アニメを斬る!

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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第6部(第19話)

第二章  スキルキャスター 5 ―食卓―

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         5

 

 里央がエレナに浚われてしまった。
 頭が痛くなる。想定外に過ぎる事態に、オルタナティヴは行動予定の変更を余儀なくされていた。エレナが言っていたMKランキングについても調べなければならない。
 噂は小耳に挟んでいたのだが、まさかMKランキングが実在していたとは驚きだ。
「……いっそ、意地を張らずにルシアに協力を要請すれば?」
 みみ架の提案を、オルタナティヴは即答で却下する。
「冗談。アタシはルシアがいけ好かないのよ。借りを作る真似なんて御免だわ」
 ルシアは金銭で動く女ではないと知っている。
 けれど義のみで動く女でもないとも分かっている。
 情報収集での協力は請えるかもしれないが、その場合は純粋な『借り』となってしまう。こちらにも、師から引き継いでいる情報屋がいるのだ。現在は、追加情報に対しての値段交渉の段階であるが。
 最後の最後ならばルシアからの助力を検討するが、生憎と今はまだその時ではない。
 オルタナティヴはお返しとばかりに、みみ架を煽った。
「里央を救う為という名目で、委員長がルシアに頭を下げるというのならば、別にアタシは止めないけれど」
「絶対に嫌ね。頭なんて下げないわよ。わたしはあのクソメイドが大嫌いだから」
 意地悪い顔でせせら笑うみみ架に、隣に座している弦斎が「やれやれ」と嘆息した。

 

 現在はすでに夕刻となっている。

 

