アニメを斬る!

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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第4部(第33話)

第四章  真の始まり 2 ―Dブロック決勝戦②―

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         2

 

 雪羅は朱芽の《ブレイクショット・スナイプ》に対し、冷静に防御に回る。
 《ダイヤモンド・スノゥスケープ》の索敵機能で、高速反発を繰り返している九つの弾丸を、精確に把捉している。軌道予測も並列で演算中だ。手球は朱芽の元に戻っていた。
 三つ、雪羅に向かっていく。

 

「――《クリスタル・インターセプト》」

 

 氷弾にダイヤモンドダストが殺到して、動きを止めた。
 雪や細氷で防御膜を張るのではなく、必要最低限の粒子のみで三つの弾丸を包み込んだのだ。
 故に消費魔力に無駄がない。
「へえ、やるじゃないの」
 余裕の朱芽は、残りの的球を《クィーン・オブ・ザ・ハスラー》のポケットへと収納する。
 次いで、新しい的球をセットするべく、テーブル中央に菱形ラックが出現した。
 今度は雪羅も《ダイヤモンド・スノゥスケープ》への干渉を許さない。
 基本性能の一部をハッキングしていた朱芽の干渉用ウィルスへの魔術ワクチンは精製済みだ。いわば朱芽のハッキングに対しての魔術抵抗(レジスト)である。
 朱芽は専用【AMP】の機能を用いて、使用エレメントを【水】から【風】へ切り替えた。
 的球は氷製ではなく、風が渦巻く小型の竜巻製となる。
「エレメントを……ッ!」
 雪羅は驚愕を隠せない。
「今度は【風】の弾よ。さあ、受け切れるかな?」
 二度目のブレイクショット。
 一度目よりも、風弾が不規則に変化しながら、雪羅の周りを縦横無尽に駆け巡る。

 

「――《フリージング・ニードル》!」

 

 防御の前に反撃を選択した雪羅は、細氷を集めてニードルを精製し、朱芽へと撃ち出した。
 フン、と朱芽の顔には侮蔑の笑みが浮かぶ。
 《クィーン・オブ・ザ・ハスラー》本体が大きく斜め下に傾げると、ラシャ面を防御壁として、雪羅が繰り出した《フリージング・ニードル》を全て遮断してしまう。
 防御が成立すると同時に、風弾が雪羅へと集中した。
 誘われた、と理解した瞬間に、雪羅は素早く一回転する。

 

「――《クリスタル・カーテン》」

 

 彼女のターンに合わせて、雪結晶と細氷で編み上げられた円筒状の防御膜が形成される。
 ドドドドドドンッンッン!!
 辛うじて朱芽の風弾群を凌ぎ切る――が、雪羅の防御用カーテンも決壊した。
『メインステージでは朱芽選手が優勢か。やや攻防分離傾向にある雪羅選手に対し、朱芽選手は攻防一体で巧みに試合をコントロールしている模様です!』
 足を止めての射撃戦では不利だと悟った雪羅は、接近戦に持ち込もうと駆け出した。
 メインステージ内の物理法則を魔術効果で支配しているのは、朱芽の《クィーン・オブ・ザ・ハスラー》ではなく、自分の《ダイヤモンド・スノゥスケープ》である。
 足場の摩擦係数を制御して朱芽を足止め、自分は滑走すれば――

 

 朱芽も滑走していた。

 

