アニメを斬る!

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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第5部(第12話)

第二章  見えない敵 5 ―オーフレイムVS一太郎①―

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         5

 私の友人の気持ちに応えなさい。
 凛としたアリーシアの命令を受け、オーフレイムは大きく肩を竦めた。
 泰然とした表情に変化は少ない。だが……
いいだろう、アリーシア姫よ。俺もこの国に世話になっている身だからな。臣下の端くれとして『ご命令』には逆らえないか。まあ、しかし、なんだ。大人しく『お客様』に収まっていてもらえれば、俺としても相手をするのは楽だったんだが。色々と面倒だな、逆恨みは」
 後でのクレームは受け付けない、と微かに口の端を持ち上げる。
 風間姉弟に向ける瞳は、完全に見下しているソレだ。
 本性を現したオーフレイムに、一太郎が噛み付く。
「客だからって、ふんぞり返る趣味はないんだよ、俺はな! 特にテメエに対しては」
「俺は初対面のお前なぞ、何の興味もないがな。にしても、ニホンという国は『お客様は神様』ではなかったか? 確か時給千円のコンビニ店員にも『お客様』としてもてなせ、という傲慢な風習が常識とか聞いたが? しかもチップすら払わないケチっぷりでな。タダでのサービスと安くて良い物を求める――『安っぽい』国民性なんだろ? なのに、どうしてお前は『俺にもてなされるお客様という役割』で我慢できないのだ? しかもニホン人は我慢と同調が美徳らしいじゃないか。お前はなぜニホン人らしい『空気を読んだ』我慢ができない」
「自己主張が俺の美徳でな。それからサービスに対してのチップはケチらないぜ。隠居中だっていうテメエを満足させてやるよ。俺はな、チップも払わないケチなのに客扱いしろ、だなんてビンボー臭い事は言わない。チップは弾むから神様扱いしろってだけだぜ」
 オーフレイムの視線は冷めたままだ。
「どうやらお前は俺にお客様として対応されて、少し図に乗って誤解しているようだな。本来ならお前程度、俺の客でなければ、会話する意義さえ見いだせない相手だ。職務マニュアルに則った丁寧な言葉遣いでの機械的なやり取り――俺のお前にとっての価値など、その程度だ。アリーシア姫の命令がなければ、本来の俺の言葉での会話は、時間の無駄で無意義だ」
「その舐めた認識を俺が変えてやるよ。有意義な時間にしてやるぜ」
 オーフレイムは歩き出す。その背中の肉厚と威圧感、そして纏っている雰囲気は、警備部門総責任者のそれではなくなっている。まるで獲物を定めた巨大な肉食獣だ。
 一太郎を先頭に、二三子とアリーシアも続いた。
「ゴメンな姫はん。ホンマに堪忍な。なんか色々と台無しにしてもうて……」
「気にしないで。友達でしょう」
「そう言ってもらえると、心底から救われるで」
 場所を告げずに案内するオーフレイムは、肩越しから二三子に目をやった。
「確かに台無しだな。職業忍者であるお前達が護衛についた――という事は、工場内の様子、いや、セキュリティ態勢を、姫様本人ではなくお前達が偵察したかったのだろう? それが弟の感情的な暴走でパーになった。他人事ながらご愁傷様だ」
 真の目的を見透かされている。
 どの道、無駄足だった様だ。
「見学許可が下りるまでの短時間で、よくそこまで調べられるもんや。感心したで」
「心当たりがあってな。正直いってニホン人の顔は俺には見分けがつきにくい。だから油断して不覚をとった。それで先回りして色々と調べておいたんだよ」
「油断? 不覚? 言っとる意味が分からんで」
 オーフレイムはそれ以上は何も言わず、黙々と歩き続ける。
 正門と検問エリアを過ぎて――アリーシアの目に飛び込んでくる景色は雄大だ。
 採掘方法は露天掘りである。
 坑道を掘らずに、地表から地下へと採掘を進めていく方法だ。渦を巻くように、専用の大型重機によって地表を削り込む。
 階段式と呼ばれる、階段を作るように層を作り掘っていく方法。
 グローリーホール式と呼ばれる、山腹に掘った横坑から、鉱床の真下へと縦坑を貫通させて、周囲を漏斗状に掘っていく方法。
 大別される二種類のうち、この採掘現場は階段式を採用している。
 サブ重機としてのショベルカーとダンプカーが右往左往する中、固定された巨大クレーンを操作する露天掘り用の重機が、地響きのような採掘音を響かせていた。
 ニホンとは土地のスケールが違う。
 アリーシアは採掘現場の迫力に圧倒されていた。
 オーフレイムが確認する。
「本当は採掘現場や精錬・加工・出荷の各工場ではなく、ロ・ポアン・ゼウレトスの居場所に行きたかったのだろう?」
「ええ。その通りよ。可能ならば私だけでも案内してもらえると嬉しいわ」
 少しでも統護と締里の力になりたいのだ。
「無理だな。たとえ姫様の頼みでもな。王家の権限でも面会できないのは俺も知っている。それに過去に何度も王家からの刺客が、ロ・ポアン・ゼウレトスだけではなく歴代検査員の拉致を試みているが、いずれも失敗に終わっている。職務上の義務というよりも、俺個人のレヴェルで干渉できるスケールの問題ではない」
「刺客? 拉致?」
 目を丸くするアリーシアを、オーフレイムは嘲った。
「まだ知らされていないか。王家側だってポアンに対して、黙って指を咥えているわけがないだろうよ。理由は知らないが、ある程度なら推理できる。技術的なノウハウをポアンが独占していて、それ故に、王家側はポアンに強く出られない――程度ならな。簡単な構図だ」
 アリーシアは何も言えなかった。
 二三子を見る。彼女は否定しない。ポアン拉致未遂は事実なのだと、アリーシアは知った。
(やはり、まだ私は旗頭のお人形に過ぎないのね)
 自分が置かれている立場と、自分が目指す理想のギャップに、心が軋んだ。
 痛感する。武器が欲しい。
 自陣である王政派と父王に対しての、効果的な武器(交渉カード)が――

