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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第4部(第55話)

第四章  真の始まり 24 ―〔神魔戦〕統護VSジブリール③―

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         24

 顕現し受肉化した〈光と闇の堕天使〉を、統護は召喚主として使役した。
 身体にのし掛かってくる負荷は、〔神〕を召喚している時と大差ない。
 しかし〔契約〕を逆手にとっての召喚に、怒りを流し込んでくる〔神〕とは異なり、淡雪の貌を持つ堕天使は、統護の負荷を気遣う慈愛を注ぎ込んでくる。
 それはなんと心地よく、勇気を与えてくれる事か。

 ジブリールと〈光と闇の堕天使〉は空中で交戦した。

 地上二百メートルから五百メートルの区域で争われている。
 己と同格の超常存在――と〈光と闇の堕天使〉を認識したジブリールは手加減を止めている。
 大天使の全力挙動は光速に達していた。
 魔術によって超音速から亜音速で動ける【ソーサラー】であるが、光速には手が届かない。
 【魔導機術】を以てしても、純粋な光速挙動は〔神〕に許可されていないのだ。
 科学技術も同様だ。物体を限りなく光速に近付けてられても、光速には至れない。
 文字通りの超次元。
 魔術戦闘とは根本的に異なっている戦い。

 これはヒトに赦される領域を超えた、神魔の聖戦――神魔戦である。

 召喚主である統護にとっては初となる神魔戦だ。
 大小様々なカーヴ、一転して鋭角な急旋回が織り交ぜられた、複雑怪奇な螺旋運動。
 光の帯が空に描かれる。
 空気抵抗によって生じる流体力学に則った莫大な余波は、両者の物理因果律への干渉により極限まで軽減されていた。
 物理因果律への干渉権限。
 あくまで既存の物理法則というルールに従い、逸脱しない範囲であるが、物理的な影響比率を一時的に偏差させる事が可能である〈神下〉に許された特権だ。
 光速の挙動とこの特権こそが、〈神下〉者とそれ以外の者を隔てる壁とも定義できる。
 ケイネス、詠月だけではなく統護にも、天使のドックファイトは視認不能だった。
 人間が視認可能な速度ではない。視神経の情報伝達速度は光速に遠く及ばないからだ。
 統護は物理的かつ生物的な視認ではなく、〔魔法使いウィザード〕としての超感覚のみで把握していた。
 〈光と闇の堕天使〉も光速で動いている。

 光速同士での互角のドッグファイトが続く。

 一秒間に地球を七周半できる超速度での激突と交錯を、ランダムに繰り返している。
 互いに背後を取るべく、縦横無尽に動き回っていた。
 もしも停止世界ではなく現世ならば、光速で移動する物体が地上近くに出現しただけで、どれ程の損害が発生するのか、想像すらできない。
 統護は精神と魔力を振り絞り、〈光と闇の堕天使〉の現界だけに集中していた。
 動きそのものは〈光と闇の堕天使〉任せである。
 使役しているとはいっても、統護の実質的な役割は〈光と闇の堕天使〉の現界を維持する為だけの支柱のようなものだった。
 光速で動き続ける大天使と堕天使の時間が、限りなく引き延ばされる。

 一般相対性理論に則った『光速に近づくほど時間が遅延する』という物理現象だ。

 統護、ケイネス、詠月といった『光速外の観測者』には一瞬でも、戦闘している二体の天使にとっての『主観時間』は膨大となっている。逆もまた然りだ。
 キュォォォォオオオオォォオオオッ。
 ジブリールが相手の上と背後をとった。
 最大出力をもってジブリールは《クィーンズ・ライトニング》を複数閃、同時連射する。
 しかし〈光と闇の堕天使〉には通用しない。
 物理的な限界を超えているかのような超絶的な挙動で躱す。限りなく不可能に近い挙動を、物理因果律に干渉して実現してみせた。
 いわば、疑似的な瞬間移動だ。
 あるいは瞬間的な超光速か。
 互いに決め手に欠いている――と、統護は感じ取っていた。
 音波ではなく精神波による『声』が響く。

