。よって、那々覇による〈ゲイン〉発動は、〈創造神〉にとってもチャンスだったのだ。
 因果素子をスキャンする為に、ジブリールは統護を『裁きの光』で素粒子レヴェルに滅した。
 統護は死んだ。
 だがジブリールのスキャンに抵抗しようと――統護は二度目の転生を果たしたのである。
 二度目の転生を切っ掛けに、統護は己の〔魂〕に〈神座〉が宿っていると知覚した。
 いや、宿していると思い出したのかもしれない。
 統護は〈神座〉を開封して、一時的に〈神化〉する事によりジブリールを斃した。

 

 では――その〈神座〉とは?

 

 無限に存在している世界は、例外なく〈創造神〉の手によって誕生したものである。
 根源の更に奥に息づいている根幹。
 その超常存在がオリジナルの〔神〕であった。
 創造された数多の世界に、数多の人間が生まれた。
 やがて人間は様々な神話を創造した。
 時代を超えて伝承されていく神話の解釈は、同一世界内ですら多岐に渡る。
 平行世界を股に掛けると、なおさら逸話は多様化する。
 おそらくは、どの世界、どの時代においても、超感覚的に根源に近い因果素子を感じ取れる人間がいたからであろう。
 やがてオリジナルの〔神〕は、そのチカラを分割して、人間へと分散させた。
 すなわち〈神座〉として人間に分与したのである。
 そして〈神座〉のモデルおよびラベリングは、人間が創造した神話を参考にしていた。
 絶対神であるオリジナルは【大いなる意志(グレート・マザー)】として『姿』を消し、――〈神座〉に覚醒して、人間から〔神〕へと〈神化〉した者達による、新たなる時代が到来したのだ。
 超越存在であるはずの〔神〕が人間臭いのは、ベースが人間だからに他ならない。
 統護の〔魂〕にも〈神座〉が宿っていた。
 ここまでが、現状の統護が把握している〔神〕についての知識である。

 

 また、詠月から聞かされた〈資格者〉について、統護は考察した。

 

 この【イグニアス】とラベリングされた異世界は、他の平行世界とは違う特別のようだ。
 数多無限の平行世界から『堂桜の血脈』が集められた世界。
 堂桜はどの世界においても、特別な血筋である。
 〔名(コード)〕を与えるのは〔神〕の特権にも関わらず、堂桜には〔名〕を与えるチカラがその血に宿っているのだ。
 転生させられた堂桜は、皆、赤子からスタートした。
 しかし〈神座〉保持者である統護だけは、例外的に高校二年時を保ち二度、転生した。
 詠月が云うには、転生させられた堂桜の内、選ばれた七名だけが七つの席を許される。すなわち〈資格者〉として参加できるという。
 この【イグニアス】世界の〈創造神〉が開催したゲームに。
 勝利条件は不明。
 ただしバトルロイヤルやデスゲーム式ではなく、ライバルを全滅させても勝利にならない。
 正確な勝利条件を推理して、探し当てるのも提示されたゲームの内容なのだ。

 

 そして勝者には――〈神座〉が与えられる。

 

 統護はそこで思考を中断した。
 神が開催したゲームは、間違いなく他の〔神〕による妨害が入っている。
 自分という〈イレギュラー〉の存在もその一つだろう。
 先導する二名の背中を見ながら、統護は訊いた。
「アンタ達のコードは固定されているのか?」
 天使の男が即答する。
「確定している。お前はまだ〔神〕としての己を固定していないのだったな」
 悪魔の男が肩を竦めた。
「堂桜という血脈には呆れる。〔名〕を確定させずに、人間と〔神〕の間を意図したカタチで可逆的に存在できるのだから」
 その言葉通りに、通常は〈神化〉すると〔神〕から人間には戻れないのだ。
 けれども、統護だけは堂桜の血脈の特殊性を利用する事によって〈神化〉を解除できる。
 ただし反動は大きい。超人化した肉体でなければ耐えられずに、砕け散るだろう。
 天使と悪魔が順次、名乗った。

 

「俺のエンジェルコードは――ウリエルだ」
「そして俺のデビルコードは――ベリアル」

 