 やがて一行は人気のない場所に辿り着く。

 目の前には大きな倉庫がある。
「備品の管理倉庫だ。俺の持っているマスターキーで解錠できる。まあ、鍵は簡単な代物だし、倉庫自体も掘っ立て小屋だ。ここは朝と夜に一度ずつ異常がないかどうか、巡回径路に組み込まれている――要するに技術者だけでなく作業員も滅多に入らない場所ってわけだ」
 オーフレイムに促され、アリーシア達は中に入る。
 【魔導機術】による魔術照明が灯り、倉庫内が照らされた。
 様々な備品で埋め尽くされているが、整理整頓されているので余剰スペースは充分だ。
 一番広い空いた場所――十五メートル四方はある――を選ぶと、オーフレイムが制服の上着と制帽を脱いだ。
 露わになった裸の上半身は、見事にビルドアップされている。
 ボディビルダー並に各筋肉部位が肥大し、カッティングがクッキリと付いていた。
 しかし無駄に太いという印象はない。太くて大きくとも、必要な筋肉量だ。
「お前も上半身裸になれ、風間一太郎」
 云われて、一太郎も上半身の衣服を全て脱ぐ。彼の躰も鋼のように鍛錬されている。
 一太郎の肉体を、オーフレイムは冷静な目で吟味した。
「成長期を終えていないからか、まだ線が細い。肉が足りない。とはいえ、それなりに鍛え込まれているか。いいだろう。辛うじてだが、ギリギリで合格だな。ご希望に応えて戦ってやるとしよう。いくら姫様の命令でも、貧弱に過ぎる者とはバカバカしくて戦えないからな」
「辛うじて、かよ」
 オーフレイムの評価に、一太郎は顔を歪める。彼とて、物心つく前から血の滲むような鍛錬を積み重ねて、己の肉体を造り上げている。二三子も悔しそうに、奥歯を軋ませた。
「悔しいか? しかしだ。現実としてプロの格闘家に比べると、戦闘系魔術師ソーサラーはあまりに弱過ぎる。俺は期待したんだよ。魔術によってロングレンジからショートレンジまでのオールレンジを自在に支配し、かつ近接戦闘もこなせるのが一流の【ソーサラー】だというからな」
 二三子が呻くように言葉を漏らす。
「せやけど、ワレのSMAの前には、戦闘系魔術師ソーサラーは雑魚だったっちゅうわけかい」
「そうだ。俺にとって戦闘系魔術師ソーサラーは期待外れもいいところだった」

