アニメを斬る!

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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第6部(第30話)

第三章  戦宴 4 ―容疑者―

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         4

 その警察官の階級は巡査部長である。
 本来ならばキャリア組である警視正とは警察署内で会話する機会などない。
 階級社会である警察組織の階級は、巡査、巡査長、巡査部長、警部補、警部、警視、警視正、警視長、警視監、そして頂点である警視総監となっている。
 また一般の警察官は地方公務員だ。各都道府県の警察官採用試験に合格して、巡査から警察人生を始める事となる。
 逆にキャリア組と呼ばれるエリートは、国家公務員の一種に合格して、警部からスタートを切る。またキャリア組は基本的に警察庁の人間である。厳密には警視庁と各都道府県警察とは別組織(警察庁には管轄がなく、警察を仕切る組織)に所属しているのだ。
 関東圏内にある、とある中規模の警察署。
 その署長室において巡査部長と警視正――署長の会話が行われている。
「ご苦労だったな、同志」
 気さくな口調で巡査部長を労ったのは、二十八歳の警察署長だ。
 創内誠心。この所轄署に配属されて二年目の青年である。この所轄に骨を埋めるのではなく、人脈と経歴を作る事が主目的の、言い方は悪いが腰掛けに近い立場で署長をやっていた。順調に同期との出世争いに勝ち続けてステージアップを繰り返せば、最後には警察の頂点に至るだろう。創内はそういう警察人生を歩む男である。
「ありがとうございます署長」
 嬉しそうに頭を下げる巡査部長。彼も創内と同じく二十代の青年だ。
「おいおい、そんな態度はいいよ同志。私達は仲間だ」
 創内は苦笑する。
 二人は署長用デスクで隔てられて対面しているのではない。
 来客用のテーブルを挟んでソファーに座っている。
 巡査部長が恐縮した。
「いえ、やはり警察官としてのお互いの立場が違い過ぎるので……」
 それだけではなく、創内誠心という男が纏う空気感と貫禄に圧倒されてもいた。
 いかにも切れ者でインテリといった容貌だが、反面、武闘派である事も窺える立派な体格と佇まい。誰もが創内を『未来の警察庁長官』だと噂している。
「立場、ね。能力と才覚に見合った働きをすれば、私達は全くの対等だよ、同志」
「分かっちゃいるんですけどね、同志」

