アニメを斬る!

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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第4部(第28話)

第三章  バーサス(VS) 9 ―氷室兄妹VS雷爆コンビ②―

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         9

 痛ましく残酷な現実――
 長田と小林が視線を落とす。臣人を直視できない。
「悲惨すぎだろ、お前の兄貴」
「同情は不要です。兄の言葉通りに私たち兄妹は生きていますので。そう……生きているのですから。タネ明かしと釈明はここまでです。さあ試合再開といきましょう。まさか他人の事情で戦意を喪失するなんて事はありませんよね? 戦闘系魔術師の端くれとして――」
 ギラリと双眸を光らせた雪羅は、凄惨な笑みを浮かべる。
 対象的に、臣人は表情がない。
 気持ちを切り替えた《雷爆コンビ》が、再び戦闘態勢をとった。
「分かっているよ! 同情は逆に無礼だよな」
「もちろん全力で勝ちにいかせてもらうぜ」

 次の瞬間、臣人の巨躯が消えた。

 臣人は長田の前に立っている。
 四メートル以上の間合いを、臣人は瞬時に潰していた。
 肉薄した状態から、臣人はノーモーションの左ショートアッパーを長田の鳩尾へ放つ。
 臣人の左拳を、長田は両腕で押さえ込んだ。接近し過ぎているので、体捌きでは躱せない。
 両踵が浮き、長田の長身が高々と持ち上げられる。
 わざとガードさせて身体を浮かせるのが目的――と、長田が理解した時には遅かった。

 ドゴォッ! 死角からの右ハンマーフックが、長田の左頭部に炸裂。

 ガードの為に両手が下がり、なおかつ踏ん張っていたので上体が前屈みになっている長田には、左斜め下から大きく弧を描いてくる臣人の右拳は、見えなかった。
 一九〇センチ近い長田の身体が仰向けに倒れ込んだ。ロープの弾力でバウンドする。
 白目を剥いて、完全に失神している。口の端からは泡を吹いていた。
 統護は思わず呟いた。

「今のステップインは、縮地法の一種か」

 クラウチングスタートからのダッシュではなく、臣人は直立姿勢から一気に移動したのだ。
 朱芽が興味深そうに確認する。
「へえ? 今のが有名な縮地ってやつなの? ミミの運足とは別に見えたけど?」
「別だな。委員長の《陽炎》は、重心と正中線のブレを殺して、相手の距離感を惑わせるのが肝だけど、アイツがやった縮地は違う。前に出ている軸足の膝を倒す事により自重を利用した推進力を得て、後ろにある蹴り足のステップを倍加させて、一気に前足まで引きつける歩法だった。かつ一挙動の足運びに合わせて、上体は大きく沈んでいた。その沈み幅によって、相手には消えたように見えたはずだ」
 いわゆる『軸足の抜き』と『滑り足』――の併用によって可能となる特殊歩法である。
「ファンタスティックね。統護はできたりする?」
「正直いってできない。理屈は簡単だけど神業に近いぜ」
 あれだけの巨体で、あの瞬時の移動を実現するとは、統護にも予想できなかった。
 スピードを出す弊害になるはずの百キロ超の体重を、縮地によって逆に活用するとは。それも平地ではなく、ロープが網の目に張られているのみの特殊な足場でだ。
 雪羅は地上の統護を見下ろす。
「堂桜統護。兄の身体能力は常人のそれを大きく上回っています。幼少時からの鍛錬の結果というだけではなく、脳改造によってリミッターが外れた最大筋力を常時、発揮可能なのです。それが魔術起動に伴う基礎的な身体能力強化現象で、さらに上昇・倍加します」
 個人差が大きいが、人間が任意で発揮可能な筋力は、最大筋力の半分以下だ。自身の筋力による反力・反動で、関節や筋肉繊維を傷めない為に、脳が安全装置として無意識下でブレーキをかけるのだ。しかし臣人はそのブレーキを、己の意志によって排除できる。
 理解できましたか、と雪羅は次の台詞をもって締めくくる。

「これが私の兄――《マジックブレイカー》氷室臣人です」

 統護は臣人と対戦する覚悟を固めた。相手は掛け値なしに超人で、強敵だ。
 ぱきぃィィん。
 雪羅の足場周辺のロープが凍結し、そして粉々に砕けた。
 軽やかに落下する雪羅は、氷で精製されていた透明なロープ上に降り立った。
 一本しかない。しかも直径十センチ程度と細い。だが雪羅は平然と綱渡りで歩いて行く。
 高度な体術を身に付けている事が窺われるバランス感覚と挙措であった。
 彼女の歩みの先には、水風船がある。
 あまりの実力差から戦意を喪失しかけていた小林が、慌てて雪羅に雷撃を撃つ。
 しかし、臣人の《スペル=プロセス・オミット》が発動して、雷撃魔術は分解された。
 悠然と――雪羅の指先が水風船へと伸びる。