「物足りない。所詮は、我が〔主神〕が〈不適合〉だと判断した程度だな」

 拮抗を破ったのは、左の拳であった。
 ジブリールの一撃が〈光と闇の堕天使〉の腹部にめり込んだ。
 破壊力の絶対値である運動量=速度×質量だ。
 そして速度は光速である。
 〈光と闇の堕天使〉も同等の光速において、相手との相対速度を縮めていたが、それでも光速の実に0.07パーセントもの相対速度で攻撃を受けてしまった。
 一条の流星のようだった。競技場のアリーナ席へ〈光と闇の堕天使〉が吹っ飛ばされる。
 〈光と闇の堕天使〉は周囲への余波を抑えようと、自身のダメージ軽減よりも、物理因果律の操作を優先した。
 ドン!!
 小隕石の墜落音そのものだった。彼女の落下点を中心として競技場が半壊する。
 ずぅぉォォオオぉおぉオオオオオッ!!
 粉々になった鉄筋やコンクリ壁が、うねり上がりながら波状していく。
 直経七十メートル、深さ五メートル程度のクレーターを中心として、破壊規模は収まる。
 幸運にも、反対側にいたケイネスと詠月は肝を冷やした。
 統護は舌打ちする。崩壊した箇所が無人だといいが、何人か巻き込んでいる可能性が高い。
 決定打ではない。
 使役している統護だけではなく、ケイネスと詠月も理解している。〈光と闇の堕天使〉が斃されたのならば、墜落点から伝播する衝撃余波で、少なくとも辺り一帯は壊滅していた。
 競技場の半壊程度で済ませた物理因果律への干渉は、見事という他にない。
 〈光と闇の堕天使〉からの意志が届けられた。

 このままでは敗ける、と。

 統護も分かっている。自分も彼女も完全ではない。
(やるしかない……か)
 出し惜しみしていたというよりも、共に不完全な状態での『開封』が不安だった。
 この停止世界――純虚数空間が解除された後、どのレヴェルで【イグニアス】世界が復元されるのかも不明だ。
 物体としての復元は完璧でも、巻き添えをくった死者の〔魂〕は戻らない可能性がある。
 この【イグニアス】世界の〈創造神〉の慈悲を信じたいが――彼女の目的が明かされていない以上、無根拠に当てにはできない。つまり……、自分で『やる』しかないのだ。
 それに目的である、統護の因果素子の一部を解析した〈創造神〉が、統護を元の状態に復元させるという保証もない。
 偶然か必然か、二度目の転生時、統護は認識に成功した。

 人間には認識・解析が不可能である超高次元の要素単位――因果素子。

 二千四百六十四次元の奥に潜む、因果性・因果経を記録している最小単位である。
 ジブリールの〔主神〕は統護の因果素子を狙っていたのだ。
 大天使の『裁きの光』に撃ち抜かれた、あの時。素粒子レヴェルまで分解させられ――存在停止状態になった統護の因果素子は無防備に曝された。純虚数という超次元においてだ。その統護の因果素子に対し、ジブリールを介してのスキャニングが仕掛けられたのである。統護はそれをきっかけに記憶の一部を取り戻した。転生が間に合い、間一髪でスキャニングを阻止できたが、本当に危なかった。
 これ以上は後手を踏めない。リスクを負ってでも、出し惜しみはなしだ。
 統護は決意した。

 

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 〈光と闇の堕天使〉が統護の傍へ戻った。
 ジブリールはその様子を、満足げに見逃している。
 統護はジブリールを一瞬だけ見た。そんなに秘密を知りたいのならば、誘いに乗ってやる。
「覚悟は固まったのね?」
「ああ。〈神下〉に過ぎない大天使を相手にやる羽目になるとは、俺は本当に弱いな」
 甘んじて受け入れよう。己の弱さを。
 ゆえに今はこの禁断のチカラを使ってでも、勝たなければならない時だ。
 偶然か必然か、あるいは運命か。二度目の転生で〔魂〕の奥底を知覚し、思い出している。
 唇でいい?
 その言葉に、統護は「まだ不完全だから額にしてくれ」と、照れた。
 片膝をついて、顔を上げると、目蓋を閉じた。
 クスリ――という慈愛の笑みを溢し、〈光と闇の堕天使〉は統護の額に唇を寄せる。

