アニメを斬る!

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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第6部(第16話)

第二章  スキルキャスター 2 ―エレナVS岳琉①―

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         2

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 |                        |
 |  ランキング戦                |
 |                        |
 |   ランキング9位  堂桜 エレナ      |
 |                        |
 |          VS            |
 |                        |
 |   ランキング12位 羽賀地 岳琉      |
 |                        |
 ========================

 一比古のバストアップが映し出されていた大型モニタが、表示内容を変えた。
 MKランキングの公式サイトが開かれている。
 9位にランクされて以降、エレナは自身が手にした情報端末機器から、バイオメトリックス(自働での生体認証方式)で公式サイトにアクセス可能になっていた。だが、そのアドレスや発行済みのパワード等の情報から、ハッキングおよびサイトの解析はできなかった。サーバの位置さえ特定できなかったのである。
 現在でも調査チームが追跡を継続しているが、成果は期待できないであろう。
 その事実が示唆しているのは、堂桜財閥が所持している世界最高峰の超次元量子スーパーコンピュータ【アルテミス】と、同等かそれ以上の情報処理能力・電子戦能力を、MKランキングのサイト管理者が有している事に他ならない。
 それは、あるいは堂桜財閥の基盤を揺るがしかねない事案なのである。
 場合によっては【魔導機術】の独占性を奪われかねないからだ。
 里央は画面と対峙する二人を交互に見比べていた。
 一比古が公式サイト画面を表示させたのは、スマートフォンを失っている里央に配慮しての事だろう。里央のスマートフォンをエレナが破壊した程度は、一比古が把握しているに違いないという前提だが。
 ニホンの関東圏のみを舞台にしたローカル闇バトルにも関わらず、噂が本当ならば全世界に散らばっている数十万人規模以上の特別会員の多くが、この画面に釘付けになっている。
 大型モニタのスピーカーから一比古が話し掛けてきた。

『では紹介しよう、堂桜エレナ。彼がランキング12位の羽賀地岳琉だ』

 エレナは眼前の男を観察する。
 背は低い。目測で百八十センチ前後か。無差別級の男性ファイターとしては小柄に分類される身長である。だが肉厚で四肢が太い。肥満ではないが、重戦車を想起させる身体だ。
 服装はニホンの陸上自衛官が着る迷彩服に極めて近いデザインである。
 階級章はないが、あるいは本物か。
 顔つきも巌のように濃い。制帽の下の頭髪は角刈りである。顔の皮膚が固く厚そうだ。そして特に眉毛が太かった。肌の色艶から判断すると間違いなく四十代よりも若い男なのだが、まるで五十代か、あるいは六十前後と錯覚しそうである。要約すると頑固親父な風貌だ。
 エレナは眉根を寄せて、思わず呟く。
「本物の自衛官? それとも自衛隊マニアによるコスプレ?」
「さあ、どっちだろうな? 本物であっても身分は明かせないけどな。名前も当然、偽名というかリングネームを使用している。仮に本物の自衛官だとしても、同じ自衛官のMKランキングの参戦者や特別会員は、階級に関係なく、互いに黙っているのが此処のルールで礼儀だ」
 MKランキングで戦う時は、気合いを入れる為に、この服に着替えると云った。遅刻が多いのは、着替える場所を見つけるのに手間取る事があるからだった。
 つまりは、そういう事である。エレナもこれ以上は余計な詮索を控える。
「ええ、そうでしょうね。無粋だったわ」
 国防を担う者への敬意さえ、この場では不純物であろう。
「今の俺はランキング9位のアンタと戦うランキング12位。それだけの存在だ。俺にとってはアンタが堂桜だろうが、元スーパーモデルだろうが、全く関係ない」
 里央がしみじみと言った。
「やっぱり大人の男性は貫禄が違うなぁ」
 その言葉に、岳琉が鼻先を掻きながら照れる。
「よせやい、お嬢ちゃん。大人といっても、俺はまだ三十歳になったばかりだぜ。社会的にはまだまだひよっこだ。ま、国民の為にも大人の男で在りたいとは思っているけどな」
 エレナはポカンとなった。どんなに若くても三十五歳以下はないと思っていた。
 仰天した里央が絶叫する。
「ぅぇえええええええええぇぇええッ!? 五十五歳くらいだと思っていた!」
「ちょっ! お前、失礼だな!! 確かに老け顔だって散々言われているけど、せいぜい四十歳くらいに見られる程度だぜ」
「ううん。それは絶対に気を遣われているって思う。どんなに若く見積もっても五十歳以下に見えないもん。三十歳だなんて信じられない。あり得ないよ」
「あり得ないとか真顔で言うなよ! 傷付くだろ、オイ!! いくら小学生だからって、言っていい事と悪い事の分別くらいはつけてくれよ、お嬢ちゃん!」
「これでも私、高校二年生だってば! 全然、大人っぽくないのは自覚しているけど」
「え!? 堂桜エレナが浚った女子高生って、お前だったの!?」
 里央と岳琉――二人が並ぶと他人には親子か、下手をすると祖父と孫娘にしか見えない組み合わせである。
 マジマジと里央を見る岳琉に、苦い口調で一比古が言った。
『おいおい、羽賀地。いい加減に試合を始めてくれ。美濃輪里央さんとの運命的な出逢いについては、後でじっくりとやり直せばいいだろう』
「確かに俺、人生で一度も彼女ができた事ないけど、ロリコンじゃないぞ光葉」
「私も、歳の差は気にしないけど、ここまで老けているオジサンとは付き合えないかなぁ」
「オッサンじゃねえよ、俺は!! ちょっと老け顔の三十歳の若者だぜ!  そりゃ十代二十代からすればオッサンかもしれんが」
「ちょっとじゃなくて規格外の老け顔だよ……。これは顔芸の域だってば」
「だから真顔で言うなっつーの!!」
 ちなみに、この二人が四年後に見合いではなく恋愛の末に結婚するとは、この時、誰も想像していなかった――とは、披露宴でスピーチしたエレナの談である。
 溜息を一つ溢し、一比古がエレナに言った。
『……全くやれやれだ。質実剛健だと思っていた羽賀地にこんな一面があったとは。分からないものだな。堂桜エレナ、悪いが君から戦闘態勢に入って、空気を変えてくれないか』
 軽く首を竦めて見せてから、エレナは【ワード】を唱える。

