アニメを斬る!

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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第6部(第55話)

第四章  宴の真相、神葬の剣 17 ―みみ架VS琉架④―

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         17

 観戦者達は誰もが思った。
 みみ架はラッシュをかける。そんな一瞬先の未来。
 しかし興奮と昂揚を制御できずに、獣のごとく襲いかかったとしても、自爆にしかならないのが常だ。どうしても隙が大きくなり、カウンターの格好の餌食になると。琉架は無策なラッシュが通用する様な低レヴェルではないのだ。
 心は熱く。されど思考は冷静に。これが基本にして鉄則だ。
 興奮を隠さないみみ架は鉄則に反している。
 一気呵成にラッシュを仕掛けても、琉架には通じずに、みみ架に待っているのは無惨な敗北(返り討ち)だけ――

         

 みみ架の闘気が高まっていく。
 完全に昂揚している。我慢はヤメだ。抑えていたモノを、遠慮なく解放する。
(小細工は要らないわ)
 ダイレクトに殴りかかる。全力でだ。力ずくでねじ伏せる。思考はそれだけである。ああ、パンプアップした太股の張りで包帯とテーピングが千切れそう。
 対して――あまりの分かり易さに、琉架は失笑した。これでは来るタイミングがド素人並にバレバレだと。思わず、嘲りが言葉となって漏れた。
「なァにが『ここからのわたしはヒトじゃない』だ。勝ち目がなくなって、さては気でも触れたのかなぁ? ハッタリなんて惨めだね。第一そんな満身創痍の身体で、いったい何が――」
 ニィ、と頬を釣り上げるみみ架。

 ……さあ、始めましょうか。

 琉架に台詞を最後まで言わさず、みみ架は動いた。先手を取ってフェイントはなしだ。真っ直ぐに飛び出す。
 四肢が嘘のように軽く、力感に溢れている。
 しかし、右拳を壊している彼女に許されている選択肢は、僅かに一つのみ。残された方――左ブローである。
 大きく弧を描くロングフック。空を斬り裂いて拳が吠える。速く力強いが、これといって何の変哲もない一撃を、琉架はスウェーバックで避けようとして――

 ゴォきィぃ! まともに顔面に貰ってしまった。

「ッッ!?」
 驚愕で顔が染まる琉架。
 強烈な一発。ダウンせずに持ちこたえたが、大きく腰を落としてしまう。琉架とてダメージと疲労は極限状態なのである。
 当たるはずのないテレフォン・パンチがクリーンヒットしたという事実。しかもラッキーパンチではない。四回戦ボクサー同士の下手くそな殴り合いめいた、こんな低レヴェルな現象が、どうして起こってしまったのか。
 あり得ない光景に、琉架だけではなく観客達も唖然、騒然となった。
「どうして? つい気を緩めて、反応が遅れてしまった?」
 まだだ。もっとだ。みみ架は遠慮なく追撃にいく。
 再びの左フック。咄嗟に、琉架はライトクロスを狙う。
「丸見えだよ、お姉ちゃん!」
 交差する拳と拳。みみ架の左と琉架の右。
 完璧なクロスでのカウンターが――みみ架には当たらずに、失敗した琉架が自爆して、あえなく吹き飛ばされた。それでも踏み留まり、どうにか倒れない。肉体よりも精神的なダメージが深刻だ。
 琉架は動揺も露わに自問する。
「何で? どうして? ただの左フックなのに」
 観客が、里央が、オルタナティヴが、一比古が、目の肥えた観客が、琉架のミスではないと感付いた。これは必然の結果なのだ。それも決して低レヴェルではない。
 みみ架は言った。
「まだ理解できない?」

 理解しなさい。そうすれば、もっと……もっと……

「ひょっとして何かの奥義? ううん、秘策なの?」
 野球において、プロのバッターは球種と球筋、そしてコースがあらかじめ分かっていれば、プロのピッチャーが放る一〇〇マイル超の剛速球であっても、決して空振りする事はない。安打できなくとも、必ずバットには当てられる。
 格闘技も同じだ。来る攻撃(パターンとタイミング)が分かっていれば、ある程度以上のレヴェルにいる者ならば容易かつ確実にカウンターをとれる。仮にカウンターできなくとも、躱すのは至極簡単なのである。
 パニックになりかけている妹の様子に軽く落胆するが、みみ架は気持ちを切り替えた。
「そう。理解できないのではなく、理解を拒否しているのね、琉架。だったら……」
 そして宣言する。