 天使ウリエルと悪魔ベリアル。
 共に有名な天使と悪魔である。むろん統護の元世界にある神話で語られるウリエルとベリアルとは、根本的に別存在だと理解はしている。
 どちらが本物、どちらが真実という話ではなく、この二者は現実に顕現しているのだ。
「俺達は〈神下〉者ゆえに、この【結界】内でのみ存在を赦されている」
「仮に俺達が【結界】外に踏み出してしまうと、巨大過ぎる存在係数が為に、【イグニアス】世界に『ただ居るだけで』多大な影響を与えてしまうからな」
 そう。〔神〕のみならず〈神下〉者であっても、直接的な現界は禁じられているのだ。
 禁忌を破って、受肉化した状態で顕現したのならば、他の〔神〕が介入してくる。場合によっては神魔戦争(ラグナロク)になってしまう。
 三名――一人と二柱は歩を進めていく。
 ウリエルとベリアルは二人とカウントする存在ではなく、二柱と数えるべきだ。
 やがて景色が変化した。
 草原の中に、幾つもの倉庫が並んでいる。大きさは一般家屋程度か。
 シンプルな外観の四角い建物だ。
「一番右側の建物だ。あの中にお前に渡す為のレアメタルが錬成されている」
 扉の類はない。出入り口としての四角い穴があるだけだ。
 案内されて、統護は中に入る。予想通りに、外観よりも内部は遙かに広大であった。
「こ、これは――っ!!」
 想像を絶する光景に、統護は息を飲む。
 中央にある台座に置かれているレアメタルにではない。

 

 この建物内を満たしている照明――光の正体にだ。

 

 天井を隙間なく満たしている光源に、統護は思わず首を横に振る。
 降り注いでいる光の束が編み上がる様に、レアメタルに収束しているのだ。
 直感的に理解した。蓄積された光量と密度によって、レアメタルの等級が決定付づけられる。逆に、この光を浴びていないレアメタルは【DVIS】用の宝玉として機能しない。
(締里、オリガさん)
 統護の全身から大量の汗が滴った。
「そういう事かよ。これが、これが【魔導機術】システムの秘密の一端か」
 謎の全てを把握できたわけではない。
 だが、この【イグニアス】世界に魔術が発展している理由を推理するのには充分な光景だ。
 本来ならば、魔術という概念は、一般社会から秘匿されて然るべき存在なのである。
 ウリエルが微かに笑む。
「ちなみに【結界】には記憶消去の機能がある。いかに〈神座〉保持者である君であっても、外に出た瞬間に、今まで見た光景の全てを忘れる」
 その言葉に統護は歯噛みした。
 せっかく【魔導機術】システムの核心に触れたというのに。
 ベリアルが言う。
「記憶消去の機能を持たせないと、うっかり迷い込んだ人間を消去しなければならない。それは可哀相だ、という俺達の主の慈悲だよ」
「ああ、そうだな」
 否定する気にはならなかった。
「で? ポアンについての説明は? そろそろ教えてくれてもいいんじゃないか?」
 薄々感じ取っていた。おそらくポアンは内部の詳細を知らされていない、と。
 番人であり管理者であるのは、この天使と悪魔なのだ。
 統護の催促に、ウリエルが両手を広げた。
「慌てるな。そいつは最後にしたい。それよりも先に見てもらいたい人物、是非とも紹介しておきたい者がいるんだ」
「紹介しておきたい者、だって?」
「そうだ。だが直接の面会ではない。〈神下〉者である俺達はもちろん、主でさえ、直接的にお前達を対峙させる事は不可能なのでな」
 ウリエルの頭上に、PCモニタめいた立体映像が出現した。
 むろん幻像である。
 モニタ内はノイズで埋まっている。要するに、これから映す紹介映像を見ろという事だ。
 映像が始まる前に、ベリアルが告げた。
「お前も名前は知っている男だ。その男は……、多層宗教連合体【エルメ・サイア】の首領」
 この場では予想もできない名に、統護は両目を見開いた。
 まさか…まさか……っ。
 そんな統護の反応を無視し、ベリアルが続ける。

 

「そう。――ヤツは《ファーザー》と呼ばれている、お前と同じ〈神座〉保持者だ」

 

 そして、ヤツはお前が倒すべき宿敵であり『この世界の敵』に他ならない――という台詞と共に、モニタ内のノイズが晴れて、映像がスタートした。
 男が映し出される。
 映像を食い入るように見つめる統護。
(嘘だろ? 【エルメ・サイア】の首領が、俺と同じ!?)
 この時。
 初めて統護は〔神〕同士として拳を交える運命にある、宿敵を目にする事となる。

 

 

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