アニメを斬る!

アニメ関連の話題をメインに、美少女DJ2名が会話形式でお送りする、仮想ラジオブログ!

アニメを斬る!

ヘッダー画像(第1回へ誘導)
— 最 新 記 事 —
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】風林ナイン、打者一巡の猛攻も睦子は凡退する【メジャーセカンド】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】エース睦子、辻堂との練習試合で上々の立ち上がり【メジャーセカンド】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】Wヒロインとして着替えと活躍が期待される道塁を特集する【メジャーセカンド】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】睦子、キノコへの入部テストで接待投球をさせられる【メジャーセカンド】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】睦子、美麗な作画でメインヒロインの貫禄を見せつける【メジャーセカンド】
【遠坂凛】人気声優・植田佳奈の嵌まり役(キャラ)、個人的ベスト5【イシュタル】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】睦子、試合の行方をかけて2度も激走【メジャーセカンド】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】睦子VS道塁、最終回2死で炎のヒロイン対決【メジャーセカンド】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】睦子、千里のピッチングに嫉妬も限界を超えた激走を披露【メジャーセカンド】
【PS4/Nintendo Switch】キャプテン翼 RISE OF NEW CHAMPIONSがヤバすぎと話題沸騰【ジャンル:サッカーアクション】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】ライト睦子、決勝戦にて痛恨のエラーをかます【メジャーセカンド】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】睦子、道塁が再登場して思わずジト目で嫉妬する【メジャーセカンド】
【フィギュア】止まらないホロライブ――全リリースを紹介【白上フブキが初】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】エース睦子、雨中で完投勝利もあまり目立てず【メジャーセカンド】
【アニメ版ワンパンマン】ヒーロー紹介『戦慄のタツマキ』がロリセクシーな件【One Punch-Man】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】メインヒロイン睦子、アニオリで大吾と深夜のデート【メジャーセカンド】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】クリーンナップ睦子、チームは勝利も3打席3三振に終わる【メジャーセカンド】
【メニュー】『ダンベル何キロ持てる?』筋トレ講座を鍛える箇所別にまとめてみた【器具】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】我らが睦子、限界がきて無念の降板【メジャーセカンド】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】睦子パイセン、アニータに先輩の威厳を示す【メジャーセカンド】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】エース睦子、二回戦は立ち上がりに2失点【メジャーセカンド】
【再放送版ハチナイ】アニメ『八月のシンデレラナイン Re:fine』、もう作画崩壊とはいわせない【試合プレー場面まとめ】
【GIF動画で検証】名作女子ベースボールアニメ『大正野球娘。』の作画を振り返る【大正義野球娘】
【フィギュア】毛利蘭ねえちゃんの角が『ねんどろいど』でヤバい件【名探偵コナン】
【ぼっち料理】ハック(Hac) ちょこっと家電 贅沢鍋&グリルおすすめしてみる【Φ12cm HAC2254】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】ヒロイン睦子、未来の義姉いずみと美少女的共演を果たす【メジャーセカンド】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】エース睦子、初勝利後に変顔芸を披露する【メジャーセカンド】
【アニメ版ワンパンマン】ヒーロー紹介『地獄のフブキ』が可愛い件【One Punch-Man】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】睦子、公式戦(大会1回戦)で初先発【メジャーセカンド】
【くぎゅぅぅぅぅ】人気声優・釘宮理恵の嵌まり役(キャラ)、個人的ベスト5【ツンデレの女王】
【アニメ版ワンパンマン】ヒーロー紹介『サイタマ(ハゲマント)』の戦績【One Punch-Man】
【報道ステーション】人気声優・佐藤利奈(サトリナ)の嵌まり役、個人的ベスト5【御坂美琴】
【黒子ちゃんドロップキック】名助演声優・新井里美の嵌まり役、個人的ベスト5【ジャッジメントですの!】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】中1の睦子がアニオリ回想回でも超可愛い件【メジャーセカンド】
【いもいも級の衝撃】きららアニメ『球詠』第4話の先行海外(北米)配信版が作画崩壊【dアニメ版と比べてみた】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】睦子、大吾の情報をもとに打撃の特訓【メジャーセカンド】
【萌えすら捨てて】作画崩壊風きららアニメ『球詠』のプレー場面を集めてみた【野球を追求】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】睦子、アニータとのバッテリーを拒否【メジャーセカンド】
【アニメ『MAJOR 2nd』中学生編】佐倉睦子、練習試合で初の実戦登板【メジャーセカンド】
【アニメ『MAJOR 2nd』】沢 弥生様のご活躍を追いかけてみる【メジャーセカンド】
【上条当麻】旧約(第1部)までの男女平等パンチを振り返ってみる【その幻想をぶち殺す】
【ゾンビランドサガ】アニメ内とリアル声優ライブでの映像を比較してみた【フランシュシュ】
【アニメ第21話(最終回)】Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-【Episode21 Grand Order】
【ハッカドール】伝説のお仕事アニメ、KUROBAKOを振り返ってみる【本家SHIROBAKOもよろすこ】
【アニメ第20話(後半)】Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-【Episode20 絶対魔獣戦線メソポタミアⅡ】
【アニメ第20話(前半)】Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-【Episode20 絶対魔獣戦線メソポタミアⅡ】
【アニメ第19話】Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-【Episode19 絶対魔獣戦線メソポタミアⅠ】
【海外での認識】織田信長のキャラデザを振り返る【日本人のイメージ】
【アニメ第18話】Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-【Episode18 原初の星、見上げる空】
【とあるシリーズ】能力者LEVEL5と各キャラの勢力分布を復習してみよう【禁書目録/超電磁砲】
【範馬刃牙/バキ】ごきげんな朝食(あさめし)【完全再現を目指してみた】
【アニメ第17話】Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-【Episode17 会議は踊る】
【アニメ第16話】Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-【Episode16 目覚め】
【HG/MG/RG】フリーダムガンダム&ストフリが超かっこいい件【登場シーン】
【松智洋先生なんと2作目】はてな☆イリュージョン、第4話でほぼ全編が作画崩壊【いもいもの悪夢再来か】
【アニメ第15話】Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-【Episode15 新しいヒトのカタチ】
【登録方法】アニメをネット視聴する動画配信サービスは「dアニメストア」がオススメ【TVでもOK】
【アニメ第14話】Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-【Episode14 決戦】
【アニメ第13話】Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-【Episode13 さよなら、冥界の女神】
【アニメ第12話】Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-【Episode12 王の死】
【楽天】おしゃれな薄型腕時計を紹介&おすすめしてみる【メンズ】
【お知らせ】ブログの記事レイアウトを変更します【重要】
ヘッダー画像下ライン

魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第6部(第65話)

第四章  宴の真相、神葬の剣 27 ―オルタナティヴVS此花⑦―

スポンサーリンク

 

 

         27

 

 事故や不運を別にして――殺人という烙印。
 それを押されて、なお、ヒトが獣(動物)に堕ちるのではなく、殺人者という咎人に留まる為には、果たして何が必要になるだろうか?
 それは覚悟だ。

 

 人が人を殺すのには――覚悟がいる。

 

 理屈としては、単純に『己も相手に殺される覚悟』だ。その覚悟(決意)を持たずに、殺されたくないが一方的に殺したい、と考えるモノが殺しに及ぶ情動は『人を殺す覚悟』とは対極の、理性と知性を喪失した獣的な欲求にまで成り下がる。強姦魔と何ら変わらない。
 殺人鬼であった芝祓ムサシでさえ、究極の殺人として自身を殺害して幕を下ろした。
 殺されるのは嫌だが殺したい――という思考は、俗的でも人間的でもないのだ。
 殺されるのは嫌だが殺したい――という衝動は、人ではなく獣の本能そのもの。
 人間が動物と同じのならば、覚悟なしのそれ(殺人)も、肯定されるかもしれない。
 けれど人間が猿(動物)と違うのならば、殺人に対して覚悟を持つ事が、動物との差別化に必須なファクターであろう。

 

 オルタナティヴの『何でも屋』としての師匠――レディ・ブラッド。

 

 一切の経歴が闇に葬られている、推定で三十代後半から四十代前半の女性だ。
 人種としては白人だろう。美女といえば美女だろう。けれど容姿とか血統などが霞む、そんな不思議な印象の女性であった。強いて云えば、超然と世俗的が混じり合った形容不能なオンリーワンか。
 偶然なのか必然なのか――。『何でも屋』で生計を立てようと志したオルタナティヴは、レディ・ブラッドと出会った。
 オルタナティヴは全財産をはたいてレディ・ブラッドに依頼した。
 アタシを一流の『何でも屋』にして――と。
 そうして。
 互いの人生において、二人はほんの刹那で、かつ最も密度の濃い時間を過ごす事となる。
 最初は全てを丁寧にレクチャーされた。
 すぐに見よう見まねでノウハウを盗む助手になった。
 最後はパートナーに近い関係だった。
 ゆえにオルタナティヴはレディ・ブラッドから『何でも屋』として独立しなければならなかったし、それが本来の依頼であった。