「それで……、黒鳳凰みみ架とその父親との会話はどうだった?」

 巡査部長がメモリチップをテーブルに置いた。
「会話の全部はこれに。総じて言えば、特に俺達にとっては問題はないかと」
「じゃあ、あの父娘にとっては問題があったのか」
 ニヤリと巡査部長が笑う。
「どうも家庭内トラブルについての話だった様で。事前情報通りに複雑な家庭環境ですね」
「彼女自身は一般人だと自分を思っているが、父方と母方の家系はどちらも一般家庭とは定義できない特別だ。何よりも本人が一番特別だからな……。堂桜淡雪、比良栄優季、楯四万締里、ルシア・A・吹雪野、そしてアリーシア姫。それぞれが『普通から外れた』特別な女達だが、黒鳳凰みみ架の特別さは、間違いなく私達寄りだ。強いていえばルシアが近いか、あるいは対抗馬といえる存在か」
「我ら同志のリーダーとして、色々と大変ですね」
「そうだな。その為の警察内での地位でもある」
 言い忘れていました、と前置きして巡査部長が付け加える。
「盗聴器については問題なく回収できましたから。もちろん盗聴していた事も気が付かれていません。安心して下さい」
 道生に職務質問した際、彼は道生に盗聴器を仕掛けていた。
 みみ架と別れた後に道生を追跡して、車両用エネルギースタンドで盗聴器を回収したのだ。
「彼女自身が言っていた通りに、近接戦最強でも魔術師としては平均以下ですね」
「自分に仕掛けられたならば流石に気が付くだろう。けれど父親に仕掛けられた事には気が付けなかった。対象が《究極の戦闘少女》ならば、こうはいかなかった」
 お茶を口に含むと、巡査部長がぼやいた。
「にしても、いい女だったなぁ。映像と実物じゃ全然違うじゃねえか。実物みたら超いい女だった。しかも女子高生だし。顔はスッピンに近いから美人で可愛くても、ちょっと地味目だったけれど身体が――胸とケツと太ももが最高だった。特に腰がこう「キュッ」っとくびれていて。スラッと背筋が伸びて、身長も高くもなく低くもなく。マジで何なんだよあの女。堂桜エレナが『世界一の美女』とか言ったらしいけど、マジだった。堂桜統護はあの女を好きにできるのか。羨ましい。全財産はたいてもいいから一晩だけでも相手して欲しいなぁ」
 本音がダダ漏れで、砕けた口調になっていた。
「ははは。そう妬むなよ。堂桜統護は堂桜統護で、色々と女関係では苦労しているからな。それに同じ趣味の女性を累丘道生から紹介してもらえるんだろう?」
「ええ。楽しみですよ。いくら絶世の美女でも、やはり趣味が合わなきゃダメですから」
 この巡査部長が適応者なのは事実だ。
 偽の適応者ならばボロが出る可能性があった。ゆえに適応者の彼に白羽の矢が立ったのだ。
「黒鳳凰みみ架は絶世の美女でも、性格は最悪の部類だしな」
「そうですね。一発やりたくても恋人にはしたくないってタイプですよね」
「もしも紹介してもらった女と上手くいけば、累丘道生は君の恩人になるが、今回の件は気に病むなよ、同志。頼んだ私に全ての責任がある」
「これも縁だと割り切りますよ、同志」
 巡査部長のスマートフォンが着信を鳴らした。
 確認した彼の顔が曇る。
「スイマセン、課長からの呼び出しが。昼休みだってのに。これで失礼しますよ」
「ああ、わざわざ足を運んでもらって悪かったな」
「いえいえ。じゃ行きます。マジで急ぎなので。ああ、クソったれ」
 巡査部長が署長室から退出した。
「さて。私は次の仕事に移るとするか」
 署内の備品ではないノート型PCを起動させた。PCやデータの取り扱いは慎重かつ厳重を要するのは常識だが、創内は自分のPCを署内に持ち込んでいた。抜け道はいくらでもある。
「例の『運び屋』は……どうなっているかな」
 創内が見ているのは、データベースソフトで作成された人物リストだ。
 タイトルは『芝祓ムサシと渚此花による死者』となっている。
 犠牲者の数に苦笑しつつ、独り言を呟く。
「あまり警察を舐めないで欲しいな、二人とも」
 その時となるXデーは近い。
 もうじきだ。今から、その時に二人が驚愕する表情が楽しみでならなかった。
 そしてMKランキングの主催者――光葉一比古も同じく終わる。
 いや、この私が終わらせるのだがね、と創内は冷たく両目を細めた。

 

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 ――ほぼ同時刻。
 高校の女子用制服に黒いマントを羽織った紅い瞳の少女――オルタナティヴは、関東の外れにある工業大学に赴いていた。
 大学の敷地内に女子高生というだけではなく、マントを羽織っている為に、彼女は往来する学生達の注目を集めている。マントだけではなく、その麗容も要因の一つであろう。
 しかし声をかける者はいない。オルタナティヴの鋭い雰囲気が、軟派な者達を遠ざけるバリアの役割を果たしていた。
(ああ、見つけたわ)
 オルタナティヴは目的の人物を発見した。
 視線の先には、数名の女子学生。服装が華やかだ。やはり中高生より大人びて見える。

