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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第4部(第02話)

第一章  パートナー選び 1 ―現代魔術戦闘概論―

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         1

 カッ、カッ、カッ、カッ。
 小気味よい音が響く。チョークの端と黒板がぶつかる音である。そして音が止む。
 板書が終わったという事だ。

 黒板には『対抗戦のエントリーについて』と大きく書かれている。

 教室内の生徒達のほとんどが、黒板を見る目つきを変えた。
 例外は戦闘系魔術師ソーサラーではなく魔術系技能職――【ウィッチクラフター】志望者だ。
 それと世界で唯一、魔術が使えない――劣等生の男子。
 ちなみに二〇XX年という時代にあっても、この【イグニアス】世界のニホン国教育現場では、教壇の後ろに黒板が現役で陣取っている。使用される板書用具もチョークと、二〇世紀から変わっていない。巨大スクリーン型タブレットや磁気型ホワイトボードも普及しているが、未だに一番使用されているのは、黒板&チョークだ。
 対して、生徒達の席は前世紀から様変わりしており、各々の机に内蔵・据え付けされている薄型ノートPC端末をフル活用する学習スタイルである。
 今は午前中最後の授業だ。
 四時限目の今は、魔導科(魔術学科・魔術師科とも他校や一般では呼ばれている)の専門科目である『現代魔術戦闘概論』であった。
 『対抗戦のエントリーについて』と書き終え、教壇から降りた魔導科の専属講師――伊武川夏子は一人の生徒に声を掛ける。
「それじゃあ累丘るいおか。悪いが、ここからはお前に任せる」
「分かりました」
 呼ばれて椅子から腰を浮かせた女子生徒――累丘みみ架に、クラス中の視線が集まった。
 通称は《リーディング・ジャンキー》。重度の読書中毒者にして図書委員ではなくクラス委員長を拝命している彼女は、小気味よい足取りで夏子が退いた場所へと向かう。
 高校二年生にしては洒落っ気や飾り気がない。本人曰く「化粧や衣服に割く興味はない」との事だ。髪型も野暮ったい二房の三つ編みで、色も生来の黒髪のままである。田舎の文学少女――というイメージの具現化ともいえる外見であるが、造形そのものは超がいくつも付く極上だ。しかし致命的に可愛げや愛想がない。
 みみ架はチラリと統護の方を見た。
 統護はみみ架の視線には気が付かずに、窓の外――青空を眺めていた。
 体育祭にも、これから説明される他校を招待しての対抗戦にも、まるで興味が湧かない。
 教壇に登ったみみ架は、生徒達のPCにデータを転送した。

「……説明を始めるわね。各自、モニタに不具合がないか確認して」

 事務的な口調で、みみ架が説明を始める。
 今年から企画された対抗戦であるが、責任者はこのクラスの担任教師である琴宮美弥子だ。
 ニホン最先端にして最高峰の魔導科を擁する、名門【セントイビリアル学園】と各スポンサーが音頭をとって、全国各地に散らばっている【魔導機術】に関する専門学科のある高校、および【魔導機術】関連の専門学校に参加を打診したのだ。
 前例のない全国企画に対して、責任者に大抜擢された美弥子であったが、各教師陣のバックアップだけではなく、優秀な生徒数名にも協力を募った。教師と生徒による実行委員会が設置された。
 みみ架は委員会に正式参加はしていない。現在でも在籍は拒否していた。

 しかし結果として――みみ架が先頭に立つ形で、企画が進行している。

 本来ならば、美弥子がこの場に立つべきだろう。
 クラス委員の仕事と同じで、強引に協力させられた本人にやる気は皆無であったが、それでも彼女の気性ゆえに手を抜けなかった為に、今では事実上のリーダーになっていた。