『割れたぁ! 水風船が割れましたっ。試合終了! 自称《雷爆コンビ》為す術なし!! 圧倒的な実力を見せつけて、氷室兄妹チーム、予選一回戦を難なく突破です! 特に《マジックブレイカー》と呼ぶに相応しい臣人選手の能力が凄い!!  これは思わぬダークホースの出現といえるでしょう!!』

 劈くような大歓声が、氷室兄妹と彼等の勝利を称えた。
 雪羅は淡雪に告げる。
「決勝トーナメントでの対戦、今から待ち遠しいです、堂桜淡雪」
 敵意を受け流し、淡雪は穏やかな顔で返事した。
「いいえ。貴女との対抗戦での対決は実現しません。何故なら貴女達兄妹は、私の兄――堂桜統護に、《デヴァイスクラッシャー》に、敗れるのですから」
「信じているのね。けれど勝つのは私の兄――《マジックブレイカー》だわ」
 そして統護の視線は臣人に釘付けになっている。
 彫像のように直立したままの臣人は、虚空に視線を固定して、誰も見ていなかった。

 

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 宴の前の前哨戦――
 会場は『堂桜ネオ東京ホテル』の大宴会ホールであった。
 関東随一と評される高級ホテルだ。地上三五階建ての内、上の五階は国際的なVIPか国内の大物しか宿泊が許されない。その名が示す通りに、【堂桜エンジニアリング・グループ】の傘下企業である。
 本日の夜。
 【セントイビリアル学園】で開催されている対抗戦の参加者とその学校関係者、対抗戦に出資したスポンサー達は、直通の送迎バスによって『堂桜ネオ東京ホテル』に移動していた。
 略式の開催式典も兼ねた、記念懇親会が行われるのだ。
 ただし、出席は義務付けられているのではない。
 特に参加者側は任意であり、明日以降の為に休養を優先するのも立派な駆け引きである。
 将来を見据え、他校の生徒とスポンサー達とのコネクションを優先するのもありだ。
 結果として、参加者の七割が懇親会に出席していた。

 ――例外的にコネクション目的ではなしに参加している少女がいる。

 彼女の名前は、氷室雪羅。
 北海道にある札幌地区の外れに位置する、魔導科のない一般校から参戦してきた。
 パーティ会場で雪羅に群がってくる者は多かったが、彼女は逃げるように、ホテル敷地内のこの庭園に身を潜めていた。本当ならば懇親会になど出たくなかった。
 ビュッフェ形式の三つ星レストラン級超高級バイキングにも手をつけていない。
 コンビニエンスストアのおにぎりで充分である。
 いい風景だ。閉会するまで、夜の落ち着いた空気と、この眺めを楽しんでいよう……

「あらあら。壁の花どころか、こんな処にいたのね」

 その声色に、雪羅は振り返る。
 聞き馴染まないが、一度聞くと決して忘れられない蠱惑的な声である。
「都会の人混みや、華やかな場所は苦手ですので。こういった高級な場所も」
「だけどセキュリティを考えれば、このホテルに宿泊してくれなきゃ、問題ありでしょう?」
 この『堂桜ネオ東京ホテル』に宿を手配されているので、懇親会にも顔を出すように――と、この女性に指示されていた。
 雪羅は彼女の名を知らない。
 見た目からして二十代後半といったところだろう。

 妖艶だ。美しい吸血コウモリ――第一印象から彼女のイメージが変わっていない。

 黒というよりは闇色の長髪は、コウモリが畳んでいる翼のようだ。
 真っ赤な口紅は血を滴らせているかのように映る。奥に牙が潜んでいても不思議ではない。
 懇親会に参加する生徒は正装として各学校制服を着用している。
 対して、この女性は胸元が大胆に開いている漆黒のイブニングドレスで着飾っていた。
 女性は雪羅に笑みを向ける。
「衝撃のデビューを飾った雪羅ちゃんと臣人くんに、スポンサー連中は目の色を変えていたわ。話題の中心、今夜の主役かも。どうせなら挨拶回りでもすればよかったのに」
「誰が敵なのか分からない状況で、ですか?」
 雪羅の目が言外に云っている。
 間違いなく堂桜一族であろうこの女とて、決して味方だとは限らないと――
 別の声が、雪羅の背中から聞こえた。
「いつの間に? どうして貴女がニホンにいるんですか!?」
 後ろに視線をやると、【セントイビリアル学園】中等部の制服を着ている淡雪が歩いてきていた。
 淡雪の視線は雪羅ではなく、コウモリ美女に釘付けである。
 震える声で淡雪が続けた。

「答えなさい。堂桜――詠月」

 やはり堂桜一族だったか、と雪羅は納得する。そして名前を『よづき』と知る事ができた。
 軽く肩を竦め、詠月は笑みを崩さずに返答した。
「お仕事上の都合というか、守秘義務があるからちょっと言えないわね。統護くんが失脚して次期当主最右翼になった淡雪ちゃんとはいっても、大人の仕事に口を出すのはまだ早いわ」
「いくら堂桜ナンバー3の貴女とはいっても、一族に対し、好き勝手してもいいという訳ではありません。ましてや、当主であるお父様や栄護伯父様に帰国報告もせずに――」

 雪羅は驚く。この女が、堂桜一族ナンバー3?