 集団の中心にいる女――渚此花を睨む。

 情報通りだ。
 みみ架からの連絡で『柴原六左四と渚此花』という両名を教えられた。連続殺人に関する事なのか、あるいはMKランキングに関する事なのかは不明だ。だが念の為にと、みみ架はオルタナティヴに報せてきた。
 情報屋に大金を掴ませて調べてもらった結果、この大学に在籍していると判った。
 ただし柴原六左四は漢字が異なっている。渚此花は一致している。
 この差異は平行世界についての夢だからなのか。
 とにかく行動あるのみだ。
 オルタナティヴは此花へと駆け寄った。
「失礼するわ。ちょっといいかしら? 渚此花さん」


 此花を連れ出す事に成功した。
 芝祓ムサシと一緒でないのは残念であるが、まずは此花を確認する。
「ええと、ムサシちゃんについてのお話って、いったい何でしょうか?」
 大学の敷地内でも、このゴミ焼却炉の周辺は人気がない。
 オルタナティヴも敷地を下調べした際、この場に目を付けていたが、此花の方から率先して此処に案内したという事は、以前にもこの場を利用していたという事に他ならない。
 返事をしないオルタナティヴに、此花が声を荒げた。
「まさかムサシちゃんが好きだとか、そういう話じゃないですよね!?」
 そういう事か、とオルタナティヴは納得する。
 そして此花の身のこなしを観察して――

 ヴゥァ。強烈な風圧で此花の右頬の肉が微かに波うった。

 右ストレートだ。空気を斬り裂いた一撃は寸止めされている。
 予告なしでオルタナティヴは右拳を打ち込んでいた。それが不意打ちとなったのだ。
 此花は何が起こったのか、攻撃された事を、まるで理解できていない様子だ。
 右拳を収めたオルタナティヴは謝罪した。
「驚かせて悪かったわ。貴女が戦闘系魔術師ソーサラーか、あるいは戦いの心得があるのかを最初に確認しておきたかったの」
 立ち姿や身のこなしは、まるきり素人だ。
 けれど擬態しているかもしれない。よって右ストレートで確認したのである。
 全く反応できていなかった。正真正銘の素人だ。
 意図的に反応を殺して素人に擬態する――というのは超達人級になる。脊髄反射を抑制しなければならないからだ。完全に脱力した状態で、かつ神経を走る電気信号まで押さえ込む。そんな真似ができるのならば、此花のような立ち姿や筋肉の付き方にはならない。
 此花が露骨に警戒の色を示した。
(あら、怒ったり、乱暴だとか抗議しないのね)
 ならばストレートに訊くまでだ。
「芝祓ムサシは戦闘系魔術師ソーサラーなのね。そしてMKランキングに関わっている」
「貴女、何者ですか?」
「オルタナティヴと名乗っている『何でも屋』よ。否定しないという事で、芝祓ムサシは戦闘系魔術師ソーサラーだという前提で話を進めさせてもらうわね」
「な、『何でも屋』!?」
「ええ。非合法の探偵みたいな真似をしている裏社会の住人よ」
「探偵……。そんな」
 動揺した此花に、オルタナティヴの嗅覚が働いた。
(どうやらビンゴみたいね)
 最初はMKランキング絡みかと思っていたが。