 

 ――〝アンタと一緒だと楽しすぎて、私がダメになる〟――

 

 友達になってしまう。だからOJTから卒業だ。そう云われた。
 餞別としてレディ・ブラッドが受けていた依頼を、三つほど引き継いだ。
 それは信用の証であり、無事にクリアする事が、彼女からの真の卒業証書になると思った。
『サヨウナラ。依頼については卒業証書として必ず期待に応えてみせるわ、ブラッド』
 レディ・ブラッドは愛弟子の言葉に、首を横に振った。

 

 ――〝違うよ。本当の卒業はアンタが覚悟をもって殺人した時さ〟――

 

 覚悟をもたずに殺人に及べば、自分の敵だ。きっとオルタナティヴを殺しに来る。
 そして、できれば卒業を断念して『何でも屋』から足を洗って欲しい。
 本音を言えば、そちらの『卒業』の方が、自分にとっては嬉しいかも。
 哀しげに微笑んで、レディ・ブラッドは去った。

 

スポンサーリンク

 

 

         ◇

 

(……どうして、こんな時にブラッドの言葉を。彼女を思い出す)
 オルタナティヴの心が揺らぐ。
 色即是空――【空】のエレメントに覚醒した今でも、師が残した言葉の真意を掴めない。
 不殺を貫けるはずだ。実力さえ追従していれば。
 裂帛の気合いを轟かせて、此花が斬り掛かってくる。
 稲妻めいた剣閃。
 咄嗟の反射で、オルタナティヴは此花の太刀を受け止めた。
 鍔迫り合いになる《朧影月》と《朧影月》。
 同じ刀だからこそ、互いの概念を斬られずに済んでいる。
 超人的な膂力にものをいわせ、オルタナティヴは此花を弾き返す。そして、大きく踏み込むと、返す刀で横薙ぎに斬撃を見舞った。
 概念を斬りにいった――が、通じない。
 鳳凰流の剣技を発揮して此花はその一撃を鮮やかに捌く。
 危機を察知。自己防衛本能に従い、オルタナティヴは全速でバックステップした。
 其処へ、突きの三連打だ。
(あ、危なかった)
 此花は四肢はボロボロだ。ほんの僅かな動きであっても、トレースしている鳳凰流の剣技に肉体が付いていかず、筋肉繊維と腱がズタズタになっている。仮に此花の肉体が黒鳳凰の姉妹と同等ならば、自分は為す術なく斬り棄てられていた。
 けれど、今の此花は動けば動くほど身体が崩壊して、挙措が落ちていく状態だ。
 斬りかかってくる此花。
 オルタナティヴは冷静に此花の《朧影月》を防御した。
 伝わってくる。《朧影月》の刃を通じて。

 

 ――此花の【空】を感じる。

 

 けれどオルタナティヴはソレを認めたくない。
 刃と刃がぶつかる音が、哀しげに響く。
 きぃィィン!
 激しい打ち合いの末、二人は大きく距離を取った。
 身を以て学習した。刃を交える程、本家本元の剣術とは差が開いていく。此花は鳳凰流の剣技全てを〔ラーニング〕できたわけではないのもあった。姉妹が披露した部分のみを〔スキル〕化しているのだ。要するに、底が浅い。表層だけをなぞった模倣品に過ぎないのである。
 もう此花の剣は、オルタナティヴには通用しない。
 穏やかな口調で此花が言った。
「やっぱり……〔スキル〕と〔ラーニング〕なんて、所詮は小手先の誤魔化しだよね」
 悟っているか、渚此花。
 オルタナティヴは眦を決する。此花は覚悟を固めたのだ。

 

「ええ。相手の〔スキル〕を奪って強くなる――など、愚者の勘違いよ」

 

