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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第3部(第12話)

第一章  ストリート・ステージ 11 ―裏路地の歌い手―

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         11

 平身低頭、というか豪快に深那実が土下座した。
 土下座で油断させてからの不意打ちを用心する統護であったが、深那実は戦う意志はないとハンズアップしながら立ち上がった。
 作られている表情は、卑屈な愛想笑いである。
「いやぁ! さっすが魔術師としても名門の堂桜本家のご子息! 数々の強敵を打ち破ってきたと高名な《デヴァイスクラッシャー》の力っ!! この琴宮深那実の完敗で御座います! 本当に必殺の力ですね! 必ず殺すと書いて必ッ殺ッ!!」
「いや。必殺なんかじゃないから」
 緊張を解いた統護は苦笑する。あまりの深那実の変わり身に、呆れ返る。
 それに《デヴァイスクラッシャー》は必殺どころか、不殺を貫くための力だと統護は思っている。相手を殺して構わないのならば、身体能力でゴリ押しする戦法で勝てるだろう。
「っていうかさ、俺は戦いで相手を殺すつもりはない」
 我が意を得たり、と深那実は貼り付けている笑みの種類を変えた。
「でも私は確実に殺されますよ。言ったでしょう? 何度もヒットマンに狙われているって。魔術を使えなくなった私では、もうヒットマンを撃退できません。やっぱり《デヴァイスクラッシャー》は必殺ですよ。空手でいう『三年殺し』みたいなものですね。私から魔術という術を殺して、必ずヒットマンによって殺させる。ああ、恐ろしや恐ろしや」
 ちなみに『三年殺し』とは、打撃の影響が徐々に身体を蝕み、三年後に死に至らしめるという空手の逸話である。とはいえ真偽は定かではないが。
 ニヤニヤと目尻を下げて統護を見つめる深那実。わざとらしいにも程がある。
 統護は苦虫を噛み潰したような顔になった。
「そんな事いっても、どうせアンタの事だから、違法ルートで入手できるって噂の予備【DVIS】くらいは確保しているんだろう?」
 自分が深那実の立場ならば、予備【DVIS】の一つや二つ、当然ながら用意する。そしてこの狡猾そうな女が用意していないはずがない。
「いえいえ! 滅相もないです。一介のフリージャーナリスト如きが、そんな簡単に予備なんて入手できませんって! 仮にブツを入手できても、堂桜財閥の目を誤魔化して複数アカウント認証とるのも至難の業ですし。なんだったら証拠を見せましょうか!?」
 言い終わると、深那実は服を脱ぎ始めた。
 恥じらいのない大胆な脱ぎっぷりに、統護は仰天する。
「おい! なんのつもりだよ!?」
「素っ裸になるんで身体検査と荷物検査を。それで文字通りに身の潔白を証明しましょう」
「どうしてそうなる!?」
「だって予備だったら常に携帯していないと、イザという時に意味ないでしょう?」
 すでに深那実は下着姿である。色は上下共にピンクであった。
 真っ赤になった統護は視線を逸らし、ギブアップした。
「分かった! 俺の負けでいい。アンタは予備を持っていないでいいから、服を着てくれ!!」
「あれ? なんだ私の裸、見たくないのですか? 隅々までお見せしますよ?」
「勘弁してくれ……」
「意外と初心ですねぇ。ひょとしてDTさんですか?」
「余計なお世話だ!!」
 激闘を経て魔術戦闘で勝利しても、イニシアチブはすっかり深那実に取られている。
 深那実が服を着終わるのを待ってから、統護は会話を再開した。
「とにかく身の安全については、予備【DVIS】がなければ、修理が終わるまで実家に身を寄せればいいんじゃないか?」
「あーー。実家とは縁切っているって言ったじゃないですか。税金等の関係で書類上の住居は実家のままですけどね。実家を危険に晒したくないっていうか、ぶっちゃけあんな堅苦しい家になんて帰りたくないし。私って基本的に取材先でホテルを転々とする根無し草なので」
「実質、住所不定かよ」
「ま、正直にいうと雲隠れ用のセーフハウスは何戸かあるんですが、今は其処に逃げ帰っている場合じゃないので」
 それまで軽薄さを装っていた深那実の双眸が、真剣な光を帯びた。