 SMA――ソーサリス・マーシャル・アーツの略だ。

 オーフレイムが得意とする魔術戦闘においての独特な戦い方は、いつしかSMAと定義されるようになり、世界中の戦闘系魔術師ソーサラーから恐れられていた。
 ゴキゴキィ、とオーフレイムが両拳の骨を鳴らす。
 凄みのある声音で、戦闘開始を宣言した。

「アリーシア姫の頼みを聞いて、逆恨みを晴らす機会を与えてやる。その代わり、俺は判定させてもらうぞ、一太郎。俺のSMAによって、お前が――強いのか、弱いのかを」

 

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 風間姉弟は【ソーサラー】であると同時に、忍者である。
 スシ、ゲイシャ、フジヤマ、サムライ、そしてニンジャという単語は海外におけるニホンの代名詞的な存在といえよう。剣道家と剣術家を侍と形容しないのならば、現代では、侍という職業は途絶えていた。
 しかし――侍とは異なり忍者は現存している。
 諜報・隠密のエキスパートとして。そしてニホン古来の戦闘技能者としてだ。
 二三子と一太郎の流派『戸隠流』は、甲賀流・伊賀流に並ぶメジャーな流派である。戸隠流の格闘技能は、『戸隠流格闘術』『戸隠流戦闘術』として、二十万人を超える門下生を全世界規模のネットワークにより抱えている。当然、海外の特務機関にも太いパイプを有しているのだ。また、世界で活躍している格闘家にも戸隠流の門下生、関係者は少なくない。
「ねえ、二三子さん。正直いって一太郎くんに勝ち目はあるの?」
 不安げなアリーシアの問いに、二三子は正直に答える。
「勝機は限りなくゼロや。勝ち負けというよりも、一発かまさなければ気が済まない、って感じで喧嘩売ったんやろうな。あるいは将来、リベンジマッチを挑んで勝つために、たとえ負けても実際に戦っておきたいってところか」
「負けたとしても?」
「そや。ウチ等はオーフレイムのデータを集めて対策はシミュレートしているけど、所詮、シミュレートはシミュレートに過ぎん。百通りのイメージトレーニングよりも、一度の実戦の方が遙かに有意義やで」
 二三子と一太郎は、過日の対抗戦での試合で、《マジックブレイカー》こと氷室臣人に惨敗を喫していた。ほぼ無策で正面からKO負けを食らったのだ。
 けれど、その敗北はデータ(経験)として姉弟に蓄積・学習されている。
 次に臣人と戦う機会が訪れたとしても、勝敗は別として、前回と同じ展開にだけは絶対にならない。前回の対戦経験を基にした、対策と作戦を何パターンも容易できるからだ。
 単に知識として把握しているデータと、実際に体験したデータでは雲泥の差がある。
 それに体験したデータは経験になるのだ。
「ま、当然ながら相手にもこっちのデータを与える事になるけどな」
「だったら手の内を隠すの?」
「ちゃうよ。挑戦者なんやから全部をぶつける。次に戦う時、相手の成長と対策よりも、自分等の成長と対策が上回ればいいんや。そんで『今はこっちが強い』と思い知らせる」
 それが本当の勝利――と、二三子は断言した。
 臣人の《マジックブレイカー》と異名される魔術の分解・再構成は、『次に戦っても勝てない』と二三子に思わせる類の戦い方ではなかった。
 逆に、みみ架との試合は『何度、挑んでも結果は同じ』と思い知らされた。
 その違いは大きい。
 二三子の見立てでは、超人的に強くても臣人は、みみ架の域には達していない。彼もいずれ『何度、挑んでも結果は同じ』と対戦相手に思わせる域に到達するのだろうか?
「――ACT」
 一太郎が魔術の起動【ワード】を唱えた。
 彼の専用【DVIS】は肛門に仕込まれているカプセルである。二三子は膣内だ。非人道的と非難される事もあるが、忍者として【DVIS】を体外に曝す意味はないのだ。
 【魔導機術】が立ち上がり、一太郎の周囲に三つの小型竜巻が発生する。
 そして竜巻の色彩が、次々に変化していく。

