アニメを斬る!

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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第4部(第19話)

第二章  ヒトあらざるモノ 10 ―みみ架VSルシア③―

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         10

 みみ架が鋭く直視する先。
 ルシアが、到底ヒトとは思えぬ威容を発現して、幽鬼のように屹立していた。
 陶磁器のような白い肌のいたる箇所に、金色のラインが刻まれている。
 浮かび上がっているそのラインは、呪術的な紋様というよりも電子回路図のようだ。
 みみ架はその姿を目蓋に焼き付ける。

(まだ封印解除――『スーパーACT』していないはずだけれど、それでも彼女の『この姿』は……)

 やはり《ワイズワード》の文面よりも、この目で見た印象は違う。百聞は一見にしかずだ。
 ただのラインではない。金色をベースに、白銀の粒子が高速で流れている。
 そして――ルシアの双眸。
 碧い瞳ではなく、宝玉にしか見えぬ、その二つの球体。
 封印解除に入る準備段階と思われるこの姿を視認できただけでも、戦った甲斐があった。
貴女の正体はやはり……」
 焦点を結んでいないメイド少女の目に、みみ架は痛ましい表情で呟く。
 少女としての躯を機能的に維持しつつも、ヒトとしての身を棄てた――生命への冒涜だ。
 意識は飛んでいる。だが意識が戻らないまま、ルシアはノイズめいた言葉を漏らしていた。

「……――ずザ、……モ、ド、――チカラが……」

 神とその唇が微かに動くのを、みみ架は見逃さなかった。
(モード? ズ? 座?)
 ルシアの正体が●●●だとして、彼女が口にした言葉に、どういった意味があるのか。
 みみ架はルシアの傍まで近づこうとした。
 ポーカーフェイスとは対極の禍々しい面持ちで、ルシアは睨んでくる。未だに焦点が定まっていない朦朧とした視線だ。
 今のルシアを支えているのは、闘志なのか、それとも決意なのか。
「もう……、真の姿を、こうなったら」
 先ほどよりも確かな単語が断続する。もうじき意識をリカバリーするのだろう。
 みみ架は読唇して、ルシアの胡乱な呟きを拾っていく。

 覧架……、読書ジャンキー、星の深淵……、ワイズワードの真実……、導き手……、

 ユメと悪夢――という言葉に、みみ架の心臓が『どくん』と跳ねる。
 不思議な夢がリフレインした。光景が意識に飛び込んでくる。
 累丘覧架と累丘みみ架。
 《読書ジャンキー》と《リーディング・ジャンキー》。
 統護から聞き及んでいた彼の元世界にいる自分と、この異世界の自分。その微妙な差異。
 そこからくる推論。空想との紙一重。
(なんて事。もうすでに彼女はそこまで研究を進めている?)
 そして彼女は識っている。
 自分が《ワイズワード》に選ばれた理由は、黒鳳凰の血筋や【不破鳳凰流】は関係がないと。
 【魔導武術】の補助としての《ワイズワード》は、本来の遣い方ではないと。

 全ては――みみ架が、覧架が、多重に存在する『自分』の夢に封じてるセカイゆえ。

 その鍵として《ワイズワード》は〔  〕に遣わされた。
 けれど、その秘密は、まだ統護にすら明かしてはならないのだ――
 かくん。ルシアの頭が前に倒れた。その微かな衝撃によって、ルシアの意識が戻った。
「わ、ワタシは?」
「失神していたのよ。ようやく気が付いたようね」
 目の前のみみ架と、全身に金色のラインを顕現させている己の姿。ルシアは事態を把握する。
 双眸のみを元の碧眼に戻して、口の端を歪めた。
「やはり敗けたのですか、ワタシは」
「わたしも失神させられたから、KOって意味合いではお相子かしらね。貴女もまだまだ戦えそうに見受けられるし」
「この状態のワタシを目にして驚かないとは、《ワイズワード》からの事前情報ですか」
「挿絵がないので想像するしかなかったけれど、その身体――まさか――ひょっとして……」

 禁断の魔術――が生んだ〔神〕への挑戦

 ルシア・A・吹雪野という偽りの名。不老で不変。それを可能とする建前としての環境。
 そして《ワイズワード》に記されていた深那実の台詞。
 AはANSWERであり、同時に『彼女』にとって最も深遠なイニシャルに違いない――

