アニメを斬る!

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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第4部(第56話)

第四章  真の始まり 25 ―〔神魔戦〕統護VSジブリール④―

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         25

 

 統護の〈神化〉を見届けて、ケイネスと詠月は驚愕と興奮を隠せなかった。
 二人の視線は〔神〕の少年――統護に釘付けである。
「これはどういう事なの、ケイネス。堂桜統護は【ウィザード】のチカラの先に、〔神〕のチカラさえも隠し持っていたわよ。確かに堂桜の中から選ばれた私達〈資格者〉には、その権利があると託宣されて、この【イグニアス】世界の〈創造神〉のゲームに乗った。でも堂桜統護はすでに……」
「シンプルに、彼は本当に〈イレギュラー〉だったというオチでしょう」
「それにしたって……!!」
 歯噛みする詠月を、ケイネスは「くくくく」と愉しそうに笑い飛ばす。
「落ち着きなさい。異常ではあるわ。けれど私達、正規の〈資格者〉にとって何ら問題、デメリットのある話じゃないのだから」
「た、確かに」
「それよりもメリットの方が遙かに大きい」
「そうね。本来は七席――のはずが、すでに別の〈神座〉を得ている統護、そして彼に因縁があるオルタナティヴの二席は、実質、ゲームの競合相手とはいえないものね」
 つまり〈神座〉をめぐる競争相手は、残りの四席、あるいはオルタナティヴの座席を追加分とすると五席、という事になる。
「くくく。やはり貴女は切れ者ね。オルタナティヴも『違う』と判断するとは」
「そりゃあ、自ら代替(代わり)なんて名乗っているくらいだし」
 表の意味は、転生してきた堂桜統護に配慮しての『代替』であろう。
 だが、それはオルタナティヴが自称している面からの解釈であり、彼女が〔制約〕によって『堂桜統護』を名乗れなく設定されているのならば、そして『代わり』と名付けられているのならば、むしろ――
「あの子はあの子で、どうして本来の統護から少女に変わったのかしらね」
「それもゲームの勝者、すなわち一番先に正解に辿り着く為の重要なヒントでしょう」
「ええ、違いない」
 二人はほくそ笑む。
 ケイネスは理知的に統護についてまとめる。
「敵になるか、味方になるかは、別にして。〔神〕として顕現してみせてくれた堂桜統護は、私達に競う〈神座〉が実在しているという証明をしてくれた。今回の一番の収穫よ」
「そして〈光と闇の堕天使〉の役割もね」
「さて、見せてもらおうかしら、堂桜統護。私達が目指す〈神座〉のチカラを」
 実験の収穫は充分以上だ。
 目標の設定は大天使の顕現までだったのに、まさか〈神化〉まで確認できるとは。
 ここから先のケイネスは、実験の主導者ではなく、単なる観客である。
 そして此度の残りは、〔神〕が大天使に〔神罰〕を下す――その儀式だけであった。

 

         

 

 地に降りているイヴは、怒りと屈辱で統護を睨み付けている。
 絶対に赦さない――と顔に書いてあるようだ。しかし同時に恐怖と畏れも窺える表情だ。
 対して、統護は無造作に間合いを詰めた。
 大天使としての優位性を喪失しているイヴは、いとも容易く懐を許してしまう。
 重く、けれど甲高いヒット音が連なる。左ジャブの連撃が、イヴの顔面をブレさせた。
 統護は左拳を止める。あまりに歯応えがなさ過ぎた。
「な、なぜ!?」
 イヴは光速で躱したつもりである。しかし、人間だった頃と速度感覚が変化していない。
 真っ直ぐに下がるイヴに対し、統護は左拳を引き絞って、大きく踏み込む。
「下手くそ以前に、まるっきり素人だぜ、アンタ」
 ずぼォんッ!! 統護のリバーブローがイヴの右脇腹を深々と抉った。
 ガードどころか、イヴは反応すらできない。スパーリング未経験者の動きそのものだ。
 研鑽した防御技術やポジショニングではなく、スピード差のみに依存して身体ごと攻撃を躱していたイヴは、統護にとってはサンドバッグに等しい。
 伊武川夏子の生体データを、クィーン細胞のチカラで自身の裡に秘めているイヴであるが、訓練なしでは夏子の戦闘技術を体現できない。共有記憶というデータに過ぎなかった。
 いや、そもそもイヴは夏子の戦闘技術と戦闘経験に興味がない。
 至近距離での攻防や、苦戦、試行錯誤した記憶(データ)になど興味がなく、イヴが求めたのは、安全な場所から相手を一方的に攻撃できる方法だけ――
「ぐはッ」
 たまらずイヴは身体をくの字に折る。激痛に苦悶して、食いしばった口から涎が垂れた。
 そんなイヴを冷たく見下ろし、統護は言った。

 

「俺とお前の『速度の基準』を、〔神〕のチカラで設定し直した」

 