「これが俺の【基本形態】――《シャドウ・ツイスター》だぜ」

 色彩を制御しているのが、専用【AMP】――《ハッタリ君》である事も明かす。
 専用【AMP】の本体は一太郎の周囲に浮いている掌サイズの円盤だ。
「ま、教えるのはここまでだ」
 一太郎の周囲を、三つの《シャドウ・ツイスター》と七つの《ハッタリ君》が不規則に旋回していた。
 アリーシアは知っている。一見して【風】のエレメントを使用した魔術と思われる【基本形態】であるが、それはフェイクで、磁気および磁界制御が真の魔術特性だと。
 風を発生させている原理は、《ハッタリ君》から射出されている微細な鉄粉の群を、磁気によって高速移動させた際に起こる気流なのだ。
 対抗戦の時は、フェイクの為に二三子が《シャドウ・ツイスター》のみを起動して、一太郎は姉と共に《シャドウ・ツイスター》を起動したふりをした。その実、一太郎が起動していたのは《ハッタリ君》を不可視にする専用の光学迷彩魔術であった。
 しかし一太郎単身で戦う今、彼は最初から専用【AMP】の存在を明かすしかない。
「なるほど。【風】の魔術か」
 オーフレイムは一太郎が期待した台詞を言った。
 次いで、オーフレイムも自身のオリジナル魔術を起動させる。
 専用【DVIS】は籠手だ。左腕に装着されている。防具の中に宝玉とシステムが仕込まれている代物で、この工場に勤務しているガードマンに支給されている貸与品だ。
 オーフレイムの【基本形態】は実にシンプルである。

 籠手の上に、円盤状に輝く『炎の楯』を顕現させたのだ。

「この炎が、俺の【基本形態】――《フレイム・オブ・アイギス》」
 告げられるまでもなく風間姉弟は知っている。
 オーフレイムの戦闘データはアマチュアアスリート時代も含めて、集められるだけ集めて、何年も研究を重ねているのだから。
 アイギスという単語。ギリシャ神話の主神ゼウスが、娘である女神アテナに与えたとされる防具――鍛冶神ヘーパイストスに造られた、あらゆる邪悪を払う絶対防具の名が『アイギス』だ。
 そのアイギスを名として冠した【基本形態】を、オーフレイムは操るのである。
「さて、かかってこい。戦闘系魔術師ソーサラーの若き忍者」
 オーフレイムは《フレイム・オブ・アイギス》を宿している左前腕を、軽く前に掲げただけの直立した姿勢で、一太郎に先手を促した。
「じゃあ、遠慮なくいくぜ」
 一太郎は《ハッタリ君》を二つ、オーフレイムへ飛ばす。
 軌跡は最短距離を描く一直線だ。
 次の瞬間。
 《フレイム・オブ・アイギス》から炎弾を撃ち出して、オーフレイムは二つの《ハッタリ君》をいとも簡単に破壊してしまう。精確無比だ。だが炎弾は迎撃のみで攻撃には使用しない。
 それ以上、オーフレイムは動こうとしなかった。
 一方、先制攻撃を軽々と防がれた一太郎に動揺はなかった。
 想定内である。

 一太郎が飛ばした《ハッタリ君》は牽制――ではなく一太郎の作戦だ。

 まず目的の一つとして、《ハッタリ君》を攻撃用のオプションと誤解させる。
 二つ目の目的として、破壊させた《ハッタリ君》から内蔵させている鉄粉全てを、オーフレイムの周囲に散布させたのだ。
 準備は完了だ。相手は策に嵌まった。自信が過信となり油断に繋がった――と、ほくそ笑む。
 二三子も一太郎の勝利を確信した。まさかこんなに簡単に術中に嵌められるとは。千載一遇とはまさに今だ。殺しはしないが、オーフレイムの自信とプライドを砕く。
 それが自分たち姉弟の復讐であり勝利なのだ。
 興奮と闘志を抑えて、一太郎は【ワード】を叫ぶ。