 ……ジャスト二分待ち、みみ架は質問した。
「まずは競技内容とレギュレーションについて、質問はあるかしら?」
 真っ先に挙手したのは、みみ架が名前を覚えている女子だ。
 強気で闊達なのが一目で判る、攻撃的なつり目で、跳ね返りの多い癖毛の少女である。
 基本的に、みみ架は他人の名前を覚えない。クラスメートでも例外ではない。その必要性を感じた時のみ記憶する。挙手した相手の名を覚えていたのは、以前、図書室で印象的な会話を支わしていたからである。その時は脳内でA子(暫定)と呼んでいた。
「何かしら、ローランドさん」
 外国籍やハーフ、クォーターの生徒も多い【セントイビリアル学園】であるが、この魔導科においては、唯一のハーフである――朱芽あかめ・ローランドは勢いよく起立した。
 彼女は日米ハーフで、父がアメリア人で母がニホン人だ。国籍はニホンを選択している。
 朱芽は不本意そうに言った。
「ローランドさんなんて他人行儀じゃなくて、朱芽って呼んでよ、ミミ」
「じゃあ、朱芽。質問は?」
「ぶっちゃけ、どうしてタッグマッチなワケ? メンドイからシングル戦に変更してよ」
 今回の対抗戦はツーマンセル、すなわち二人一組での参加となっていた。
 競技ステージや勝利条件は、直前まで秘密にされる。
 よって臨機応変での対策・順応力が必須だ。
 ただし相手チームを戦闘不能においやれば、どの様なステージ、競技であっても、勝利条件を満たす。要するに、相手を倒す以外の勝利条件も追加されての特殊戦闘になる。
 また使用される【DVIS】も任意での選択だ。
 魔術師は【DVIS】という機器を介して【魔導機術】を起動し、コントロール可能となる。一般人が日常生活において【魔導機術】を利用する為の汎用【DVIS】とは異なり、魔術師は個別調整された専用【DVIS】を所持している。
 この専用【DVIS】は、【国際魔術師協会】か【ニホン魔術連盟】の試験に合格した国家認定の正式な魔術師か、卒業時に国家資格を得られる魔導科に所属する一部の学生にしか、法的には所持が許可されていない、特注のワンオフ品である。
 競技用の規格【DVIS】の使用を、一方でも求めれば、両チーム共に規格【DVIS】を使用しての戦いになる。当然、使用できる魔術は、両チームとも全く同種となる。
 とはいえ、このルールは対外的に設定した建前であり、どんな相手であろうと互いに相手が専用【DVIS】を使用するのを拒否するはずがない。競技用の規格【DVIS】の使用を求めるのならば、最初から対抗戦に参加しないだろう。
 朱芽は口調を強めて、周囲に訴えた。
「みんなだってシングル戦――っていうか、タイマンでのバトルがいいよね!? 魔術戦闘の醍醐味って、一対一で純粋にどっちが強いかじゃん? チーム戦じゃ興醒めだってば」
 統護はクラスの面々の様子を確認した。
 エントリーする気満々の面子、つまり戦闘系魔術師――【ソーサラー】志望の連中は、ほとんど朱芽に賛成といった雰囲気だ。
 統護の友人である証野史基もシングル戦賛同派のようである。
(ま、俺には関係ない話だけどな)
 魔術が使えない自分には、この対抗戦は蚊帳の外が確定している。異世界人である統護は、この世界の魔術が使えない。【DVIS】に魔力を作用させると、セーフティ機能さえ無効化して爆発させてしまう。挙げ句つけられた渾名が――《デヴァイスクラッシャー》だ。
 体育祭の通常競技にしても、超人化している身体では、真っ当に参加できない。当日は応援に専念するつもりである。
 その不満を予想していたのか、小さな吐息の後に、みみ架が口を開こうとした――その時。

「――お前たち学生は、戦闘における強さを誤解している」

 場をみみ架に譲った夏子が、憮然と声をあげた。
 視線を交わし合い、みみ架が教壇中央から身体をずらし、夏子が真ん中へ戻る。
 夏子は教卓に身を乗り出した。
「いいか。職業として【ソーサラー】をやるつもりなら心して聞いておけ。職場つまり戦場においては個人戦闘などまずあり得ない。基本、組織と組織での戦いで、現場ではチーム対チームの戦闘になる。集団戦闘がデフォルトだ」
 その程度、説明されなくとも分かっている――という雰囲気が充満する。
 クラスメートを代表して夏子と話すのは、きっかけを作った朱芽だ。
「いや、分かってますって、先生。だけどそれは実戦ってか、仕事での戦闘であって、今回は全国各校の代表とバトルできる貴重な喧嘩の場じゃないですか。嫌だなぁ、もう」
「ハッキリ言う。対抗戦は、お前に喧嘩の場を提供するサービスじゃない」
「え? マジで!? うっそぉ」
 本気で目を丸くした朱芽に、夏子はこめかみを指で押さえた。
 みみ架が口を挟む。
「バトルとか喧嘩とか軽々しく口にするけれど、世間一般で貴方たち【ソーサラー】志望者がどう思われているのか、自覚はあるのかしら?」
 朱芽は悪びれずに即答する。