 彼女は統護の額に、優しくキスした。

 〈光と闇の堕天使〉の身体が光の粒子として解けた。
 MMフェスタの時に、淡雪に起こった現象と同一である。光の粒子となった堕天使は、堕天から昇天して統護の〔魂〕を包み込む。同一化して眠っていたモノが喚び醒まされた。
 堕天によりヒトとして擬態している『彼女』の複製が秘める機能は――鍵なのだ。
 その鍵で〔魂〕の蓋を解錠する。


 〈神 座〉―― 開 封。


 〔魂〕の殻から開封された〈神座〉へと、統護の自我が光臨した。
 因果素子の更に奥にある神秘が起動して、統護の存在そのものが転換を開始。
 それは〈神化〉と定義される進化である。
 通常であれば〈神化〉した存在は、人間とは別次元の超越と成る。
 しかし堂桜の血脈――統護は、奇蹟的な例外だ。
 ヒトという事象を暫定的に維持しつつ、〔神〕として現界できるのである。
 意識内に〈光と闇の堕天使〉が在る。堕天使の姿ではなく、裸の、普通の少女の姿だ。
 まるで淡雪そのもの。天使でも女神でもなく、淡雪そのものだ。
 彼女が優しく語りかけてくる。

 ――ついに〔神〕として覚醒したね、トーゴ。

『ああ。異世界に転生した際の異常でも、借り物でもない、俺自身という存在のチカラだ』

 ――惑星や宇宙だけでなく、世界そのものを破壊できる究極のチカラよ。

『破壊だけなら無限大だな。でも、俺はそれに意義を感じないよ』

 ――壊すなんて下等行為は、天使や悪魔といった〈神下〉の者達に任せればいいものね。

『創造は可能だが、そこまで奢るつもりはないけどな』

 ――惑星や宇宙はもちろん、トーゴがその気になれば、新たな世界さえ創造できるわ。

『自分で創造した新世界、か』

 ――〔神〕は己が創造した世界において、他の〔神〕を排し、真価を発揮できる超越存在。

『分かっている。でも生憎と、今の俺では新しい平行世界は創り出せない』

 ――それは、私が不完全で〈不適合〉だから?

『さあな。でもお前はそれでいい。不完全でもお前はお前のままで、俺はいいよ』

 ――ありがとう、トーゴ。

 それでは存分に戦って、という言葉を最後に、彼女は意識内から姿を消した。
 消失したのではなく、邪魔をしない為に隠れたのだ。
 〈神化〉を完了した統護は姿を換えていた。
 元の人間をベースに、炎のように揺らめく金色のオーラを纏っている。
 双眸には神々しい紋様が輝いていた。
 ジブリールが統護の〈神化〉に慄然となる。
「ば、馬鹿なっ!? すでに〈神座〉を得ているだと!? か、〔神〕に〈神化〉するとは! そうか、あの堕天使は〔神〕である貴様に殉じて、我が〔主神〕から堕天していたのか」
 狼狽も露わに統護に問いかけた。
「お前は、お前はいったい何者だというのだ!? 【ウィザード】、いや、堂桜統護ッ!!」
 今の統護は正真正銘の〔神〕である。
 甘んじてこの姿を晒すが、しかし〔神名〕は明かさない。
 その〔名〕を堂桜の血脈が口にすると、〈神化〉を解除してヒトに戻れなくなるから。
 〔名〕を秘匿しているので、百パーセントの〔神〕としてのチカラは発揮できないが、統護はこの神魔戦の後、〈神化〉を解除してヒトに戻るつもりだ。
 永遠の命や不死など要らない。統護はヒトとして生き、ヒトとして死んでいくのを望む。
 それに己を〈神化〉させて戦うのは、神魔を相手にする時だけと決めている。
 ヒトを相手に〔神罰〕を下す傲慢さは、統護にはない。
「答えろッ! 堂桜統護ぉ!!」
 血走った問いに、統護は己の本心を告げる。