 場所は、弦斎の招きに応じて黒鳳凰宅である。
 弦斎が道楽で経営している古書堂【媚鰤屋】と繋がっている一般家屋だ。ウチは一般人――というみみ架の口癖通りに、やや古めかしくはあっても何ら変哲のない一軒家だ。
 間取りは5LDKの二階建て。
 リビングと呼ぶにはそぐわない、純和風の居間で一同は食事を採っている。
 オルタナティヴは夕餉を馳走になりに来ていた。
 メニューは若鶏と白菜の水炊きをメインに囲っている和食だ。
 焼き魚、大根の味噌汁、マカロニサラダ等が副菜として添えられていた。これぞ手作り家庭料理といった品々である。味は、オルタナティヴの想像よりも上だ。なにしろ化学調味料が使われていない。出汁の取り方がいい。そして素材の味が生かされている。みみ架が作った様だが、料亭で修業すれば、短期間でプロの板場で通用するだけの腕になるだろう。
 この席はオルタナティヴにとって都合がいい。
 夕食ついでに、里央とエレナに対してどう対応するのかを、みみ架と話し合える。元からの依頼については報告できる事はない。みみ架から経過報告を求められたり、報告の必要性がなければ、結果報告のみで終わらせたいと思っていた。
「おかわり」と、オルタナティヴは空になった丼を差し出した。彼女だけ茶碗ではなく丼で白米を食べていた。
 空丼を受け取ったのは、同伴の篠塚ではない。彼も客として招かれている立場だ。
「はい、どうぞ」
 山盛りの白米を盛って丼を返したのは、褐色の肌をした青年である。
 明らかにモンゴロイドとは異なる顔立ちだが、似たような面影をもつ少女をオルタナティヴは知っている。その少女の名は、アリーシア・ファン・姫皇路。
 世界中から《シンデレラ・プリンセス》の二つ名で脚光を浴びているファン王国の姫君だ。
 青年は大人びたハンサムといえばハンサムだが、どこか子供の様に頼りなく映る。
「ありがとう」
 オルタナティヴは丼を受け取り、青年――河岸原エルビスに礼を言った。
「これくらい何て事はないさ」
 頬を染めて、玩具を与えられた幼児の様なニコニコ顔になったエルビスに、みみ架が皮肉げに頬を釣り上げる。
「丼に御飯をついで渡すだけで、なにしたり顔をしているのかしら。呆れるわね。その程度で得意顔するんだったら、時給分のバイトをやって欲しいものね。まったく」
「これ、みみ架。エルビスは真面目に一生懸命にバイトしてくれとるじゃろうが!」
 弦斎のフォローに、エルビスが感激した。
 はぁ? という顔になるみみ架。
「確認したら、釣り銭、二百円も違っていたわよ。在庫の帳簿整理とデータベースの更新作業もダメダメ。頼んでおいた掃除だけは真面目にやった形跡はあるけれど、やっぱりアレじゃやり直しね。三日後には業者さんが定期清掃に入ってくれるから、別にいいけど。あぁ~~あ、ホントに使えないバイトね。しかも今は呼んでもいないタダ飯食らいときたもんだわ」
 容赦なしといったみみ架の冷たい台詞に、エルビスがガックリと項垂れた。
 オルタナティヴは苦笑した。
「手厳しいわね、委員長。アタシから見れば、この元王子サマは、随分とマシな性根になっていると思うけれど?」
 そう言われたエルビスが再び満面の笑顔になる。百面相みたいだ。
 ニホンに帰化している天涯孤独の河岸原エルビスとは、世を忍ぶ借りの姿――その正体は、ファン王国の内乱に巻き込まれて隠匿の身となったファン王国第一王子、アレステアだ。
 ファン王国での内乱がニホンに飛び火した案件――過日の《隠れ姫君》事件において、彼は反王政派側に担がれていた。そして孤児として出自を隠されていた妾腹の姫君、アリーシアを巡る争いの渦中で、彼は王子として失脚してしまう。
 その時、命の危機に瀕したエルビスを『何でも屋』として救出したのがオルタナティヴ――という関係であった。依頼人は、エルビスの父である現国王だった。
 改心と共にアリーシアと和解、そして反王政派から抜けたエルビスは、国民への禊と人生勉強の為、アルバイターとして日々を過ごしているのである。
 アルバイト先は、この古書堂【媚鰤屋】。
 居候先は、堂桜一族の頭脳とよばれる超トップシークレット――堂桜那々呼が暮らすアパートだ。このアパートは精鋭の特殊部隊【ブラッディ・キャット】と、その隊長であるルシア・A・吹雪野によってガードされている。
 そして【ブラッディ・キャット】の守護下にない場所では、『監視という名目』で王家側が派遣しているSP陣がエルビスを影からガードしているのだ。
 実質的に全ての実権と人脈を取りあげられた状態で、彼が再び反王政派に戻るという選択肢はない。過日の事件で彼は反王政派に切り捨てられたに等しいのだ。だから、王家側がエルビスを監視する必要性とメリットは皆無である。要するに、離別された反王政派が彼に刺客を放った場合に備えて護っている――という状況なのだ。
 王国から放逐したはずのエルビスを何故こうまでして隠して護るのか。
 次期女王でもある異母妹――第一王女アリーシアが女王の座に就いた時に、エルビスは王族に戻り、そしてアリーシアの補佐をする事が既定路線となっているからに他ならない。
 オルタナティヴの言葉に、エルビスは頬を緩めた。
「君にそう言ってもらえると嬉しいよ。実際、僕の性根は腐り切っていたからね」
 みみ架が言った。
「誤解しないで。別にエルビスの性格については何も言っていないわよ。単に役立たずだって事実を述べただけだから。わたしをまるで悪者みたいにしないで欲しいわ」
「あ、うん。ゴメンよ、みみ架お嬢さん。使えないバイトで」
「それに、貴方は普段から『オルタナティヴに胸を張れる様になってから再会したい』とか大層な決意を口にしていたはずだけど?」
「う。そ、それは」
「だというのに、お祖父ちゃんがオルタナティヴを招いたと知ったら、図々しくもバイトが終わっても居座り続けているなんて、本当に口先だけね、エルビス」
 照れ笑いで誤魔化すエルビス。
 そんな彼に、オルタナティヴは小さく嘆息するしかない。
 みみ架は辛辣な言葉を続ける。
「まあ、何年か後には、どうせ元の鞘に戻るのでしょうから、その時までには少しは使える男になりなさい。アリーシアと王国の為にもね。じゃないと、アンタの世話をした古書堂【媚鰤屋】の名が廃るわ」
 弦斎がエルビスの皿に「遠慮なくおかわりせい」と鍋の具を追加した。
 エルビスは熱々の鶏肉を美味しそうに頬張る。
「あれじゃのう。いざエルビスがお国に帰るとなったら、みみ架が一番寂しがりそうじゃ」
 すこん! みみ架は無言で祖父の横顔にチョップした。
 オルタナティヴは素っ気ない眼差しをエルビスに向けて言う。
「アタシに対して、どういう気持ちを抱いているのかは知らないけれど、アタシは男に靡くなんて性格じゃないわよ。恋愛にも興味はないわ。仮に将来、誰かと結婚したとしても、旦那の人生や生活に合わせる気なんてゼロ。アタシはアタシで自由気ままに生きていくだけ」
 エルビスは眩しそうにオルタナティヴを見て、頷く。
「うん。そうだね。あの時の公園でのコーヒー牛乳と揚げパン。見ていた君の横顔を思うと、どんな男だって君の生き様を縛れないと思う。男に縛られたり、愛想を振ろうとする君なんて、僕も見たくない。ずっと君は君のままで、気高い君でいて欲しいよ」
 真っ直ぐなエルビスの瞳を、オルタナティヴは少し眩しげに感じた。
「君は僕の憧れで、目標でもあるから」
「アタシはそんな立派な人間じゃないわ」
 仮に、仮にエルビスが異性として自分に求愛してきたとしても、応えられない。
 エルビスを好き云々ではなく、彼は王族として然るべき身分の女性と婚姻しなければならないのだから。アリーシアと婚約している統護と、裏社会で生きる『何でも屋』では、何もかもが違う。そして、オルタナティヴは望んで今の生き方を選び、統護に堂桜財閥本家嫡男という立場を押しつけた。
「僕は立派な君に憧れたんじゃないし、だったら僕が君の分まで立派な人間になる。だから君には僕が出来ない生き方をして欲しいんだ」
「言うようになったわね」
「口先だけよ」と、みみ架。
 エルビスのスマートフォンがメール着信音を鳴らした。
「あれ? ルシアからだ」
 夕食はこちらで頂くから遅れるとメールしたのに、とエルビスは内容を確認する。
 文面に目を通して、卒倒しそうな程に驚く。
「うぁぁああああああぁッ!! な、那々呼ちゃんが不機嫌になっているって! そういえば僕が今日の那々呼ちゃんの食事当番だった!! すっかり忘れていたぁ! 早く帰ってこないとルシアが僕を折檻するって書いてあるぅぅうううう!! ひえぇぇ、最悪だぁ!」
 アパートに帰らないと、とエルビスは半泣きになって居間から飛び出していった。
 やはり彼はまだまだ頼りない、とオルタナティヴは評価を改めた。
 騒々しくエルビスが退場して、場の空気が切り替わる。
 みみ架が本題を切り出した。
 部外者――エルビスの前では詳細を語りたくなかった話だ。