「資質と知識は最上だけど、知性と品格に欠けた――ごろつき・チンピラでしょ?」

 ごろつき・チンピラと自虐した朱芽に、他の【ソーサラー】候補たちは、特に反対意見を主張しない。それどころか、大半が追従したかのような表情である。
 みみ架が苦情を言った。
「そういった評判が、魔術系技能職を志す【ウィッチクラフター】の卵達に害を及ぼしているという現実を少しは考えて欲しいわね」
 魔術――【魔導機術】が発達して、生活や経済に浸透している現代において、魔術を専門で学ぶ者(近代魔術師)はエリート中のエリートである。
 特に、学問・研究のみならず、戦闘というカタチで超高度に体現可能な【ソーサラー】は、その能力・資質・才能・知識といった面から、エリートの頂点と社会的に認識される。
 ただし魔術を戦闘に用いて平然とできるメンタルは、やはり一般的な社会性・庶民性とは相反しており、能力と知識は評価されても、人格面で忌避される者が大半であった。
 対して、【ウィッチクラフター】――魔術系技能職は、能力・資質・知識面では、戦闘系魔術師ソーサラーよりも格下であるが、社会や生活に貢献しているといった面で評価される者が多い。
 とはいえ、やはり学歴と同じで職業としてのステータスでは、【ソーサラー】が格上だ。
 朱芽は鼻で嗤った。
「えぇぇ~~? 魔術系技能職ウィッチクラフターなんて頭が悪くて才能がない奴の、落ちこぼれ職じゃん」
「確かに【ウィッチクラフター】は、有能なエリート様である【ソーサラー】から見ると無才で無能かもしれないけれど、世の中はエリートだけじゃ回らないのよ。凡庸な魔術系技能職が人々の生活を支えているが故の、現在の魔導社会だと自覚しなさい」
 夏子が言った。
「少々脱線しているから、話を対抗戦に戻すぞ。対抗戦の趣旨だが、どうしてチーム戦かというと、お前達に集団戦闘の素質があるかどうかの公開テストも兼ねているからだ」
「へえ。やっぱり噂通りに、一般公開されるんですね」
 無論、父兄参観とは意味合いが異なる。学校行事として家族が見学に来る生徒もいるが。
 みみ架、夏子ともに首肯した。
 今回の対抗戦は、動く資金が学校イベントとしては大きい。単なる他校との交流目的ではなく、スポンサー達が、将来的にスカウトする人材を見定める新たな場としたいのだ。
「参加費無料、学費に追加がない、寄付だけで運営って時点で、色々ときな臭いな~~とは思ってたけど」
「そうだ。体育祭のイベントという形式はとっているが、事実上の対外行事だ」
「生徒という名目のお客様感覚じゃダメって事ですね」
「授業や教育の一環とは思うな。自衛隊、警察、それらの特殊部隊、非公式部隊、あるいは民間警備会社といった様々な連中が、高い見物料を払って、次代を担う若者としてお前達を品定めに来るというワケだ。特に国防の未来において、お前達は重要な役割を果たす」
「国防とか戦争とか、ぶっちゃけ私、あんまり興味ないですけどね」
 朱芽の反応に、夏子は興味深そうに訊き返す。
「ほうぅ。軍属に興味がないとは【ソーサラー】希望としては珍しいな。理由を聞かせろ」
「だって現在の戦争なんて、魔術の出番なんて大規模【結界】くらいしかないですし」
「確かにそうだな」
 夏子は感心した口振りで、現在における戦争の特徴を黒板に書き始めた。
 対抗戦の説明が中断されて、授業が再開された格好だ。