「――MMフェスタが近いですからね」

 統護の表情も引き締まる。
 やはり目的はMMフェスタ――正式なイベント名称は『堂桜・マジック&マシン・フェスティバル』かと、統護は納得した。
「それで開幕前に栄護に狙われるって、アンタはどんな情報を掴んでいる?」
 統護は真剣な口調で問うが、深那実は台詞の調子を先程の軽薄な感じへと戻した。
「その前にぃ~~、ちゃんと責任、取ってくれます?」
「責任?」
「もちろん私の専用【DVIS】を壊した責任と賠償に決まっているじゃないですか」
「そっちから魔術戦闘ふっかけておいて、何言っているだよ」
「やっぱり私は殺される運命か。恐るべき《デヴァイスクラッシャー》によって。あぁ~~あ、必殺だよ必殺。なにが偉そうに不殺なんだか。口先だけだったとは」
 哀愁を滲ませてうつむく深那実。わざとらしさ全開である。
 統護は盛大にため息をついた。
「ちょっと待っていろ」と、スマートフォンを取り出し、専用回線でルシアに連絡をとる。
 狭い裏通りなので、軌道衛星【ウルティマ】の観測カメラの死角になっている可能性もあると考慮し、この裏通りでの経緯を手短に説明した。
『……つまり琴宮深那実の護衛要員を派遣して欲しい、という要請ですね?』
「話が早くて助かる」
 統護の見立てでは【ブラッディ・キャット】の隊員を三名都合してもらえれば、一人八時間の三交代制で二十四時間、無理なく深那実を護衛できる。
『本日の作戦実施の為、すでに特別予算の計上と特別勤務シフトを敷いておりました。ここから更に変更となりますとスケジュールにかなりの無理が生じます。もちろん緊急時ならば仕方がないと判断いたしますが、このケースはそれに該当しません』
「ええと、要するに、もう人員は割けない?」
『話が早くて助かります。というわけですので、今回はご自分でなんとかしてください』
 すげなく通話を切られてしまった。
 ルシアの性格的に、意地悪で言っているのではなく、完全に事実のみなのだろう。
 深那実が弾む声で囁きかけ、ついでに肩を揉んできた。
「あらあら。どうやら当ては外れた模様ですねぇ、旦那♪」
 統護は軽くムカツク。
「ちっ。どうするか……」
「他人に丸投げだなんて男らしくありませんよ。ここは男らしく今回のMMフェスタが終わるまで、責任をもって私の護衛を務め、ついでに手を組みましょうよ。ご所望の情報だって、時がくれば打ち明けるかも。知りたいでしょ? 知りたいでしょう?」
 統護は思案する。
 淡雪に頼んで、他の護衛を派遣してもらう事自体は可能だろう。しかしその場合は、深那実との縁が完全に切れると考えていい。つまり彼女が握っている情報を得る機会を失う。
「ねえ、堂桜統護。いえ、統護くんと呼ばせてもらおうかしら。ああ、私も深那実で結構よ。統護くんは自分の情報網を持ちたくない? 堂桜経由じゃなくて、正真正銘の君のコネクションによる情報網」
「それにアンタ――いや、深那実さんがなれると?」
 統護の声色が質を変えた。
 深那実の声もシビアかつビジネスライクになる。
「ええ。それに私だって堂桜とのコネと後ろ盾が欲しい。本当は堂桜栄護に持ちかける予定だったんだけれど、これも運命かしらね? どうかしら? お互いに今度のMMフェスタで審査するっていうのは」