 

「――で、浚われた里央についてだけど」

 

 オルタナティヴも気持ちを引き締めた。
 みみ架の真剣な視線を受けて、自分の見解を述べる。
「身の安全については、当面は大丈夫でしょう。すでに堂桜サイドが美濃輪家に根回ししているし、誘拐とかの警察沙汰はエレナも避けたかった。要するに、エレナが言った通りに、アタシ達を挑発する目的で里央を連れ出した。そして里央も危害を受けていないのは確実ね」
「当面という言葉尻を捉えていいかしら?」
「MKランキングに参戦する為にエレナはニホンにやって来ているわ。里央がエレナと同伴しているならば、何ら問題はない状況。けれど、わざわざ誘拐まがいに浚った以上、当然、エレナだって里央を連れ立ってMKランキングを戦うはず」
「そうでしょうね。エレナが敗れて里央が他者の手に落ちる……という可能性を否定できない状況だわ。誘拐目的じゃなくて、私達をMKランキングに引き込む為に」
 実際、専門筋から近接戦世界最強【ソーサラー】との評価を受けている黒鳳凰みみ架と一戦交えたい、と希望する戦闘系魔術師は多い。
 挑戦希望者がみみ架と戦えないのは、統護との関係を黙認している堂桜財閥が壁になっているからである。おそらく統護と交わした『血脈を継がせる子を成す』という約束がなければ、その規格外な戦闘技能ゆえ、みみ架は国家財産として身柄(身分)を拘束されていた。みみ架が未だに高校生をやれている現状は、幸運以外の何物でもないのだ。黒鳳凰の家は多額の税金を投入されているので、弦斎では手が出せない案件でもあった。
 オルタナティヴは言った。
「最悪を想定して、できるだけ早くエレナから里央を取り返すしかないわね」
「ええ。エレナの意図に乗るしかない。癪だけど」
 みみ架の右拳、左脇腹、そして正座している両足を順に見た。責任は自分にある。

 

「正規の依頼とは別に、アタシが解決する」

 

 里央は自分がエレナから取り戻す。つまりMKランキングに参戦するのだ。
 伝手はこれからだが、追ってこいとエレナが挑発した以上、そう難しい話ではないはず。
「貴女だけに負担は掛けないわ」
「いいえ。委員長は大人しく休養していて。そのコンディションだと無理をすれば回復が遅れるだけ。里央の件もアタシ一人で当たる。これに関しては依頼料は要らない」
 みみ架は大人しく引き下がった。
 オルタナティヴは一息ついた。これでいい。招きに応じた一番の目的は、みみ架に無理をさせない話をつける為だったのだから。
 今のところ、みみ架の専用【AMP】――《ワイズワード》は何の情報(ヒント)も示してくれていない。つまり、これは自力でどうにかするべきケースなのだ。
 弦斎が言った。
「里央ちゃんの件はそれでいいとして、ほれ、二人とも具が冷めておるぞい。新しい肉と白菜に取りかえてやる。もっと沢山食べるのじゃ」
 二人の受け皿に、程よい具合の鶏肉と白菜を入れ直す。
 再び鍋に意識を戻したオルタナティヴに、篠塚が畏まって報告した。
「お嬢様、里央様についてですが、現在ちょっとした話題になっている模様です」
「それはそうでしょう。世界一のスーパーモデルの正体が堂桜一族の【ソーサラー】だったというスキャンダルは、今一番ホットなニュースよ。当然ながら、巻き込まれている里央もオマケで話題になっていたとしても……」
 あのブティックでの騒ぎは、堂桜の諜報部門がどんなに優秀であっても、火消しや揉み消しができるレヴェルではない。
 それに、情報の揉み消し――は最低の後手であり、ある意味、敗北に等しい失態だ。
 篠塚は首を横に振って、テレビのスイッチを入れた。
 テレビ番組ではなくインターネットに接続して、とある大手投稿サイトにアクセスした。
 その画面に、オルタナティヴは唖然となる。
 がちゃん。みみ架が茶碗を落とした。半笑いになって画面に釘付けだ。

 

 エレナではなく里央が映し出されている、その内容とは――

 

 

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