 職人芸の継承に際し、教えた事をすぐに体現できてしまう弟子を、一部の師匠は嫌うという。
 器用貧乏になりかねない。師匠のデッドコピーになる。そんなリスクがあるからだ。
 逆に簡単な基礎技術であっても不器用でなかなか身につかない、しかし根気よく自分のモノにする弟子を、一部の師匠は歓迎する事もある。不器用ゆえに、基本動作一つでも試行錯誤・熟考して、深く掘り下げていくからだ。その末に身に付けた技術は――業の域に昇華する。
 極めようとすれば、浅い考えでは無駄とも思える回り道こそが、実は最短距離なのだ。
 同じ右ストレートであっても、単なるコピー品など恐くない。
 トレースした右ストレートを噛み砕いて、己のモノとなるまで修練しなければ無意味だ。
 そして……

 

 見切った。鳳凰流の剣技という概念を、今ならば――斬れる。

 

 けれど剣技という概念を斬りにいかずに、あえて〔スキル〕をそのままにする。
 その上で、オルタナティヴは告げた。
「次で終わりにする。だから悔いを残さない一撃で来なさい」
「ええ、そうね。〔スキル〕じゃなくて、どんなに下手くそな素人技でも私自身の一撃で――気持ちを込めた一振りで勝負するわ」
 二人は正眼に太刀を構えた。
 呼吸を整える。吸って、吐いて――、吸って、吐いて――
 吸って――互いの息が止まる。ギリぃ。奥歯を噛み締めた。
 絶叫だ。大声を上げて、大上段に振りかぶった此花が飛び込んでくる。
 オルタナティヴもコンパクトな上段を合わせにいく。

 

「――《斬ノ参・散華龍閃》」

 

 パキィぃぃいんンンン! 斬ノ壱、斬ノ弐とは異なるカウンター業。
 此花の《朧影月》は《散華龍閃》に太刀筋を逸らされると同時に、鮮やかに砕け散った。
 上段からの脳天唐竹割り――オルタナティヴの上体は大きく沈み込み、刃が地面に触れる程、深く振り下ろされている。
 どさ。此花が倒れた。
 糸の切れた操り人形のごとく、呆気ない倒れ方であった。まるで眠りに落ちるかの様。
 儚くも美しい一幕であった。
 杞憂だった、とオルタナティヴは《朧影月》を両手のリングに還す。
 此花を殺さずに済んだ。脳の状態は危険だし後遺症は避けられないが、辛うじてまだ間に合うだろう。集中治療室に直行は必至だが、命に別状はないはずだ。
 だが、何処か胸につかえる感覚。
(ブラッド。アタシは間違っていない。これでいい筈――)
 誰もが驚愕に言葉を失った。

 

 此花が立ち上がった。

 

 剣戟魔術師の斬撃に散ったはずなのに。決して立てるはずがないのにだ。
「こんな綺麗な倒れ方で終わり、なんて――あり得ない。倒されるんだったら、もっと、もっと徹底的に惨めで凄絶な倒され方じゃないと、私は何度でも何度でも立ち上がるわ」
 綺麗に斬って落とした――つもりであった。それなのに。
 殺さずに終わりにしたはずだったのに。オルタナティヴの声が震える。
「ど、どうして?」
「ああ、クールな貴女でも、そんな風に動揺するんだ」
「アタシは貴女の挙動を概念として断ったのに。どうして動けるの?」
「違う。貴女はきっと目を背けている。本来だったら貴女は私という概念そのものを斬れたはず。でも、それをしなかった。ううん、できなかった」
 図星を突かれた。どうしても殺したくない。意地でも命を救いたかった。
(アタシは、アタシは……、ブラッド)
 呂律が怪しくなった口調で此花が言う。
「貴女には分かっているはず、オルタナティヴ。私が〈使徒〉としての役割を全うする為には、最後の最後まで戦い切らなきゃ……」
「〔神〕は貴女を欺いている可能性だってあるわよ」
「それでもだよ。私自身が納得できる最後を望んでいるわ。だから、お願い」
 危険だ。タイムリミットが近い。これ以上、頭部に衝撃を加えるどころか、一刻も早く頭蓋を開いて脳を手術しなければ――

 

 ドゴッ! オルタナティヴの左拳が此花の側頭部を打ち付けた。

 

 此花は棒立ちだ。けれど倒れない。
 それどころか稚拙なフォームで両手を振り回してくる。パンチのつもりだろう。
 素人殴りなどオルタナティヴには掠りもしない。
 二発目、三発目、とオルタナティヴの拳が、容赦なく此花の脳に衝撃を与えていく――
 一発一発が死への階段だ。
 けれど、もはやオルタナティヴの決意は揺らがなかった。
(ブラッド! 貴女の生き様を追うわ!!)