「――ACT」

 この【ワード】とは魔術――【魔導機術】において、施術者が魔術プログラムを術式として起動させる為に設定しているキーワードだ。特にエレナが唱えた単語は、全ての魔術師が共通して使用する基礎単語――つまりシステムの起動呪文である。
 起動呪文『ACT』は『アクセス・クリエイト・トランスファーメーション』の頭文字を繋げた造語で、この一言から【魔導機術】はシステムとしてのプロセスがスタートとなる。
 タン、タンっ! エレナは軽やかに右足でタップ・ダンスを刻む。
 履いているのは紫色のローファーだ。踵が低いその靴には、アクセントとして六角形の装飾品が付けられている。片羽を象った意匠のソレが、エレナの専用【DVIS】なのだ。

 キィン。エレナの魔力が注ぎ込まれて【DVIS】内の宝玉が真紅の輝きを灯す。

 特殊なレアメタルで構成されている【DVIS】用宝玉のみが可能とする、人々が宿す魔力を【魔導機術】システムに供給する高次元ラインが引かれる。
 ちなみに【DVIS】とは『ダイレクト・ヴジョン・インジケイター・サポートシステム』の頭文字を繋げた単語だ。単純な機器としての『DEVICE』とはスペルが区分されていた。
 所持者であるエレナの声紋を解析・認証した【DVIS】は、システム用IDとしても機能を果たす。アクセス先はラグランジュ・ポイントを周回軌道している魔導型ステルス軌道衛星――その名称は【ウルティマ】だ。
 この【ウルティマ】は、既存の観測用人工衛星とは根本的に異なっている。新世代自己進化型機能を備えた先鋭性と超性能を誇るのだ。堂桜財閥が個人所持している代物で、他のいかなる団体――国家および組織であっても侵すことが不可能とされる聖域だ。
 そして軌道衛星【ウルティマ】こそが、【魔導機術】という技術を、魔術という形態で人々に供給している演算・相互間転送機構の中枢なのである。
 エレナは【ウルティマ】へのアクセスに成功――そしてログインした。
 アカウントの種別は『ノーマルユーザー』を使用する。
 ログインと同時に、エレナの意識内に【ベース・ウィンドウ】と呼ばれる特殊領域が構成、展開された。【ウルティマ】と精神的にシステム・リンケージした証でもある、エレナにしか認識できない電脳世界での立体映像だ。
 この高次元世界に展開された【ベース・ウィンドウ】により、魔術師は軌道衛星【ウルティマ】との魔術プログラムをフィードバックおよびフィードフォワードが可能となるのだ。
 そして、この電脳世界内での魔術オペレーションは、現実世界の時間軸より高次元である。
 ここまではオールグリーン。次のプロセスへと移行。
 エレナは自身の魔力総量と意識容量を解放した。
 これにより【ウルティマ】に搭載されている超次元量子スーパーコンピュータ――【アルテミス】の演算領域を割り当てられる。次いでエレナは【DVIS】内のRAM領域に記憶させている魔術プログラムをシステムに向けて転送しながら一斉に走らせた。エレナの意識容量と【DVIS】の記憶領域が、電脳世界内で完全に同一・同調化していく。
 【ベース・ウィンドウ】内に【アプリケーション・ウィンドウ】群が出現した。
 数多に展開した【アプリケーション・ウィンドウ】の内部には、膨大な数行の数式が上から下へと高速で流れている。
 この数式の大群は【ウルティマ】の演算によってコンパイルされた魔術プログラム――術者へとフィードバックされてきた実行用の術式だ。【スペル】と呼ばれる文字列である。
 システム側がROM領域で全ての【スペル】を負担する【間接魔導】とは異なり、戦闘系魔術師が使用するオリジナルの【直接魔導】は、この【スペル】を己の記憶容量で受け止めなければならない。専用【DVIS】のRAM領域は、あくまでソース・コードの一時書き込みに過ぎないのだ。
 一つの【アプリケーション・ウィンドウ】につき、一つの魔術プログラムを実行できる。
 魔術師は【アプリケーション・ウィンドウ】内に記述する【コマンド】と起動呪文としての【ワード】詠唱によって魔術プログラムを実行――その結果、仮想世界である電脳世界を、現実世界の超常現象として顕現させる。すなわち魔術現象として物理現象を上書きしエミュレートするのだ。