「――《シャドウ・ブラスター》!!」

 これが対抗戦では隠していた一太郎の切り札だ。
 彼の魔術特性である磁界操作で、散布させている鉄粉同士を、全力で激突させる。
 加えて魔術的にスパークを引き起こし、それら全ての魔術エネルギーをオーフレイムに向けて収束していく。結果、局所的な破壊空間が生まれ、中の者をズタズタに引き裂く――
 純粋な魔術攻撃ゆえに、相手が超次元に展開している電脳世界内の【ベース・ウィンドウ】で魔術サーチされるのも織り込み済みだ。しかし相手に及ぶ魔術効果の解析は間に合っても、対応までは間に合わない。いかに超視界と超時間軸での魔術オペレーションに優れていようが、現実の視界と時間軸での差異で押し切れる。
 対するオーフレイム。
 彼の左前腕から『炎の楯』が消失して、オーフレイムの足下を中心に『炎の絨毯』として再出現している。
 絨毯から放たれたのは、天へと撃たれる炎弾の雨ではない。

 莫大な輻射熱である。

 熱膨張により密度が薄まったオーフレイムの周囲の空気が、爆発的に上昇した。
 ごぉわぉぅうううぅうううっ!!
 空間ごと切り取るような魔術的な上昇気流によって、一太郎の《シャドウ・ブラスター》の破壊エリアは呆気なく天井に運ばれ、木っ端微塵に粉砕されてしまった。
 派生魔術による迎撃。防御魔術によるガード。そのどちらでもない。そして対魔術性で耐えたのでもなかった。いったい、どの様な魔術オペレーションを行ったのか。
「な、なんで? 嘘だろ!?」
 愕然となる一太郎。通用しないにしても、あまりに規格外の光景であった。
 二三子も弟以上に狼狽している。声の震えを抑えられない。
「どういう事や? データにはないで。まさか【基本形態】を瞬間的に切り替えた!? そんなアホみたいな真似、いくら天才でもできるわけあらへん……」
 姉弟の疑問に、オーフレイムが惜しげもなく魔術のタネを明かした。
「俺は言ったはずだ。『炎』が【基本形態】だと。『楯』ではなくな。俺の《フレイム・オブ・アイギス》は魔術事象を楯の形状として身に纏う【基本形態】ではないのだ。アイギスは女神アテナを、あらゆる厄災と邪悪から守護する絶対防具を指す言葉。その形状には様々な諸説が存在している。つまり――……」

