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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第1部(第48話)

第四章  解放されし真のチカラ 12 ―オルタナティヴVS業司郎③―

 

         12

 

 起動用【ワード】と共にリングにキス。
 指輪に填め込まれている宝玉が輝き、久しく彼女が失っていたチカラを取り戻させる。
 存在が換わり、専用【DVIS】が己を認識しなくなったが、生体登録の再認作業によってようやく変革した主のデータを認識したのだ。
 再セットアップ――完了。
 待望の【魔導機術】が立ち上がる。

 

 陽炎のような炎のオーラが少女を包み込んだ。

 

 そして学生服の上から羽織っている漆黒のマントに、金色の五芒星が浮かび上がった。
 五芒星の各中心には、『地・水・火・風』そして、五行とも定義される五大エレメントの最後――『空』を司る紋様が神々しく描かれている。
 今は【火】の紋様が光を放っていた。
 これこそがオルタナティヴの【基本形態】である。
 少女の【魔導機術】を目にして、業司朗が驚愕した。

 

「な、なんだ、と? それは《ファイブスター・フェイズ》じゃねえか……ッ!!」

 

 なんでお前が、と呟き目を見張った。
「いやちょっと待て。その眼。その顔立ち。オイ、マジなのか? テメエ、隠し子かなにかなのか? それとも見た目だけ真似たフェイクなのか?」
「両親も妹も棄てたわ。アタシがアタシで在る為だけに――」
 炎のオーラ《ローブ・オブ・レッド》を纏ったオルタナティヴは、業司朗へ仕掛けた。
 自らの身体を炎の砲撃と化して、突っ込んでいく。
 業司朗も呼応するように突進した。
 両腕の《ビースト・アームズ》をクロスさせて、オルタナティヴの体当たりを受け止めた。
 しかし体当たりを止めるだけで、業司朗は精一杯であった。
 オルタナティヴは拳の雨を降らせる。
【火】の属性を宿したオルタナティヴの連撃が、業司朗のガードを時雨のように打ちつけた。
 ボロボロに崩れていく《ビースト・アームズ》。
 バックステップしたオルタナティヴは右腕を大きく薙いだ。すると炎の熱波が巻き起こり、業司朗を焼き焦がす。
 圧倒的な魔術強度であった。
 すかさず業司朗は地面に《ビースト・アームズ》を打ち込み、土砂の間欠泉を発生させて己を燃やす炎を鎮火した。
 ずぅドォッ!!
 オルタナティヴの炎を纏った右拳が、がら空きになっていた業司朗の顔面を捉える。
 たまらず吹っ飛んだ業司朗であったが、どうにか倒れずに踏み留まった。

 

「――《ビースト・ミサイル》!」

 

 体勢を立て直すと同時に、反撃の攻撃魔術を放った。
 硬質化された土のミサイルが、オルタナティヴをロックオンして飛行していく。
 オルタナティヴもロックオンされた事を、自身の電脳世界で感知した。
「お前の炎で防げるかなぁ?」
 挑発する業司郎。いかにオルタナティヴの炎が強力とはいえ、業司朗の《ビースト・ミサイル》を焼き消せるレヴェルではなかった。

 

「――《エレメント・シフト》」

 