「何者って問われても、――俺は堂桜統護。それ以外の何者でもない」

 かつてユピテルに訊かれた時と同じ答えだ。
 人間だろうと。
 そして〔神〕だろうと。
 元の世界、あるいは異世界【イグニアス】、どちらに存在していようとも。
 他者の認識とは別に、自分は『堂桜統護』に他ならないのだ。
 友達、仲間、愛しい女達、大切なみんなが統護に教えてくれている。だから迷わない。
「そうか。あくまでとぼけるか〈イレギュラー〉め」
 ジブリールが好戦的な笑みを浮かべる。
 それはとても人間臭い表情であり、対照的に統護の顔は超然としていた。
 今の統護を前にして、ジブリールは超然とは振る舞えない。
「いいだろう、堂桜統護。貴様を斃し、その因果素子を剥き出しにして、全てを調べてやろう。我が〔主神〕の為にも、貴様の〈神座〉と〔名〕を、この大天使が奪ってやるッ!!」
 その宣言に、統護は冷笑した。
「大天使……か。確かに、お前は大天使ジブリールだよ。でもな、やっぱりアンタという存在の本質は伊武川冬子だ。注目されたい、褒められたい、お姫様のようにチヤホヤされたい、私は悪くないと、嘘と不正と捏造で世間と世界の科学界を欺いた、その性根のままだぜ。正当な努力と困難から逃げて、不正と捏造ででっち上げた勲章と、アンタが試練や努力とは関係なしに、〔主神〕から恵んでもらった大天使のチカラはそっくりなんだよ……ッ!!」
 認識が逆転している。統護の目に映る少女は、ジブリールではなくイヴであった。
「なん――だ、……と?」
 脳裏に浮かぶのは、赤い髪の姫君。
 誰よりも、自身の権力と立場を弱き者達の為に生かそうとする、夢と理想に青春と生涯を捧げている誇り高き少女。愛しい『最高の女』だ。彼女の生き様は統護にとって太陽である。
 統護は〔神〕ではなくヒトとして大天使を断じた。
 お前は努力なしに得たチカラと立場に縋るだけの小さき愚者だと。
「力なき他人の為じゃない、夢や理想を伴わない、我欲に塗れたそんなチカラに意味と意義があるかよ。アンタが、いやテメエが〔神〕の使いっ走りなる対価として、自分のチカラと立場は己がモノと錯覚しているが、その実体はな、道端の乞食に投げられる小銭と本質的には一緒だ!! アンタのオツムじゃ理解できないかもしれないけどな、イヴ・ウィンターッ!!」
「わ、私の大天使としての地位とチカラが、乞食に投げられた小銭だというのか!」
 震える声。ジブリール、いや、イヴの顔が怒りで歪む。
 統護は決然と云う。小銭よりも安っぽいと。
「ちょいと傲慢かもしれないが、今の俺は〔神〕なんで勘弁してくれ。その詫びといっては何だけど、俺がアンタの目を醒まさせてやる。この異世界の〈創造神〉に恵んでもらったチンケな小銭を取りあげてな。アンタは〔神〕に選ばれたといっても、働かずに小銭を恵んで欲しがる乞食として同情されただけだ。才能を努力で開花させたワケじゃない。努力をすっ飛ばしたインチキ、チートだ。お前は〔主神〕に努力できないヤツって馬鹿にされてんだよ。そいつは惨めだろう? 悔しいだろう? 俺がアンタをブチのめして、乞食から人間に戻してやるぜ」
 そして今回の戦いと事件に決着をつけ、幕を下ろす。
 ファイナルバトルだ。
 改めての開戦の合図として、統護はイヴに右拳を突きつけた。

 

 

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