 大天使ジブリールであるイヴ・ウィンターは、光速での挙動が可能だ。すなわち速度としては物理法則の上限値に達する事が許されている。
 それに対して、〔神〕である統護は物理法則そのものを設定し直したのだ。
 今の統護――〔神〕を前にすると、物理法則は絶対ではない。
 世界を創造した〔神〕によって設定されているルールの一つでしかないのである。
 この異世界【イグニアス】とその内在世界――純虚数空間の物理法則そのものは、統護には設定し直せない。その権利は〈創造神〉のみが有している。だが、統護とイヴがいる極小範囲のみであるのならば、統護のチカラで限定的に物理法則を再設定できた。
 イヴが苦悶の声を漏らす。
「嘘だ……。光速で動ける大天使の私が、こんなに遅いなんて」
「新しい物理法則は、元のアンタの速度感覚に合わせている。つまりこれが大天使ってチートを排除した等身大のアンタのスピードってわけだ」
 大天使をはじめとした〈神下〉の存在は、物理現象の上限と物理因果律への干渉までは許可されている。だが、それはあくまで〔神〕が定めたルール――物理法則という法規に従った上での話でしかない。法規そのもの――根幹へは不可侵なのである。

 

 すなわち〔神〕と〔神〕の聖戦は、世界法規の上書き合戦とも言い換えられるのだ。

 

 ズゴォンッ!!
 統護の右ストレートが炸裂。
 防御がザルのイヴは派手に顔面を打ち抜かれ、上体を弓なりに反らされる。
 ダウンを拒否して踏み留まるイヴの顎先へ、統護の左フックが入った。
 これも直撃だ。いや、統護が繰り出すパンチは全て簡単にクリーンヒットする。
 相手が素人であるから。イヴが夏子をコピーしたのは【基本形態】のみだった。統護は思う。失敗してもいいから、回り道でもいいから、少しでも愚直に努力できていればば、少しは夏子の生体データが力を貸してくれただろうに。安易な近道を選ぶから、こうなってしまった。
 統護のコンビネーション・ブローが、次々と容赦なく着弾していく。
 グロッキーになったイヴは、ヨロヨロと後ずさった。
「そ、そんな。そんな、バカなぁ」
「実際には光速で動けているよ、アンタは。でも、超光速で動く俺がいるから、相対的に自分を速く認識できないってだけに過ぎない。ま、今の俺とアンタの速度は、〔神(俺)〕が設定した範囲外からの観測だと、光速でようやくまともな速度なんだけどな」
 つまり光速より遅いと、統護の設定範囲外からの視認では、極度なスローに映るのだ。
 イヴは再び空へと舞い戻る。
「ふざけるな! ふざけるなぁ!! 私の光速挙動が遅いだと!? そんなの認められない!」
 六枚翼が広がり、彼女の周りをダイヤモンド群が彩った。
 赫怒を込めた【ワード】をヒステリックに叫ぶ。

 

「ならば〔神〕を超えてみせる――《クィーンズ・ライトニング・シャワー》ッ!!」

 

 光の砲撃による豪雨であった。
 統護は感心する。光速が上限ではなく速度基準に再設定されても、空気の振動で伝わる音と声が、変化していない点に気が付いたか、と。
 しかし。
 イヴの両目が見開かれ、頬が引き攣った。
 遅いのだ。放たれた《クィーンズ・ライトニング》がゆっくりとしか進んでいかない。
 統護はイヴに説明を補足した。
「元の物理設定を流用しているのは、あくまで音に準じた空気振動だけだ。そしてアンタの光は、空気抵抗による粒子運動の減衰で、元のアンタの速度感覚まで減速させる設定にした。ついでに網膜に届く光の像もな」
 要するに、声と音のみが元の物理法則に沿った感覚というわけである。
 統護は易々と光の豪雨を躱しながら飛翔した。
 物理的な回避行動ではなく、統護は自身に向かってくる光線に対して、空間をねじ曲げて避けさせる事によって躱している。統護は真っ直ぐに飛んでいるのだ。
 空間は均一ではない。不変でもない。巨大な超重力の影響によって歪曲するのだ。統護はそれを物理の法規改変によって実現させた。自身のみを影響範囲外として。
 また光も同様に超重力の影響下では、直進せずに曲がって進む。
 加えて、統護は一秒間に地球を三十周可能な速度――超光速で動いている。
 イヴの真正面に立った。
 空気層や重力のコントロールによって宙に足場を造り浮いたのではない。純粋に統護の足下が不可視の地面になるという物理法則に設定されている。
 現界していない〈創造神〉の〈干渉力〉を遮断可能な限定範囲とはいえ――

 

 天地だけではなく上下左右も、セカイは〔神〕である統護の思うがままだ。

 