「言わないでっ! 口にしないで下さい! この身は確かに生きているのだからッ!!」

 大人びた外見からは想像しにくい口調の幼さに、みみ架は納得を深める。
 彼女が《アイスドール》というペルソナを被らなければならない、その理由を。
(わたしと堂桜くんにとって、彼女は敵じゃない)
 気に入らない子には変わらないけれど。
 ライバル――好敵手であっても、仇敵ではないのだ。
 身振り手振りを加えながら、表情豊かにルシアが挑発してくる。
「いいでしょう。この姿を堂桜統護以外に見られたのならば、累丘みみ架、貴女も真実の姿をワタシに見せなさい。武術家としての仮初めではなく――空想家として機能する貴女を!」
 ああ、彼女も踏み込んでいるのだ。だから統護の子を欲したのだろう。
 統護はルシアのこの姿を見て、魔人であり狂人だと所感した。
 みみ架は思う。狂っている。狂っているとしか表現しようがない程、一途で純粋だと。
 純粋で一途に過ぎると。
「さあ、きなさい《リーディング・ジャンキー》ッ!! こないの!?  貴女があくまで真のチカラを封じたままというのならば、実力で引き出してあげるわよ。ワタシの本気でね!」
 ルシアは表情を凄めた。
 表情を険しくするみみ架は、決断を迫られる。
(まずい。封印解除して『スーパーACT』状態になったルシアには、【魔導武術】じゃ太刀打ちできないわ)
 こちらも封じている例の魔術――【地】ではない『真のエレメント』を解放するか。
 ルシアが「スーパーACT」と口にする寸前。

「……悪いけど、この喧嘩はここで俺が預かるよ」

 その台詞に、みみ架はハッとなった。
 ルシアも我に返り、金色のラインを消し、表情に《アイスドール》の仮面を被った。
 戦闘継続の意思が消えたルシアに、みみ架は安堵しつつ彼を睨み付ける。
「いつから? 大したものじゃないの。わたしに気配を悟られなかったとはね……堂桜くん」
 統護は肩を竦めて答えた。
「気配については、委員長とルシアが熱くなり過ぎだったからだよ」
 最初から隠してなどはいなかった。

 

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 裏庭からの殺気と気配に気が付いて、様子を見に来てみれば、これだ。
 統護は苦笑しつつ忠言した。
「いくら夜は静かな地域とはいっても、不自然に無音過ぎだぜ。隠蔽用【結界】を施術するんだったら、次からは適当な物音を偽装した方がいい」
 すでに【結界】は解除されている。【ブラッディ・キャット】の五名が総力をあげた術式だった。仮にルシアの命令で、みみ架に攻撃を仕掛けるにしても、攻撃魔術ではなく通常兵器による襲撃しかできなかったであろう。【結界】とは本来、それ程に負荷の大きい魔術だ。
 ルシアは一礼して答弁する。
「大変参考になる意見です。美少女なワタシはトイレとは無縁の存在ですが、そこのはしたない格好の女がトイレを使用する際に使用する水流の擬音装置のような処置が必要ですね」
「え。お前、マジでトイレ要らないの!?」
「悪かったわね、はしたない格好で。誰の所為よ、誰の」
 統護はルシアの前に歩み寄った。ルシアは畏まったまま、背筋を伸ばして立っている。
「無理するな。立っているだけでも相当辛いだろ」
「平気です。ノーダメージですので」
「文字通りの猫被りがバレたんだ。少しは素直になれ、ルシア」
「……では、お言葉に甘えて」
 ポーカーフェイスは崩さなかったが、ルシアの身体が崩れるように倒れ込んだ。
 統護はルシアを受け止め、そのまま両腕で抱き上げる――『お姫様抱っこ』というやつだ。
「独断で累丘みみ架を襲った件、叱責にならないのですか、ご主人様。それとも、すでにこのルシアを見限ったのでしょうか」
「怒ってないよ。それは委員長も同じだろ。悪いとすれば、きっと俺一人だろう。見限りもしない。お前の方から俺を見限らない限り。俺がお前にしてやれるってそれだけだしな」
 私怨ならばともかく、どう考えても事情ありだった。そして、みみ架も相応の覚悟をもってルシアとの戦闘を受けた。統護が口を出せる領域ではない。
 みみ架を見る。怒っていないはず――だったが、彼女は明らかに憮然としていた。先程までは、怒っていなかったのに。不思議だ。
「ありがとうございます。子種の事は、今回の貸しでひとますは保留にしましょう」
「子種じゃなくて、もうちょっとオブラートに包んでくれないか?」
 フフ、と笑みを漏らし、ルシアは統護の首に腕を搦めて、頬ずりした。
 挑発的な流し目を、みみ架に向ける。
「少しばかり無様は晒しましたが、今回は結果的に『お姫様抱っこ』を獲得したワタシの勝利といえるでしょう。無駄に頑丈で健在な貴女は、ボロ切れを纏ったまま独り寂しく立っているのがお似合いというものです、累丘みみ架」
 ビキィ! 音を立てて、みみ架の額に青筋が浮き上がる。
「堂桜くん。その糞メイドを地面に叩きつけてくれると、ありがたいんだけど」
「敗者の嫉妬は醜いですね。貴女がいくら美女でも、嫉妬の醜さが顔から滲み出ています」
「あのさ。喧嘩は終わった事だし、頼むから仲良くしてくれ」
 二人の少女はそっぽを向いた。
「ワタシはその女が大嫌いなので、仲良くするのは不可能です」
「同じく。ハッキリ言わなくても、ソイツがムカつくわ」
 息がピッタリだ。
 双方嫌おうとしているが、実はそれほど仲が悪くないのでは――と思ったが、統護は口にするのは自重した。どうせ二人ともムキになって否定するに決まっている。
「さて……と」
 ルシアを【ブラッディ・キャット】に引き渡そうと、視線を巡らせると……