 その光景に、雪羅は我が目を疑う。朱芽はスケートシューズを履いて、スピードスケーターさながらの本格的なフォームで、メインステージを力強く滑っている。正確には、靴底を改造して、スパイクを出したり、ブレードを取り付けられる特注品だ。
 雪羅は呆然と立ち尽くした。
「え!? そ、そんな……」
「いいリンクじゃないの。アンタがいればスケート場は大助かりね」
「ばっ、バカにして!」
 こんな策を用意していたとは。雪羅は滑走する朱芽に氷針を撃ち出すが――当たらない。
『なんと朱芽選手、雪羅選手の【結界】を見越してスケートシューズを用意! 奇策もさながら、非常に実戦慣れしている!! 雪羅選手、まさかの大苦戦です!』
 攻撃を止めた雪羅は《ダイヤモンド・スノゥスケープ》の術式パラメータを再調整する。
 足場の氷の摩擦係数を上げて、朱芽の滑走を阻止しようとした。
 そして可能ならばロックオンしたい。現状、高速で移動している相手を魔術オペレーションで捉えるだけの意識容量は避けないでいる。
「やっぱりそうくるわけね。あぁ~~あ、予想通り過ぎてツマンナイわよ」
 朱芽はジャンプして、水平に戻した《クィーン・オブ・ザ・ハスラー》のラシャ面に手を付いて支えにすると、今度はメインステージの内壁を滑走し始めた。
 そしてキュー先を雪羅に向ける。
 連続して炎弾を放った。
 雪羅は再度の《クリスタル・カーテン》で炎をシャットアウトするが、余裕が全くない。
 展開の速度に付いていけないのだ。
 唇を噛み締め、悲鳴を漏らすのを懸命に堪えていた。
『朱芽選手これは強いィ! 雪羅選手に先手をとらせず圧倒していますッ!!』
 前評判を覆すワンサイドゲームに、場内も呆気にとられ気味であった。
 雪羅を縫い止めた朱芽は、内壁の滑走を止めて――ビリヤード・スタイルの構えに戻る。
 足場の氷面を破壊して、下の地面から手球と的球を一つずつ創り出した。
 ロックオン成功。

 

「――《フォローショット・スナイプ》!!」

 

 ガシャァァアアアアンッ!
 手球が突き出され、その手球に弾かれた的球が、猛然と雪羅へと加速していく――

 

「――《クリスタル・インターセプト》!」

 

 ほとんど反射的に、雪羅は悲鳴じみた声で【ワード】を唱えた。
 ロックオンされたのは感知している――ので、攻撃をギリギリまで引きつけての物理回避よりも、真正面での防御魔術を選択するしかない。躱す余裕はないし、根本的にそこまでの体捌きを身に付けていないのだ。
 細氷が【地】属性の砲弾を包み込み、彼女の二メートル前で停止させる。
 ギュゥオォゥ!
 しかし朱芽の的球はブリット回転でスピンして、《クリスタル・インターセプト》を強引に突破しようとした。その魔術的パワーに雪羅の顔に焦りが滲む。
 さらに《クィーン・オブ・ザ・ハスラー》のラシャ面を、フォロースピンで追従してきた手球が、的球を強烈に後押しした。
 的球を抑えていたダイヤモンドダストが弾け飛ぶ。
 意識領域を拡大。演算能力を加速。雪羅は二層目の《クリスタル・インターセプト》を展開しようと試みるが、魔術オペレーションは間に合わない。計算と実行処理を強制中断する。
「ッ!」
 反射的にヘッドスリップし、砲弾を躱した。
 雪羅の右頬に、紅い筋が走る。
 頬を掠めた的球はステージの内壁にぶつかり、跳ね返らずにその勢いのまま、湾曲している壁面上を水平に疾走した。その勢いが、砲撃の威力を物語っている。
「まだまだいくわよ」
 朱芽はすでに手球を戻して、二度目の《フォローショット・スナイプ》の発射態勢に入っていた。今度の的球は【火】属性の火球である。
 キュー先から直接撃ち出した先程の簡易的な炎弾とは異なり、炎の密度が桁違いだ。
 ペロリ、と舌なめずりをして――

 

「――《フォローショット・スナイプ》ッ!!」

 

 再び朱芽のビリヤードキューが、速く鋭く突き出された。球と球との衝突音。
 しかも、またロックオンを許してしまった。
 同格との魔術戦闘がこんなにもキツイなんて……
 雪羅は朱芽を睨み、己を鼓舞した。

 