 これが《ファイブスター・フェイズ》の基本性能だ。【ワード】なしでも可能である。
 オルタナティヴの【ワード】と共に、マントの五芒星が変化した。火の紋様の輝きが消え、水の紋様が輝いた。
 同時に炎のオーラが消え、水蒸気のオーラ――《ローブ・オブ・ブルー》が彼女を覆う。
 すでに【ベース・ウィンドウ】によって、《ビースト・ミサイル》の軌道計算および着弾時間の予想は終了している。それに魔術的にロックオンされているのだから、逆にいえばギリギリまで自分をホーミングするのだ。彼女は滑らかに魔術オペレーションをこなしていく。
 オルタナティヴは右手の人差し指を立て、ミサイルへ向けた。
 きゅゴンぉん! 【水】の礫が散弾と化してミサイルを削り壊してしまった。
「……な」
 再び顔面を強ばらせる業司朗。
「マジか。マジなのかよ!? 【AMP】の補助なしでエレメントを、魔術特性を切り替えた、だと? やはりその【基本形態】はハッタリじゃないのか」
 複数の魔術特性を扱える魔術師も多いが、それには基本的に別々の【基本形態】を必要とする。ゆえに習熟度や発展性を考えると、オリジナルの【基本形態】を複数持つ者は少ない。複数の【基本形態】を持つ者でもメインとサブの格差は大きい。
 だから戦闘系魔術師――【ソーサラー】が複数の魔術特性を扱う時には、【AMP】を使用して切り替えるのが常道となるのだ。
 しかし、たった一つの【基本形態】で四大エレメント――【空】を除く『地・水・火・風』を自在に操った【魔導機術】の天才を、業司朗は知っていた。
 そしてその天才は今、【DVIS】を扱えなくなり、魔術の劣等生と蔑まされている。
「あり得ないはずなのに。だが、お前、お前はひょっとして……ッ!!」
 その言葉を無視し、オルタナティヴは使用エレメントを【風】へと換えた。
 纏うオーラも風の《ローブ・オブ・クリアランス》へと変化した。
 そして空高く飛翔し、同時に竜巻を発生させて業司朗の動きを封じた。
 風の壁に封じられならがも、業司朗は《ビースト・クロウ》で迎撃態勢をとる。
 対して、オルタナティヴは風を纏った右足を槍として、

 

「――《トルネード・スピア》」

 

 ぎゃるるるるるるるるッ!
 高速で錐もみ回転しながらの右の突き蹴りを見舞った。
 業司朗は風の障壁に動きを阻害されながらも、両腕を大きく振りかぶった。
 そして一気に振り下ろす。

 

「――《グリズリー・クラッシュ》ッ!!」

 

 激突するキックとクロウ。
 迎撃に成功した《ビースト・クロウ》の一撃であったが、爪の部分が大きく破損していた。
 ダメージを与える事に失敗したオルタナティヴは、一度宙返りして体勢を整えてから後方に着地した。
 続けざまに業司朗が吠えた。

 

「――おらぁあああ、《ビースト・キャニオン》ッ!」

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴッぉぉオオォオオ。
 地割れが発生し、禍々しい触手のようにオルタナティヴへと伸びていく。
 その魔術効果を彼女は冷静に魔術サーチした。電脳世界での演算、解析、予測、そして最適な対応を超視界と超時間軸で終える。現実時間と有視界に迫る脅威に、微塵も心乱されない。先程よりも魔術オペレーションが速くなっていた。最後に【コマンド】を入力して【ワード】を唱える。「《エレメント・シフト》」と。
 オルタナティヴは【地】――『土系』へと属性を換え、地面へ手の平を置く。
 開いた地割れの側面から無数の円筒が発生し、歯車のように噛み合って櫛状の板となる。
 その板の上に、オルタナティヴはすまし顔で立っていた。
 纏っている土のオーラの名は《ローブ・オブ・グレー》だ。
 ことごとく攻撃を遮断された業司朗の額に、くっきりと青筋が浮かんだ。
「てンめぇ」
「問題ないわね。リハビリはこれくらいかしら」
 オルタナティヴは満足げに呟き、ギラリと視線を光らせた。
 ここからは新しいチカラを試す。

 

 左指のリングに秘められている、自身がかつてどうしても扱えなかった【空】の属性を。

 

 心が望むがままの在り方を手にした今ならば――きっとできる。
 魔術師の少女は空を仰いだ。
 心が――澄んでいく。
 手を伸ばせば、この空に届きそうな気さえする。
 右のリングは【DVIS】であり、左のリングは【AMP】である。
 しかし、この【AMP】はオルタナティヴが発案し、堂桜那々呼にワンオフ品として開発させた――従来のコンセプトとは似て非なる、新しいタイプの【AMP】だ。
 彼女にとって封印解除は不便・不自由に過ぎた。そして【エレメントマスター】のようなイレギュラーなチート能力も趣味ではなかった。もっとスマートな形がいい。
 ゆえに【魔導機術】の天才と称された彼女のみが扱える――全く新しい魔術を欲した。
 視線を業司郎へと戻す。
 ポニーテールをたなびかせる黒髪黒衣の少女は凛と叫んだ。

 

「――セカンドACTッ!」

 

 

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