 現当主の宗護。その双子の兄でナンバー2の栄護は著名で、雪羅も知っていたが、まさかナンバー3がまだ二十代のこの女だというのか。
 詠月が鼻先で嗤う。
「やめてよ、ナンバー3だなんて。血族内の序列三位は私じゃないでしょう? 雪羅ちゃんが勘違いしちゃうじゃない。ふふ。そんな目で見ないで、雪羅ちゃん」
「序列三位どころか、序列二十位以内の血族の大半が貴女の軍門に下っている現状です。上層部が貴女を《怪物》と畏怖している事を知らないわけではないでしょうに」
 異名が《怪物》。雪羅は言い得て妙だと思った。
「軍門って……。まるで敵対しているみたいじゃない。しかも《怪物》だなんて物騒ね。あくまで【堂桜エンジニアリング・グループ】の一員としての仲間としての関係よ。それに数を抑えても第一派閥の当主派、第二派閥の栄護派には及ばないし。加えて、実体を掴みきれない噂の第四勢力もある……。いえ第四勢力こそが、本当の堂桜なのかもね。淡雪ちゃん、何か知っている?」
 雪羅にも察する事ができた。
 自分と兄が堂桜財閥のパワーゲームに巻き込まれ、そして復讐の為に首を突っ込んでいるが、やはり堂桜一族内の利権争いは、熾烈・苛烈なようだ。
「答えて下さい。この場にいるのはオフィシャルなのですか?」
「貴女好みの表現でいえば、序列四位のお方が当主の名代。私はオマケよ。淡雪ちゃんの方こそ次期当主としてお偉方への挨拶回りはいいのかしら?」
「兄の統護が今宵は買って出てくれました」
 詠月は淡雪と雪羅を見比べた。
「なるほどね。話がしたかったって訳ね」
「申し訳ありませんが、雪羅さんとの時間を頂けないでしょうか?」
「いいわよ。ただし二人きりになった途端、魔術戦闘をしないって約束してくれるのなら」
 淡雪が頷く。雪羅も続いて首肯した。
 別に淡雪と話をしたいのではない。単に詠月と二人よりはマシだからだ。
 詠月は二人に背を向けた。
「そうそう、淡雪ちゃん。貴女、MMフェスタでの例の現象について、どう思う?」
「例の……現象?」
 淡雪が怪訝な表情になり、詠月は笑いを堪えた顔になる。
「分からないのなら、いいわ。つまり貴女は〈資格者〉ではないというだけだから」
「〈資格者〉?」
「悪いけど教えないわ。じゃあ、明日からの健闘を見物させてもらうわね。魔術出力一辺倒のパワー馬鹿から、【ソーサラー】として少しでも成長しているところを見せて頂戴ね。私には貴女が現役若手最強【ソーサラー】とか、悪い冗談にしか聞こえないから」
 あからさまな挑発に、淡雪は奥歯を強く噛む。
 詠月は夜色に溶け込むように去った。

         

 意外だった、と堂桜詠月は苦笑した。
 仕事の関係で帰国し、ついでにお忍びでMMフェスタ――『堂桜・マジック&マシン・フェスティバル』を偵察したのだ。
 彼女に堂桜一族に対する血縁の情や帰属意識はない。
 堂桜遠縁の父はとっくに他界。母は誰かも不明。そんな身の上である。
 ほんの微かな血縁を利用して、ここまでのし上がった。
 ビジネスの才、パワーゲームの才、そして宗護や栄護とは違い、現役の戦闘系魔術師ソーサラーとしての比類ない強さ。全てを駆使して、二十代の若さで堂桜ナンバー3まで昇った。駆け上がった。
 血統や立場というバックボーンに頼らず、実力のみでライバルを蹴落とし続ける彼女を、一族の長老・重鎮達は畏怖を込めて《怪物》とさえ異名する。
 しかし詠月の目的は、堂桜のトップ――次期当主でも実質的なナンバー1ではない。
 必要ならば【堂桜グループ】を裏切るし、切り捨てもする。
 敵対するのならば、叩き潰す。
「しかし、まぁ……。堂桜財閥を足がかりに、世界経済を牛耳ってやろうって思っていたけれど、その前に私が〈資格者〉とか〈ゲイン〉現象やらが本物なら。ふふふふ」
 当面の間、ニホンに腰を据えようと、詠月は計画変更していた。

 ――この【イグニアス】世界の支配者を目指してみるのも一興かもしれない。

 

 

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 本作品は、暴力・虐め・性犯罪・殺人・不正行為・不義不貞・未成年の喫煙と飲酒といった反社会的行為、および非人道的、非倫理思想を推奨するものではありません。また、本作品に登場する人物・団体などは現実とは無関係のフィクションです。