「次も、単なる左フックよ」

 琉架が右拳を構える。カウンター狙いの迎撃体勢だ。
 薄ら笑いの微妙な顔で、琉架は疑った。
「本当に? ううん、違う。二発の左フックには何らかのカラクリがあるんだ。芝祓ムサシみたいなね。それを私に悟らせない為のブラフだ。私が凡ミスしたのは、単なる左フックじゃないと余計に勘ぐった所為だよ。それが迷いになって簡単なはずのカウンターをミスした」
「面倒な勘ぐりね。そんな駆け引きは無用だわ。疑うのだったら、次の攻撃が単純な左フックでなければ、わたしの敗けでいいわよ。継承者と黒鳳凰の名を譲るわ」
「ふぅん。じゃあ、今度こそ《黒波》で完璧に沈めてあげるよ、お姉ちゃん。ただの左フックがこの私に通じるはずがないもん。いや、左だって分かっていれば、どんなパンチだって私には通用しないから」
 同時――ではなかった。
 みみ架だけが大胆に左足を踏み込んで、左拳をほぼ水平に大きく振るった。豪快なスウィングが一気に加速する。
 ズゴン! 一切のリアクションを見せられずに、琉架は左フックを直撃された。奥義《黒波》どころでない。防御すらできすに、棒立ちでパンチを食らった。
 三発目は堪えられずに、琉架は真後ろに倒れ込んだ。薙ぎ倒された格好だ。
 夜空を仰ぐ琉架の両目が大きく見開かれる。
「そ、そんな……莫迦な」
 今のフックには一切のカラクリなど介在していない。琉架は身を以て思い知る。その意味を理解せざるを得なかった。
 ダウンから立ち上がった琉架に、みみ架は冷然と言った。
「次もよ。また左フックでいくわ」
「くっ……っ!」
 みみ架が前に出た。
 琉架は自分から動けないでいる。もしも動いてしまえば、みみ架の左フックがナチュラル・カウンターになって致命打になる事を、本能的に察知しているからだ。
 カウンターを捨て、避ける事のみに全精力を傾注する琉架であったが――ズガン!
 呆気なく左フックが炸裂する。
 ぐるん、と琉架が白目に裏返った。上体が傾げ、腰砕けになる。
「ほら。まだまだ左フックのみでいくわよ」
 重い打撃音が断続する。
 鬼の表情で、みみ架は琉架を打ち込み続けた。左フックオンリーの連打である。コンビネーションではなく、単発のフック振り切った後、リセットし直しながら繰り返す。

「ミミの動き……、凄い」

 その言葉通りに、みみ架の挙動が躍動していく。
 里央は感嘆と共に、目を見張った。素人目にも凄さは瞭然である。みみ架はまるで竜巻だ。単純な動きのみだからこそ際立つ。
 左フック一本のみで圧倒する異様な光景。
 異様で偉容な左フックの嵐。
 オルタナティヴも里央と同じ所感を抱いている。
「凄過ぎね。あの左フックにフェイントや奥義、策なんて必要ない。至極単純な理屈で……

 ――『動き』のレヴェルが違うのだから」

 来ると分かっている左フックに全く対応できない。しかも小細工なしのシンプルかつ正直なパンチである。両者の技術に大きな差はないのだ。つまり、それだけ『動きそのもの』に差があるという証左に他ならない。
 再び野球に例えれば、ど真ん中のストレートが来ると分かっていても、ファールチップすらできないという状況だ。しかも、最初はタイミングを合わせたつもりの空振りだったが……
 グシャぁあッ!