 正直いって――魅力的な提案ではあった。

 この異世界【イグニアス】に転生した今の統護は、天才魔術師であった元の統護とは異なり堂桜財閥次期当主の地位を保留されている。立場だけではなく影響力も弱まった。
 暫定的に次期当主となっている妹の淡雪と比較して、というだけではなく、以前は格下だった一族の有力者達よりも、統護というブランドは価値を落として格落ち扱いだ。
 かつての統護が有していた個人的な情報網と資金網も、実質的に本家に接収されていた。
 今の統護が有している最も頼りになる情報網はルシアであったが、間違いなく彼女は自分の従順なメイドなどではなく、彼女なりの意図と目的があって自分に仕えている。
(……二度はないチャンスかもしれない)
 《ワイズワードの導き手》である、みみ架の言葉に従って深那実と出会ったのだ。無意味な筈がないだろう。
 天啓――という単語が脳裏に浮かぶ。
 仮にMMフェスタで何も起こらなければ、深那実の護衛という責任を果たした後、彼女との関係を清算するだけだ。とはいえ、間違いなく何かが起こるのだろうが。おそらくその時になって、深那実との協力関係が必要になる可能性が高い。
 統護は頷いた。
「分かった。俺も今度のMMフェスタで深那実さんを試させてもらう」
「了解。じゃあ、当分の間よろしくね統護くん」
 二人は握手を交わす。
「契約した以上、正直に言ってくれないか? 予備【DVIS】はもういいけれど……、本当は全然本気じゃなかっただろ?」
 格闘技能であるクラウマガはともかくとして、【空】のエレメントを使用した概念魔術――それによる攻撃手段が、直前に記録した業司朗の拳の再生・再現だけというのは、明らかに腑に落ちない。他にも攻撃手段を隠し持っている筈。
 深那実は「やはり気付いていたか」と、双眸を光らせる。
「本気といえば本気よ。あの状況で生死を賭けない戦闘では、あれが私の限界値で晒せる手札の全部。むろん生死を賭けた戦いならば、私の【空】のエレメントはあんな程度じゃないわ」
「そうだろうな」
「勝者は紛れもなく統護くん――君よ。互いに不殺という同条件でね。不殺という制限を外した私の真の本気が知りたいのなら、君も命を賭けて私を殺しにきなさい。その時に再び同条件で戦いましょう。……付け加えるのならば、体術云々じゃなくて、君も奥の手――『本当のチカラ』を隠し持っているってのは、私だって勘づいているわよ」
 だから互いに今はこれで決着にしましょうと、深那実は話を切り上げた。
 統護としても、隠しているチカラについてのやぶ蛇は避けたいので、同意した。
 話題を終わった戦闘から、今後の方針へと切り替える。
「で、滞在先はウチの屋敷でいいか?」
「ううん。客人扱いとか堅苦しいから、私が借りているホテルに一緒に住んで。身体が欲しければご自由にしていいから。ふふふ。実は私って乙女よ? 欲しければ私の純潔を――」
「謹んでお断りだから」
 深那実が未経験でも特に驚きはない。いくら女に餓えていようが、ちょっとでも思考能力の働く男であれば、いくら外見がそれなりで、かつ若くても、こんな胡散臭さそうで、ヤバそうな女には手を出さない。統護も絶対に遠慮したい。
「うっわ、意気地なしね。本当に男なの? そんなんだからDTなのよ」
「それはもういいから」
 うっかり脱DTすると、鬼のような婚約者にナニを切断されてしまう。
 加えて、子を成すと契った運命の相手も激怒するに違いない。
「あ、そうそう。ついでに溜めている料金も支払って。実は払う金なくて、チェックアウトしようにもできなくて困っていたのよ」
「なんてこった」
 集られまくりであった。
 統護は暗澹たる気分になる。早くも深那実とのコンビを後悔し始めていた。
 それから深那実と外泊する事をどうやって淡雪と優季に説明しようか、考えるだけで頭が痛くなる。なによりも今回の件を、絶対にアリーシアに知られてはいけない……
 いくらなんでも未使用でナニとお別れは、絶対に嫌であった。

 