 


 ――〝そりゃあ、私だって人殺しなんてしたくないさ〟――

 

 自分には不殺を貫けるだけの強さがあると思っていた。

 

 ――〝でも、理想と現実には差があるもんだ〟――

 

 理想を追えると、自分は主人公だと、特別だと過信していた。

 

 ――〝殺さなければ救えない命だって、確かに存在するんだよ〟――

 

 それでも自分には殺さずに救える才覚があると自惚れていた。

 

 ――〝いいかい、オルタ〟――

 

 ああ、ブラッド。今ならば、ようやく分かる気がする。

 

 ――〝誰かの為に自分を汚す職業が『何でも屋』なのさ〟――

 

 だから女優じゃ、主役じゃ、主人公のままじゃ……

 

 ――〝誰よりも格好悪く、みっともなく、泥を被れるか?〟――

 

 格好悪いのは嫌だった。プライドが許さなかった。

 

 ――〝本当いうと、私はお前に格好いいままでいて欲しいかな〟――

 

 でもアタシはスポットライトを集める主役よりも……

 


(どんなに殺人で身心が穢れていようと、そんなブラッドこそがアタシの――ッ!)
 いつしか目標になっていた、憧れの背中。
 堂桜統護の様な最強には興味がない。
 今こそハッキリと自覚した。
 たとえ主人公失格でも、主役を棄ててでも、本物の『何でも屋』になってみせる。
 その為にも、此花の希望通り――引導を渡そう。
 完全に無防備になっている此花に向けて、オルタナティヴは両拳を構え直す。教科書通りのオーソドックス・スタイルだ。
 左足の踏み込みと連動し、真っ直ぐに左ジャブが伸びていき、此花の顔面を捉える。
 波打つ頬。ひしゃげる鼻筋。
 素早いジャブの引きに同調させ、右拳を脇に引き絞る。右膝のバネをパワーの基点として、腰と肩が鋭く回転する。体軸は微塵もブレない。充分なタメを伴った右拳が発射された。
 光の矢と見紛うばかりのハンドスピードだ。
 右拳のナックルパートが精確に下顎を直撃した。その衝撃で顎の骨が真っ二つに割れて、歯が吹き飛んでいく。

 

 ごギャァぁん!! 交通事故めいた轟音。

 

 無慈悲なワンツー・ストレートで、此花が崩れ落ちる。両膝から真下に倒れ込み、座り込んだ下半身とは別に、上半身が前のめりに突っ伏していた。両手は不自然に広げられている。
 首の曲がり方がおかしい。まるで奇妙なオブジェである。
 《朧影月》で斬って落とした時とは正反対の、正視に耐えられないダウンシーンだ。

 

 格闘技の試合ならばリング禍だと瞭然な倒れ方。

 

 確認するまでもない。もう渚此花は『この世界』にはいない。絶命している。
 見下ろす『何でも屋』の双眸はどこまでも冷静だった。
 決着だ。そして終幕である。
 この勝敗をもって今回の事件――MKランキングと連続殺人は、全てが終わった。
 主犯であった此花の死で、屋上の【結界】も解除された。オルタナティヴと此花の魔術戦闘が開始されてからの時間経過を考えれば、すぐにでも警察の特殊部隊が現着するだろう。
 ここから先の後始末は『何でも屋』の領分ではない。
 天を仰ぐ。オルタナティヴは夜空――遙か先にある宇宙のホシに向かって宣言した。

 

「この命の代償――高くつくわよ、〔神〕ッ!!」

 

 

前のページ   目次へ   次のページ

 

 

注記)なお、このページ内に記載されているテキストや画像を、複製および無断転載する事を禁止させて頂きます。紹介記事やレビュー等における引用のみ許可です。

 

 

 本作品は、暴力・虐め・性犯罪・殺人・不正行為・不義不貞・未成年の喫煙と飲酒といった反社会的行為、および非人道的、非倫理思想を推奨するものではありません。また、本作品に登場する人物・団体などは現実とは無関係のフィクションです。