 みみ架の左フックで、琉架が派手にダウンした。

 琉架はド真ん中のストレートに対して、バットを振れないでいる。全く球筋が見えていない、そんな状態だ。
 意地で立ち上がって続行の意志を示す琉架に、容赦のない左フックが強襲。どゥごォォ! 琉架の顔が歪んで、派手に捻れる。
 半失神で棒立ち。

 レフェリーがいれば迷わず試合をストップする惨劇だ。

 けれど琉架は意識を持ち直し、なお立ち続ける。そこへ――
 左フック、左フック、左フック。
 ヴァリエーションに富んだ様々な軌道とタイミングで、みみ架の左拳が豪快に火を噴きまくった。みみ架の強拳は、獲物を食らい尽くそうとする狂犬の群だ。あまりに凄惨な光景。これでは殺してしまうのでは? と観る者の背筋が凍る攻撃が続く。
 防御できずに集中砲火を浴びた琉架は、一度、大きく後退する。仕切り直しだ。
 連打とはいえ、同じ側からの同じ種類のパンチだから琉架はどうにか耐えられる。
(まだでしょう? 琉架。もっともっとよ)
 みみ架には分かっているのだ。
 黒鳳凰の血が流れ、物心つく前から鳳凰流の鍛錬で身体を造ってきたモノは、この程度では戦闘不能にならないと。その様に、身体だけではなく心までも創っている。
「次も左フック」
 冷徹な姉の台詞に、琉架は笑いを返した。
 圧倒的な差をみせつけられても、闘志は揺らいでいない。
「満身創痍でそれしか打てないくせに。でも、素直に認めるしかないね。お姉ちゃん、マジ超凄い。スゴ過ぎだよ。本当に人間の限界を超えた動きしているんだ。今までの攻防で構築した『人間の限界に近い動きのお姉ちゃん』のイメージじゃ、逆に足枷になるか」
 覚悟を決めて、みみ架を見据える琉架。

 人間の脳と目は処理能力に対する負荷を軽減する為に、実際の視認映像を『脳内に蓄積したデータを基に構築したイメージ』に置き換えて処理を軽くする事がある。

 三度、野球を例えに出すと、ピッチャーが投げた直後に、バッターの目にブラインドを落としても、ブラインド無し状態と、ほぼ結果は変わらなかったという実験があった。すなわち実際に視認しているボールではなく、途中からイメージした球筋に合わせてバットをコントロールしていると推論される。打順が一巡、二巡して攻略されるピッチャーは、最初の対戦で球筋を各打者にインプットされてしまったからだ。
 格闘技でも同じである。
 相手のデータを蓄積してイメージを掴めば、実際の視認よりも構築したイメージを優先して対処するようになる。その方が、より素早く、より先手を取った動きが可能となるからだ。
 だが、そのイメージよりも、実際の動きが上回った場合、認識のズレが生じてしまう。見えているつもりが、実は見えていないとなる。
 琉架はその『無意識下で生じている誤差』を修正するつもりなのだ。
「打ちなよ、お姉ちゃん。鬼めいた左フックをさ」
 妹の意図を理解しているが、みみ架は構わずに左フックを打った。
 作戦や小細工は要らない――
 ゴォっ。円弧の軌跡で切り裂かれた空気が嘶き、次の瞬間、みみ架の左拳が琉架の顔面にめり込んだ。
 踏ん張る琉架。下肢に力を込めて、左フックを受け切った。
 みみ架は思わず嬉しくなる。そうこなくては。
「見た。本物の動きを。正確にイメージを修正したよ。これでもう、ちゃんと左フックを認識できるから」
「それは楽しみね。次も――左フックよ」
 凶暴に笑うみみ架。このままでは拍子抜けである。歯応えが無さ過ぎる。それに……
(わたしの妹だというのならば、反応してみせなさいッ!)
 みみ架の左フック。
 鬼神の一撃。閃光めいた左拳を、琉架はギリギリでブロックした。

 にぃィ。姉と妹は相似した笑みを貌(カタチ)取る。

 大きな踏み込みと、大胆な腰の回転、それに連動して肩から先が――死神の鎌の様に振るわれた。ガードで足が止まった琉架への神速左フックだ。
 懸命にガードする琉架。対応する為にブロックの形状を変化させている。右サイドから強襲してくる左を、右腕のブロックに補強の左腕を重ねて、頭部への衝撃を緩和していた。
 あくまで緩和だ。衝撃を吸収し切れずに、ガード越しからでも効かされている。
 それども琉架は顔面の右半分に、両腕を張り付けざるを得なかった。
(ようやく、歯応えが増してきたわね)
 嬉しい。楽しい。やはり、そうでなくては、それでなくては――

 ならば妹、この姉に、もっと付いてきなさいッッ!!

 

 

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