 二十一世紀における戦争とは、人的被害を可能な限り抑えた、超々ロングレンジ戦である。

 核兵器・化学兵器といった非人道大規模戦略兵器は、国際条約により禁じ手となっており、仮に使用されれば報復戦によって双方の滅亡、そして他国による制裁が必至だ。
 この大規模戦略兵器には攻撃魔術も含まれていて、国際法により【戦略級魔術】と認定されている魔術の使用は、個人判断では不可能だ。仮に独断で使用すれば世界を敵に回す。
 より遠くから、より人を殺さず、より効率的に目的施設のみを破壊する――というのが現代の戦争だ。魔術に頼らずとも、最先端の軍事テクノロジーは一般人の想像の遙か先をいく。
 低コストで撃てるレールガンも近々、実装予定である。砲撃魔術など必要としない超兵器だ。
 夏子は近代兵器の概要を板書していく。
 特に、ミサイルについてのスペックは、現在、アメリア合衆国で極秘開発中の物だった。
 超音速巡航ミサイルで、低弾道での大陸横断が可能だ。監視衛星のカメラによる照準、最適な飛行経路を自律算出・修正・追尾できる。地球の裏側まで超短時間で届き、かつ一メートル四方の的へ精確に着弾させられる――と書かれていた。
「……具体的な数値は、すぐに忘れろよ。外で吹聴すると不幸な事故に見舞われるかもな」
「そのバカ高いであろう税金の塊――新型ミサイルにしたってそうですけど、現代兵器でマンパワーである魔術が直接的に介在できる余地なんて、ほとんど無いじゃないですか」
 朱芽の言葉はもっともである。
 仮にミサイルの弾頭に【魔導機術】を搭載しようとしても、術者を離れて、超遠方へ超音速で飛行する物体に魔力を供給可能な魔術師など存在しえない。人間のスペック的に不可能だ。
「まっさか、カミカゼアタックよろしく弾頭に魔術師を乗せるってワケにもいかないし。そういうのだって、今じゃ国際法で禁止でしょ?」
 国が戦争で自爆攻撃を行う事も、現在の【イグニアス】世界では禁忌だ。
 非人道的な行いや、大量殺戮が許されるのは、技術レヴェルと思想レヴェルが低い旧時代での話である。現代の科学力で大量殺人を発生させてしまえば、その兵器運用において国際的な非難は免れない。大量殺人=無能、有能=ノン・リーサルの時代なのだ。
「ローランドの言う通りに、超高速かつ超遠距離でのピンポイント爆撃が可能な、現代兵器においては、攻撃魔術の出番など無いに等しい」
 ゆえに現代の戦争における【魔導機術】の運用は、索敵と防御【結界】に集中している。
 件の新型ミサイルにしても【結界】と魔術索敵の前には無力なのだ。
 しかし攻撃手段として魔術を戦争に運用しようとすると、国際的な禁じ手である戦略級魔術を除くと、使いどころが皆無である。
 制空権争いにしても、最新の超音速戦闘機とドッグファイト可能な魔術師など存在しない。
 超音速飛行が魔術で可能であっても、超高度でのフライトに人体が耐えられない。
 戦闘機に補助機能としての【魔導機術】は搭載されてはいるが、トップガンと【ソーサラー】を兼任できる乗り手は未だに現れない、というか同時育成が非能率的で、試されてもいない。従って、空戦において【魔導機術】が影響を及ぼす領域はごく限られている。
 根本的にマンパワーであるという欠点を補おうと、超音速や亜光速での飛行系魔術の研究は二十年以上も積み重ねられているが、未だに軍事実用の目処は立っていないのだ。
 仮に、超音速戦闘機とドッグファイトが可能なまでに飛行系魔術を発展させられたとしても、戦争や紛争でその軍用飛行系魔術を使用した兵士が、超音速戦闘機の射撃や、ミサイル、レーザー、レールガン、銃弾などの従来の科学兵器に撃たれてしまっては、国家レヴェルの恥さらしになってしまう。研究者と開発者は歴史に『稀代の大馬鹿者として』名を刻んでしまうのが必至だ。想像するに、あまりに間抜けな光景であろう。単純に飛ぶ事ならば、航空力学でも可能なのだから、魔術で飛行する有用性を発揮できなければ、何の意味もないのだ。
 一般的なイメージとしては、魔術といえば飛行なのだが、空戦において【魔導機術】を実用化するのは、それ程に困難なのである。
 そして、それは制海権――海戦も同様だ。
 すなわち戦争においての【ソーサラー】は、局地戦での白兵戦要員か潜入破壊工作員に過ぎない。一騎当千の白兵戦要員であるが、大局を左右できる決戦兵器などではない。

 ――【魔導機術】という超技術の利権を堂桜財閥がほぼ寡占していて、国際的な軋轢が表向きとはいえ目立っていないのは、技術の根幹がブラックボックスである以上に、現時点での魔術兵器が戦争において決定打たり得ないからである。