 イヴは〔神〕を前に愕然と立ち尽くすのみだ。
 カチカチと歯の根を鳴らしている。
 統護はイヴを挑発した。
「どうした? 俺を斃すんじゃなかったのかよ。光の砲撃が通じないのならば、拳を握って構えろ。まだ戦闘手段はいくらでもあるはずだ。かかってこいよ。クィーン細胞のチカラで、アンタの中に夏子先生がいるんだろ。夏子先生がアンタの中で生きているんだったら、夏子先生の記憶のままに立ち向かってきてくれよ」
 最後の言葉は懇願に近かった。
 伊武川夏子は完全に死んだのではない――と、統護は思いたかった。
 けれど。
「ぅぅぅうううぁあわあぁぁああああああああッ~~~~~~~~~~!!」
 悲鳴を上げたイヴは背中を向けて、全力で統護から逃げ出した。
 逃げる。ひたすら逃げる。一心に逃げた。
 背後から撃たれる可能性を考えず、イヴは真っ直ぐに遠くを目指している。
 もう地球を二百周できるだけの距離を飛んだ。
 それなのに大気圏を突破して、宇宙へと逃げられない。
 どこまでも空が続く。
 後ろからの攻撃や追尾の気配がないので、飛行を停止したイヴは恐る恐る振り返った。

 

 ――巨大な掌の上にいる己に、イヴは愕然となる。

 

 場所は、統護の右手の平だ。
 釈迦と孫悟空との一幕のごとく、巨大な統護の掌の上を周回していたに過ぎなかった。
「ハッ!?」
 巨大な統護が消えた――と、イヴが我に返る。
 統護はイヴの真正面に立ったままだ。
 この程度の芸当は、〔神〕である統護には造作もなかった。大きさという尺度は、今の統護にとっては無意味で無価値なのだから。
「そんなぁ。そ、そんなバカなぁぁああああぁ」
「逃走がアンタの答えか……」
 唇を噛む。忸怩たる気持ちだ。
 国民や関係者に対し、謝罪と賠償という責任から目を背けた伊武川冬子と、何ら相違ない。
 イヴが泣きそうな声を振り絞った。
「こ、こんなのズルイ。インチキだ」
「そうだろうな。端っから同じ土俵に上がっていないからな。正真正銘、まるっきりチートだぜ。アンタが俺を強いではなくズルイ、インチキと感じるのは正常な感覚だ」
「認めるのか、堂桜統護! そう、お前は決して強いのではないという事を!!」
「その言葉、そっくりそのまま返してやるよ」
「なに」
「アンタが得意満面で振るっていた大天使のチカラも全くの同じだ。相手と同じ土俵じゃないインチキ、ズル、チートだぜ。アンタ、まさか自分が強いって勘違いしてたか?」
 額に血管を浮かせたイヴは、癇癪を起こして統護を否定した。
「違う、違う! 私の大天使の地位とチカラは特別なのだ!! インチキやズルじゃない! 私のチカラはお前が使っているインチキやズルとは違う!! 私は大天使という特別だ!」
 身振り手振りを交え、必死に訴えるイヴ。まるで幼児だ。
 統護は冷笑を浮かべて、確認した。
「つまりだ。アンタは自分が殴るのは正しいが、殴られるのはイヤだ。アンタは自分が相手より強力な武器を持つのは正しいが、相手が自分よりも強力な武器を持つのはダメだ。注目と賞賛は欲しいけど、批評・批判はされたくない。自慢はするが謝罪・反省はしたくない。相手よりも権利は振るいたいが、相手と同等の責任・義務は果たしたくない。リスクを背負いたくないが、リターンは欲しい。というワケか」
「そうだッ! そうなんだよぉぉおおおッ!! それが正しいんだぁ。権利とチカラを振るうが責任と義務を負わない資格こそが、この大天使サマの権利なんだよぉぉおおお」
 歪んだ笑顔で、イヴは叫び返した。
 あまりに幼稚な主張。
 統護は大きく肩を竦め、呆れきった声色で苦々しく呟く。
「まったく、ヤレヤレって感じるのにも程がある――

 

 色々と救いようがないよ、アンタ」

 

 丁寧に右拳を握り直す。握った感触を確かめてから。
「ゥおぉぉおおおおおおぉぉおおッ!!」
 雄叫びと共に、統護は渾身の右ロングアッパーを突き上げた。
 唸りをあげて加速する右拳。
 ぐぅゥしゃぁあァアあんんンんンンンッ!
 轟音が鳴り響く。
 顎を豪快に引っこ抜かれたイヴは、ぐるん、と白目に裏返って死に体になる。
 残響の余韻に包まれ、翼から羽毛をまき散らしながら、イヴは地上へと落下していった。
 統護はその様を冷めた瞳で見つめる。
 ギロリ――と、白目から戻ったイヴの双眸が、自分を恨みがましく見据えるのを、統護は見逃さない。イヴは失神していない。やはり腐っても大天使ジブリールである。
「反省している目じゃないな。それじゃあ、〔神〕として最後のお灸を据えるとするか」
 次の一撃をもって決着をつける。
 説教は柄ではなかったか、と統護は眦を決した。
 反省したのならば、ここで赦してやるつもりだったのに……と、苦笑を堪えて。

 

 

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