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 一方――、統護と臣人。
 浅いクリーンヒットは数発ずつあるものの、ダメージング・ブローはまだゼロであった。
 フェイントや牽制打、軽いパンチはない。
 お互いに一発で決めにいくパワーブローのみを振り切っている。
 ミスブロー(空振り)しても、体勢を崩すことなく、その勢いを利してボディワークに繋げたり、反動をつけて次のパンチを繰り出していた。挙動だけならば、大味気味かもしれない。しかしスウィングのキレと迫力が、そういった所感を観る者に抱かせない。
 グバンッ!!
 臣人がフルパワーで放つ右フックを、統護はガッチリと左腕のみでブロックした。
 体格差・体重差があるが、統護は揺るがない。踏み留まる。
 臣人も巨体からは想像しがたいスピードとクイックネスを発揮しているが、統護の超人的な身体機能は臣人の速度を苦にしない。
 意を決して、臣人が左肩からショルダータックルを敢行した。
 どぉォんンッ。
 一〇三キロのタックルを、重心を落とした統護は、躱さずに真っ向から受け止める。
『受けた! 体重差をものともしない統護選手の凄まじいパワー!!』
 一七五センチの小柄な体躯で、一九〇センチ超の臣人と小細工なしで渡り合えるのは、純粋に軽量を補えるだけの規格外のパワーを備えている故だ。
 だが、やはり八十キロにすら満たない体重では、近接格闘戦において物理的な限界がある。
 タックルは吹き飛ばすのが目的ではなく、統護に密着する為だ。
 臣人は身体を丸めた窮屈な前傾姿勢からノーモーションの左ショートアッパーを打つ。
 そこからフィニッシュの右に繋げる臣人の必勝パターンである。
 左アッパーはガードされても構わない。どれだけ超人的な身体機能を誇ろうが、物理的には八十キロ以下の重量物を宙に浮かせる程度、臣人ならば造作もない――

 

 統護は、臣人の左ショートアッパーが当たる前に、右手で上から押さえ込んでいた。

 

 体重の軽さを腕力と背筋力で補う、常識外れの芸当である。
 二人の筋肉がパンプアップした。力比べで両者の動きが、一瞬であるが、完全に硬直する。
 パワー勝ちして、先に動いたのは――統護だ。
「ぉぉぉおおおおおおッ!」
 力任せに臣人の左拳を外側へ払うと、左足を臣人の右サイドへ大胆にステップイン。
 左ボディーフックが鋭く弧を描き、臣人の右ガードの外側から脇腹を抉った。
 ズっボォぅン!! 臣人の脇腹の肉が、深くめり込んだ統護の拳を中心に大きく波打つ。

 

『強烈なリバーブローだぁぁあアッ! 効いた。臣人選手、これは効いた!!』

 

 たまらずに臣人の巨体がくの字に曲がる。
 すかさず統護は右オーバーハンドを豪快にフォロー。
 ズゴォンッ!
 辛うじて臣人はクロスアームブロックするが、受け切れずに、外壁に背中を打ち付けた。
 ここにきてパワーの差が出始める。
 明白に――統護に流れが傾き始めていた。
 小兵が巨漢をパワーで圧倒する光景に、観客が大きくどよめく。
『メインステージでは雪羅選手が陥落寸前! サポートステージでは臣人選手がピンチ! これは、このまま朱芽&統護チームが両ステージで圧倒して勝負を決めてしまうのか!?』
 統護は冷静に相手を見据えた。ダメージと勝負所を見極める。
 劣勢にも表情を変えない臣人は、左手内の【AMP】のロックを解除して、握り込んだ。

 

 統護の周囲が白く冷たい霧で覆われる。

 

『これは一体!? ドライアイスの煙?』
 正体は、臣人があらかじめ脳のRAM領域に一時転写しておいた、雪羅のダイヤモンドダストを再生した煙幕魔術であった。
 統護の予想では攻撃魔術を一時記憶させている、であったが、目眩まし用の魔術だったとは。
 舌打ちしつつ、統護は目眩ましの氷の霧を両手で払う。

 

 霧が晴れた後――臣人の巨躯は、統護の目の前から消えていた。

 

 しかし統護は霧越しでも臣人の動きを視認してはいた。対応は間に合わなかったが。
(くそ。油断しちまった!)
 地の利で横の動きは封じたつもりであったが、臣人は統護の上をいった。

 

 ――カラクリは、横の縮地である。

 

 前への縮地と理屈は同じだ。しかし実践するには、あまりに膝への負担が大きい。
 連発できるとは思えない業であるが、臣人はここで使った。手札を晒した。
 すでに臣人は『援護エリア』に立っている。
 統護は即座の状況判断を迫られた。
 妨害にいくか? 朱芽と雪羅の戦況を視野に入れる。虎の子の遠隔型《デヴァイスクラッシャー》を一か八かで試みるか? 成否の確率。臣人の行動予測。確実に次の展開を――
「悪いっ。朱芽っ」
 自分の失態を受け入れ、統護は『交代エリア』へと走った。

 

 

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