 この魔力と機械技術の組み合わせによる『現実の事象改変システム』が【魔導機術】であり、独自理論によって個人を基点として運用可能な技能者は、魔術師と総称される。

 魔力をエネルギーとする人による事象改変現象であるが、その根幹には電脳技術が根付いているのだ。本物の〔魔法〕など空想上の存在でしかなく、人による技術ではない。
 ゆえに【魔導機術】は『法』とは定義せずに、技『術』なのだ。
 そしてこのテクノロジーは〔魔法〕とは区別されて俗に『魔術』と通称されている。

 以上のプロセス――システム・リンケージと同調化、および【ベース・ウィンドウ】と【アプリケーション・ウィンドウ】群のセットアップに、エレナが要した時間は、実にコンマ二秒以下という一瞬だ。
 エレナがタップを踏んだ足下に、真っ赤な【魔方陣】が出現する。
 その【魔方陣】から天使を模した魔術幻像が姿を現して浮かび、エレナの背後に陣取った。
 巨大な双翼を広げた天使モドキだ。
 純白を基調としているが、紅く発光している。
 ヴゥゥオオォォン! 威嚇する様に赤色の発光から輻射熱が放出された。
 直線部が少なく、多くが雅な曲線を描く甲冑を纏った天使モドキであるが、特徴的なのは、天使を想起させるデザインでも、雅な甲冑の形状でもない。
 胸部から下が存在していないのである。
 女神を思わせる頭部から両肩と両腕、そして背面上部と左右の羽翼のみで構成されている。
 厳かな口調で、エレナが告げた。
「これが私の【基本形態】――

 ……その名も《アクトレス・レッドウィング》」

 彼女が口にした【基本形態】という単語。
 これこそ【ソーサラー】を『戦闘系に特化した』魔術師と定義づける決定打となった、魔術戦闘における基本的な運用理念である。
 攻撃魔術の速度は、時に超音速を軽く凌駕して亜光速にすら近づく。
 すなわち、拳銃の抜き撃ちなど比較にならない速度なのだ。そういった超速度での攻防に、戦闘用魔術を適用するとなると、いかに電脳世界内の【ベース・ウィンドウ】が現実世界を超える時間軸かつ超視界で操作できるとしても、単一術式を場面場面でいちいち個別に実行し直していくのでは、実際の身体の方が攻防スピードに付いていけなくなるのは必至である。相手も同格の戦闘系魔術師であるのだから。
 有効策として生まれたのが、この【基本形態】という発想だ。
 OS的な機能を有し、時に術者の意識・反射を超える攻撃であっても、【基本形態】の半自律行動によって、臨機応変に対応可能とする運用理念である。
 また【基本形態】の半自律行動および基本性能とは異なった派生魔術は、OSとしての【基本形態】から【ワード】と【コマンド】によってコントロールするのだ。
 それに加えて、【基本形態】の作用で戦闘系魔術師ソーサラーは身体性能を大幅に引き上げる。
 オルタナティヴや統護の様な超人化には遠いが、術者の魔力総量と意識容量、そして魔術プログラムの効率によっては、常人よりも遙かに上の身体性能を実現可能とするのだ。
 里央が戦闘態勢に入ったエレナに固唾を呑む。
 エレナの【基本形態】――《アクトレス・レッドウィング》を目にした岳琉が、表情を引き締めて「――ACT」と追従した。
 岳琉のオリジナル戦闘用魔術も即座に立ち上がる。
 凄まじい速度で、暗褐色の物体がフロアの中に飛来してきた。その物体は――鷲だ。
 鷹は一度、高度を落として床面ギリギリで滑空した。そこから急旋回して、岳琉の頭上へと雄々しく舞い上がる。
 魔術が作用して、両翼を広げた鷹がその姿を変じていく。
 氷だ。
 宝石の様に輝く氷の結晶を、さながらオーラのごとく纏って双翼が巨大化した。
 フロア内の湿度が一気に下がり、里央は眼の乾きと肌のかさつきを覚えた。
 岳琉が【基本形態】に語りかける。