 ――芝祓ムサシと渚此花が連続殺人事件の犯人かもしれない。

「ど、どうして? 『何でも屋』さんが、どうして私とムサシちゃんを……ッ!!」
 声が震えていた。此花は顔面蒼白になり大量の汗をかいている。
 しらばっくれる事さえできていない。
 完全に想定外で、パニック寸前といった態である。
(今の今まで警察に尻尾を掴まれていなかったんだものね)
 露見しないと自信満々だったのだろう。そして、この不安げな反応と身のこなしからして、此花は異常者――殺戮者ではない。おそらくは芝祓ムサシに荷担している協力者だ。
 今日のところは充分だ。
 心証は真っ黒でも物証がゼロである。
 二人が容疑者として浮かび上がった以上、さらに情報を集めるだけだ。二人が対策してくるならば、それもよし。自分を消しに動き出すのならば、ベストの展開である。
「これは秘密にして欲しいのだけど、アタシは警察とは別路線で、とある殺人鬼を追っているの。その捜査線上で二人の名前を耳にしたから、ひょっとしたら殺人鬼について何か知っているかもって期待したのよ。誤解しないでね。犯人だと疑ってはいないから」
 ゴクリ、と此花が大きな唾を飲み込んだ。
 オルタナティヴはクールに告げる。
「その様子だと期待外れだったみたい。貴重なお時間を頂いて申し訳なかったわね。お二人に迷惑が掛からない様に警察には何も言わないから安心して。だって二人は事件とは無関係だもの。ああ、もしも怪しげな人物に心当たりを思い出したら、連絡をくれるとありがたいわ」
 連絡先を書いたメモを、此花に握らせた。
「ほ、本当に、警察とは無関係なんですよね?」
「もちろん。アタシは裏社会で仕事をしている非合法【ソーサラー】よ。たとえ今日にでも誰かに殺されたとしても、警察や表社会はアタシになんて構わない」
 オルタナティヴは踵を返す。
 呆気ないな、と拍子抜けした。早ければ今夜にでも、二人は自分を消しに動くだろう。
 そうなれば返り討ちにして依頼は完遂だ。芝祓ムサシには再起不能になってもらう。
 ぴりりりりりり。
 オルタナティヴのスマートフォンに着信が入った。デフォルトとは違う使用していない設定の着信音に、彼女は怪訝な表情になる。そして画面を確認すると……

 ――[ 光葉一比古 ]と表示されている。

 迷わず通話に応じた。
「もしもし? 悪戯電話じゃなさそうね」
『MKランキングを主催している光葉一比古という者だ。芝祓ムサシと渚此花の身柄については、私が保証しようと思ってね。このまま放置だと二人の旗色が悪そうだ』
「へえ? 貴方が身元保証人なワケ」
 まさか連続殺人とMKランキングが、こんなカタチで繋がるとは。
 そして完全かつ完璧に監視されている。セキュリティが強固な自分のスマートフォンに強制アクセスしてきた事といい、どんなカラクリを使っているのだ。
『二人が嗅ぎつけられたのならば、君が追っている殺人事件の幕引きの舞台として、私のMKランキングに誘おうと思ってね』
「別に不必要だけれど? アタシは自力で事件を解決するわ」
 わざわざ相手側のルールとスケジュールに従う義理などないのだ。
『いいや。参加しなければ私が全ての証拠を隠滅して二人の無実を造り上げる。私にはそれが可能だ。そして私が手綱を握って君との接触を断つ。それでも君は平気かな?』
 手強い。そして光葉一比古は――危険だ。
 エレナが危険視しているのはこの男だ。だから、エレナは里央を浚ってMKランキングに来いと挑発したのだ。確かに、無視していい男ではないかもしれない。
『逆に、君が私の誘いに乗るのならば、事件の証拠を君に渡そう。むろんイベントで最終勝者になった場合に限るが。特別な優勝賞品というわけだ』
 オルタナティヴは決断した。

「いいわよ。貴方の誘いに乗ってMKランキングに参戦しましょうか」

 どの道、里央を取り返す為に殴り込む予定だった。
 ならば招待に応じても同じ事である。たとえ――罠だと分かり切っていても。
 いや違う。明らかに罠だからこそだ。
『良い返事に感謝するよ。セイレーン戦の実績と映像だけでも、君をシード扱いにしてもいいのだが、現在、MKランキングは美濃輪里央くんの件で実に活況でね』
「なにしろ二千万だものね。つまり混戦状態になっている他のランカーを納得させるのには、最低でも一戦は必要という事なのでしょう?」
『飲み込みが早くて助かるよ』
 お膳立て――対戦相手を用意してから電話してきたのは確実である。
 ならばすぐにでも案内しなさい、とオルタナティヴは冷めた口調で言った。

 

 

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