 行儀よく並んで正座している紅装束の女性が五名、弦斎にお茶菓子を馳走になっていた。

 ほうじ茶と手作りの草団子である。作ったのは弦斎ではなく、みみ架との事だ。
 というか、弦斎は炊事を含めて家事の類が全くできない。週二回のハウスキーパーと孫娘に日常生活の世話を依存しているダメ老人である。
「ええと、食っているところ悪いんだけど、ルシアを頼みたいんだが……」
「もう少々お待ち下さい、統護様。もぐもぐ」
「あ、食いながら喋らなくていいから」
「急がなくともいいですよ、お前達。その分だけ『お姫様抱っこ』が長くなります」
 みみ架は弦斎の傍に行くと、右手を突き出した。
 弦斎は孫娘の右手に草団子を乗せた。みみ架は即座に草団子を地面に叩きつける。
「団子じゃないわよ! 着替えは!? その人達に菓子出す前に、孫の着替えを持ってくるのが普通の祖父ってものでしょうが!」
「食べ物になんて罰当たりな。メイドさんに負けたからといって、ワシと団子に八つ当たりするでない」
「負けてないわよ!!」
「どう見ても負けじゃが……。片や婿殿に『お姫様抱っこ』で、みみ架は肌を晒しても見向きもされずにポツンと立っておる。これで負けを認められないとは、祖父ちゃん情けないぞ」
「うるっさいわね!! 糞ジジイ!」
「ヒステリーとは、祖父ちゃん悲しい。なげかわしいのぅ」
 お茶を終えた【ブラッディ・キャット】の隊員が、統護からルシアを受け取った。
 お姫様抱っこではなく、二名が両脇からルシアを支えている。
「今夜はこれで帰らせて頂きます」
「どの程度で回復する?」
「自己診断によりますと、数日間から半月は満足に動けないかと。よって【ブラッディ・キャット】の指揮をとりネコの護衛に専念いたします。今度の対抗戦――、このルシアはご主人様のバックアップができなくなりましたが、どうかご容赦を」
「気にするな。静養と回復に努めてくれ」
「ありがとうございます。……それと累丘、いえ、黒鳳凰みみ架」
「なによ」
「対抗戦ですが、色々ときな臭い情報も入ってきております。ご主人様を、ワタシの代わりに貴女に任せます」
 みみ架は返事をしなかった。
 二名が動けないルシアを保持し、残り三名が前後を護衛する陣形で、一行は去った。店先には高級外車に偽装している特殊魔導車両が到着していた。
 夏本番を控えているとはいえ、夜風が冷える。統護は羽織っていた制服の上着を、みみ架の肩に優しくかける。
 みみ架はうつむき加減で、小さく言った。
「……ありがと」
 そのまま彼女は早足で家の中に入ってしまった。
 統護と弦斎は苦笑を交わした。

 

 

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