 楯という固有の形態ではなく、絶対防御として最適な形状を状況に応じて象る『炎』こそが【基本形態】――《フレイム・オブ・アイギス》の正体である。

 つまり《シャドウ・ブラスター》を防いだのは、最も単純な基本性能による自律防御機能だった。派生魔術による変形や魔術幻像型のコントロールではなく、【基本形態】の基本性能で最適形状への自動変化を実現させているという事。オーフレイムは魔術師としても超天才だ。
 魔術師としての才は、あるいはオルタナティヴさえも凌駕しているかもしれない。
 世辞を抜きにオーフレイムが言う。
「俺の《フレイム・オブ・アイギス》がこの形態に変化したのは、実戦では初めてだ。そういう意味では誇ってもいいぞ、一太郎よ」
「それにしたって、魔術出力と魔術強度が桁外れ過ぎだろうが。俺の《シャドウ・ブラスター》が後出しで完全に吹き飛ばされるなんて」
「別に不思議も理不尽もルール違反もないな。単純に俺の魔力総量と意識容量が【エレメントマスター】化が可能なレヴェルにあるというだけだ。工夫のない力業といっていい」
 二三子が目を丸くする。アリーシアも信じられないという顔だ。
 一太郎の顔から血の気が引いていく。
「心配するな。マスターACTは実験・訓練済みだが、使用するのは相手が【エレメントマスター】である場合に限る。お前には使わない。信念だの己への枷だとかいう話ではなく、【エレメントマスター】の魔術を防ぐには同じ【エレメントマスター】でなければ無理――という理由だけだ。相手の魔術さえ防御できれば、俺には充分だからな」
 圧倒的な自信と自負であった。
 《フレイム・オブ・アイギス》はオーフレイムの左前腕に『炎の楯』として戻る。
 二三子は思い知った。データから想定したオーフレイムよりも、現実のオーフレイムは遙かに怪物的な戦闘系魔術師ソーサラーであると。相手の戦力を見誤って、過小評価していたのだ。
 それは戦闘者としては致命的なミスである。
 オーフレイムは天井から降り注いでくる酸化した鉄粉に苦笑を漏らす。
「そうか。お前の攻撃魔術が発動した時に【ベース・ウィンドウ】で解析したエレメントとスパーク現象で【風】のエレメントではないと察したが、この粉からすると、魔術特性は磁気か。その円盤形の【AMP】は攻撃用ではなく、中に磁力で操作可能な粉末が入っているようだな。竜巻の色が変化したのは、インクジェットプリンタの要領で粉末に染料でも吹き付けていたのかな?」
 隠していた魔術特性がばれてしまった。
 やはりオーフレイムの魔術オペレーション技術の前には、通用するのは一度きりだ。
 二三子が一太郎を叱咤する。
「タネがバレた以上、もう魔術的な小細工はなしや!! こっちかて相手の【基本形態】のタネを分かっとるんや!  恐れるな!  氷室臣人の時と同じ失敗はするんでないで!!」
 姉の一喝で、怯んでいた一太郎の心に火がついた。
 臣人との試合――魔術を分解された一太郎は、どうにか臣人の《マジックブレイカー》としての能力に対抗しようと、策のみが頭を占めてしまった。《スペル=プロセス・オミット》の魔術キャンセルが想定以上で、戦法の修正が利かないまま、そして臣人の格闘戦に飲み込まれた。誤魔化しでカウンターを狙ったが失敗して、そのまま打たれまくって、無残な秒殺KO負けである。
 同じ轍は決して踏まない。それが経験を積むという事だ。
「分かってる、姉貴。もう小細工に囚われての失敗はしない――!!」
 一太郎は三つの《シャドウ・ツイスター》を全て、空気層による小型のバネ――名称《エア・スクリュー・スポット》へと変化させた。
 ロングレンジ戦では話にならない。ならば魔術を併用しての近接戦闘を挑むだけだ。
 横綱相撲のつもりなのか、圧倒しにきた臣人とは違い、オーフレイムは悠然と先手を譲ってくれている。ならば実力に劣るのが明白である以上、それに乗らない手はない。
 意を決した一太郎に、オーフレイムが構えをとった。
 近代MMAのスタンディングにおいて最もベーシックといえる、ボクシングのオーソドックス・スタイルを基準とした総合格闘技用の構えだ。
「ようやく構えたかよ」
「ロングレンジからの魔術攻撃が通じないと理解した様子だからな。理解できるまで、お前の魔術を受け切るだけだったが。直接、来るというのならば、俺も向かうだけだ」
 オーフレイムの雰囲気が――一変する。殺気と闘気が増大した。
 本当の意味で「戦る気」になったのだ。
 みちぃ、と筋骨隆々の背中がパンプアップして、一回り盛り上がった。
 魔術のみでの攻防でも、オーフレイムならば一太郎を圧倒できるだろう。しかしオーフレイムは「必要なし」と、己の魔術は相手の魔術を防ぐ事のみに専念させているのだ。
 すなわち攻撃魔術に頼らなくとも、同等以上の脅威で相手を制圧可能な戦闘能力を、自身の肉体に備えている証左である。
 二三子は祈るように、弟の決意を見守った。
 勝機云々ではなく、せめて一太刀浴びせて欲しいと。次に繋がる戦いをしてくれと。
 高まる緊張感に、アリーシアの喉はカラカラに乾いている。
 戦いの本番はこれからであった。

 

 

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