「狩りの時間だぜ、俺の《アイスウィング・イーグル》よ」

 その言葉に応じて、《アイスウィング・イーグル》が大きな翼を力強く羽ばたかせた。
 対峙する二対の双翼。
 奇しくも両者の【基本形態】は、巨大な翼という共通点がある。
 いや、偶然ではなくプロモーターである一比古が意図した結果(カード)なのかもしれない。
 しかし【基本形態】のタイプとしては、完全に別カテゴリだ。
 エレナの《アクトレス・レッドウィング》は魔術幻像(パワーヴィジョン)タイプ。
 対して、岳琉の《アイスウィング・イーグル》は【使い魔】強化タイプだ。
 他のカテゴリとしては、『魔術事象(エレメント)を身に纏う』タイプがポピュラーかつスタンダードとされている。稀少だが例外も存在して、『基本形態を外観として顕現させない』特殊タイプもあるが、これは魔術そのものが特殊なケースに限られている。
 そして【ゴーレム】使役タイプもメジャーな【基本形態】だ。
 また、本来ならば多人数による起動が原則である【結界】を【基本形態】とする者。だたし【結界】を【基本形態】化しての単身運用は、術者が負担するリソースが他のタイプよりも桁外れに大きくなってしまうので、相当な魔力総量と意識容量を持つ者のみとなる。
 しかしながら【基本形態】のカテゴリ別けは、おおよそのもので、学術的な厳密さはない。便宜的な側面が強いタイプ区分なのだ。特に魔術幻像タイプは、純粋なエレメントに即したヴィジョンのみならず、その内実に他のタイプの要素を含んでいる事がある。
 岳琉が言った。
「俺の使用エレメントは見ての通りに【水】から派生させた低温特化――つまり特化エレメントの【氷】だ。魔術特性も【氷】の使役と事象凍結。小細工はしない」
 正面から相手を撃破するのが俺の流儀だ、と岳琉は分厚い胸板を張る。
 魔術には必ずエレメントを組み込まなければならない。
 どの様な魔術理論であっても、膨大な魔力が注ぎ込まれても、エレメントが組み込まれていない魔術プログラムは現実の事象をエミュレートできないのだ。
 エレメントには数多の種類が存在する。
 基本的な四大エレメントである『地・水・火・風』。
 これら四つは戦闘用魔術に使用するエレメントとして汎用性に富んでいる為に、最もスタンダードかつポピュラーだ。
 対となるのが、特殊エレメントや特化エレメントと呼ばれるものである。
 これ等は四つに限られた基本エレメントとは違い、【光】と【闇】の両儀、または【磁気】や【雷】もしくは【重力】、あるいは基本エレメントからの派生エレメント――といった具合に種類も豊富だ。
 しかし魔導学の一般的常識として、特殊エレメントは基本エレメントと比べると汎用性で劣る場合が多く、魔術戦闘だと一芸に賭けた使用方法に限られるというデメリットもある。
 岳琉はエレナの【基本形態】を値踏みした。
「紅い輝きからの輻射熱からすると、そちらの使用エレメントは【火】か。あるいは【火】から派生・特化した【熱】かな? いずれにせよ魔術特性は熱エネルギーの利用だろう」
 エレナは大げさに肩を竦めて見せた。
 わざわざ手の内をベラベラと喋り、情報を与えてやるメリットなど皆無だ。
 【基本形態】最大の欠点が、その形態から使用エレメントを推察されやすい事である。
 しかしエレメントを【基本形態】化させなければ、術者をフォローするようなコントロールと【コマンド】と【ワード】無しでの基本性能を発揮できないので、これは仕方がない。
 故に過日の【EEE】――《エレメント・エフェクト・イレイザー》の様に、【基本形態】の視覚効果を消す衣装型【AMP】も開発されたりもする。件の【EEE】はコスト的に実用化は遠い代物だが。
 一比古が改めて宣言した。

『それでは、試合開始といこうか』

 

 

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