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 統護と深那実はいったん彼女が宿にしているホテルへと戻り、統護が延滞料金を支払ってから、再び千代田区に赴いていた。
 これから少しの間、統護の宿泊先にもなるホテルは、簡素なワンルームであったが、セキュリティと情報管理が厳重で、身の危険が付きまとう深那実が選択したのも納得できた。
 周囲の街並みを照らす陽の光量は、やや陰り始めている。
 もう夕方が近い。
 淡雪と優季は仲良くやっているのだろうか?
「――そうだそうだ。言い忘れてたわ」
 目的地を教えられず、無言で深那実の後に続く統護であったが、不意に彼女が言ってきた。
「何だよ?」
「MMフェスタの入場許可証だけれど。実は取材用も一般客用も都合できなかったの」
「それでどうやって……って、だから栄護にコンタクトを?」
「うん。だから統護くんが二種類のパスを取ってきて。できれば偽名でのもう一セットも用意してもらえると助かるわ」
「分かった。それで俺達って今どこに向かっているんだ?」
「あれ言ってなかった? 取材よ取材。ヤバいネタじゃなくて真っ当な方の」
「真っ当なジャーナリストとしても活動してるんだ」
「その顔からすると、私をヤバいネタ専門とでも思っていたようね」
 わざわざ否定しなかった。実際にそう思っていたので。
 取材だと教えられて、統護には心当たりが一つある。
 本日、この千代田区にて、ニホン中が注目しているビッグイベントが開幕するのだ。
 舞台はニホン武道館。
「分かった。ゆりにゃん、こと榊乃原ユリのライヴだろ」
「残念。外れ」
「なんだ違うのかよ」
「チケット入手できなかったってのもあるけど、仮に手に入れられても、こっちの取材を優先していたと思う」
 後は現場に着けば分かるわと、深那実は取り合わなかった。


 ファミリーレストランで夕食がてらに時間を潰し、二人は人通りが少なくなっている、企業テナントが大半を占めるオフィスビル街を歩いていた。
 表通りではなく、裏通りである。
「……情報じゃ確か今日はこっちの方なんだけど」
 着けば分かるという言葉を信じ、統護はもう何も言わない。
 そろそろ榊乃原ユリの凱旋ライヴが開幕する時刻だ。
 彼女の歌声を思い出す。確かに人を惹き付けるナニかを秘めている歌であった。
「ん? なんだ?」
 人集りができている。
 裏通りの更なる奥の手前――ビルとビルの隙間道の手前である。
 若い男性をメインとした十数人の集団が、ビルの壁に張り付くようにして、その隙間道の奥を窺っていた。あまりに滑稽かつ不自然な光景である。
 疑問に思った統護は、彼等が注視している先を確認しようと――
「こら行くな。見つかる。邪魔っていうか、イベントを台無しにする気?」
 首根っこを深那実に掴まれ、引っ張られた。
「なんだよ」
「ほら。他の人達と同じように、ビルの影から。いい? 見つかったらダメだからね」
 鋭い小声で注意されて統護は人集りの一員になった。
 仕方なく彼等と同じように、そっと覗き込んだ先。
 ビルの隙間に、陽の光はもう届いていない。

 暗がりの中、折り畳み式チェアーに腰掛けて、フォークギターを構えている少女がいる。

 彼女の容姿は、光量不足で距離がある為に、詳細までは見えない。
 格好はラフなパンツスタイル。部屋着といわれても驚かない、飾り気のない格好だ。
 覗き込んでいる人々が、ほんの少しの緊張感と、そして途方もない期待感をもっているのが統護の肌にも感じられる。これはきっと――、そう、昂揚感というやつだ。
 ゴクリ、と誰かが唾を嚥下する音が皮切りとなった。
 一息吸い込み、少女は喉を震わせた。


   思い出して
   アナタは自分の中の闇から目を背けていませんか?
   そして闇を照らす光を忘れていませんか?
   痛みから逃げないで。
   苦しみを怖がらないで。
   喜びの価値は痛みと苦しみと挫折と共に。
   闇を光で覆わないで。偽らないで。誤魔化さないで。裏切らないで。
   嘘という魔に囚われないで。
   どうか心の真実に向き合って。
   光は闇があるからこそ輝きとして存在できるのだから。
   それがきっと愛という在り方の宿命。
   だから誇り胸に戦って。
   戦わなければ負ける事さえ知り得ない。


 透き通ったハイトーンが、裏路地を満たしていく。
 BGMは、少女が奏でるシンプルなギターコードのみである。
 だが、それがかえって彼女の圧倒的な声量と表現力を際立たせている。
 この人集りは、彼女の歌が目当てだったのだ。
 統護は目を見開いた。

 この歌は――光だ

 薄暗い裏路地で、少女が一人で歌っているだけのはずなのに。
 光に満ちて、輝きが溢れている。
 スポットライトのない宵闇の舞台。
 歌い手は無名の少女。
 聴衆は二十人に満たない。拍手も喝采も声援もない。
 ただ純粋に歌が包み込む。
 統護は小さなステージを黄金に輝かせている、奇蹟のような旋律に聴き入っていた。

 

 

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