「もちろん、魔導技術者によって兵器としての【AMP】も次々と開発、実用化が進められているけどな。将来的には遠距離攻撃兵器としての【AMP】だって登場するだろう」
 夏子が口にした【AMP】には、二通りの意味がある。
 一つは『アクセラレート・マジック・ピース』という単語が正式名称の場合。これは一般の生活における汎用魔術の拡張機器を指す言葉だ。
 そして、もう一方は『アームド・モデリング・パーツ』だ。こちらの名称だと同じ拡張機器であっても、軍事用あるいは戦闘用――すなわち【ソーサラー】の魔導武器となる。
 朱芽が反駁する。
「だけどその【AMP】にしても現実的には歩兵が手にする武器程度のレヴェルだし、攻撃魔法だって、せいぜい一区画を一掃――が人道的にも限界ですよね。戦争における【ソーサラー】の運用にしても、結局はスパイとしての潜入、敵施設の【結界】破壊とかでしょ? それだったら私、警察の鎮圧隊とか用心棒とかで、好きに個人バトルする方が性に合ってますよ」
「軍属よりも用心棒、か? 確かにお前らしいといえば、らしいか」
 夏子は苦笑いする。
 しばらく黙っていた、みみ架が言った。
「けれど、魔術師の【結界】が近代兵器に対する絶対防御である時代が、いつまでも続くなんて保証は無いわよ」
 その言葉に、朱芽が両目を細める。
「ああ……。それって、ひょっとして過日の【パワードスーツ】流出事件で使われた、なんちゃって《結界破りの爆弾》ってヤツ? インチキだったんでしょ、アレ」
 統護は思い出す。
 アリーシアの故郷ともいえる孤児院【光の里】で起こったテロ事件を。
 あの時、世間が震撼した。
 通常の科学兵器によって【結界】が打ち破られた――と思われたからだ。実際には【パワードスーツ】から射出された爆弾に、魔術的なトリックが施されていた、というオチだった。
 ちなみに【パワードスーツ】とは高機動性人型装甲の通称である。【結界】という魔術が幅を利かせている現代の戦闘シーンに革命を起こす為に、新たに開発が進められている陸用小型戦闘機だ。実用性への疑問符は払拭しきれていない、実用化から僅か五年という黎明期の兵器である。
「そういえばさ。あの事件が切っ掛けで、ミミに色んな組織からスカウトがいったって噂だけれど、ミミってまだ一般人? あ、一般人じゃなくなっても言えないか」
 魔術系技能職ウィッチクラフターを希望しているみみ架は、素っ気なくあしらう。
「ノーコメントよ。それから、かなり話題が逸れてしまったけれど、とにかく貴方たちは個人としての強さではなく、他者との連携と将来的に指揮下に入って役割を果たせるかの適性を、今回のスポンサー達に証明しなくてはならないの」
「というか、だ。戦闘系魔術師ソーサラーは我が強い連中が多い。【ソーサラー】になる連中は例外なくガキの頃から独自の魔術理論を開発・研究して、なおかつ実技まで自己流でこなせる規格外ばかりだが、それ故に協調性や連携に欠ける連中が多いという問題もあってだな。だから今回の対抗戦が企画されたんだ。チーム戦が嫌ならば、参加しなくていいぞ。強制じゃない」
 あちこちから、不満と渋々了承したという意味の舌打ちがあがった。
 パンパンと手を叩き、みみ架が場の空気を仕切り直す。
「――さて、と。チーム戦や基本ルールについては、これでもういいわよね。不満ならばエントリーを受け付けません」
「横暴だなぁ。まあ仕方ないか。だったら誰と組もうかなぁ……」
 朱芽は唇を尖らせつつも着席した。
 統護は安堵する。エントリー制ならば、エントリーしなければ自動的に不参加確定だ。
「次にエントリーの手続きと、選考方法の説明に移るわ」
 当然ながらエントリー条件を満たすには、共に戦うパートナーが必要となる。
 そして基本的には、学内の魔術教師と選抜テストとして【魔術模擬戦】を行いパスする必要がある。あるいはテストなしでも生徒によっては自動選出になるという。
 選定基準はあくまで実力のみ。定員は定めていない。他校も含めた全参加チームの出場総数に応じて、予選ブロックの試合形式を調節するという方針との事だ。
 参加する意志のない統護は聞き流していた。
 コツン、と消しゴムの欠片が、机の上に投げ込まれてきた。
 投げ込まれた方向を見ると――朱芽である。
 目が合う。
 朱芽はニンマリと愛想笑いしながら、ちょんちょん、と自分を指さしていた。

 

 

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