アニメを斬る!

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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第3部(第11話)

第一章  ストリート・ステージ 10 ―統護VS深那実③―

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         10

 状況はピンチだ。敗北寸前だろう。だが……
 ニィィ――、と自然に笑んでしまうのを、どうにも抑えられない。
(いいぜ。こういう展開、俺は待ち望んでいた)
 過日のテロ事件で無力を痛感し、強くなりたいと思うようになっていたから。
 訓練だけでは不足だ。
 強敵を相手にした実戦経験を重ねないと、強くはなれない――
 深那実は露骨に不愉快な顔になる。
「まだ戦うっていうの? もう勝負あったって思うけれど」
「いいや。まだだ。この程度の攻撃じゃ俺の心を折ることはできないぜ」
「安い挑発ね。ま、いいでしょう……」
 統護はゆっくりと深那実へ歩み寄っていく。
 深那実は四度目の《インパクト・ラヴ》を見舞うが、それでも統護の歩みは止まらない。
 殴られたイメージが残っているので、辛うじて化勁で凌げている。しかし七割程度しか威力を化勁できなかった。
 距離を保つ為、統護の歩調に合わせて慎重に後退する深那実。
 統護は千鳥足である。平衡感覚を失っている。
 決して広いとはいえない、壁と壁の間を頼りなく蛇行していた。
 深那実としては、KO勝ち寸前とはいえ、やはり統護との近接戦は徹底して避ける作戦である。カウンター合戦のような騙し手は二度は使わないのが彼女の身上だ。次は間違いなく打ち負けると踏んでいる。それに、この状況でそんなリスクをとる必要性もない。
 とはいえ、単調な業司朗の拳撃のみでは倒せないと考え始める。
 五度目の魔術攻撃――の前に、深那実は頭上のとある物に気が付いた。
 決定力に欠ける業司朗の拳撃を繰り返すよりも、トドメの一撃となる可能性が高い物だ。
 それは――

 統護が壁から反転する時に掴んだ――鉄柵。

 錆が目立ち、古びている鉄柵は、今にも落下しそうである。
 そして統護はその落下地点へと歩いている。
 真上からの重力加速度に乗った鉄柵が、統護の頭部に直撃すれば――失神するかもしれない。
 仮に失神しなくとも、概念魔術による『再生・再現』でダメージを上乗せすればいい。
 ニヤリ、と笑んだ深那実は、両脇を締めてしっかりとデジタルカメラを構える。
 鉄作が落下して統護に当たるシーンを、カメラに概念として記録するのだ。
 背後の《ラヴリー・パパラッチャー》でも撮影は可能だが、やはりイメージの保存手段としては自身のカメラ撮影には劣る。攻防の最中の瞬間撮影にしか使いたくない。撮影はやはり愛用のカメラが一番だ。《ラヴリー・パパラッチャー》は防御と、そして、鉄柵の落下タイミングと指向を与える為に、牽制も兼ねて待機させる。
 歩みを止め、統護が言った。

「――ああ。ちなみに鉄柵が抜け落ちそうなの、俺も気が付いているから」

 その言葉に、統護に合わせて足を止めた深那実がキョトンとなる。
 統護は待っていた。ひたすら待っていた。深那実が【DVIS】のカメラを手に持つ状態から、両脇を締めてしっかり構える、その時を。
 統護は右手を深那実へと向ける。五指を開いた状態でだ。
 彼女がこの体勢ならば、たとえ意図を悟られても――

 深那実は選択肢を致命的に誤った。

 逆転KOされるリスクを負ってでも、自分から前に出て近接戦でKOを狙うべきだったのだ。
 支払うべきリスクを嫌ったが為に、つい、統護の新ネタを失念してしまった。
 思い出して「あ」という表情になる深那実である――が、生憎ともう遅い。逃がさない。
 統護は魔力球を遠隔転送し、深那実をすっぽりと包み込む。
 深那実は両手でカメラを固定・保持しているので、退避行動が間に合わない。慌てて【DVIS】を魔力コーティングし、統護の魔力からガードしようともがく。
 逆効果だ。その魔力反発現象により、統護は視覚情報と脳内の三次元座標の誤差をアジャストさせた。訓練を重ねた今、この距離ならば造作もない。

 統護は開いている五指を握り込み、向けた右拳によって照準した。

 同調して魔力球が一点へと収束・圧縮される。
 収束した先は――深那実の【DVIS】であった。
「し、しまった……ッ!!」
 きゅゥオぅ。高密度に圧縮された統護の魔力が、深那実の魔力コーティングを突き破る。

「これが俺の《遠隔型Dクラッシャー》だ」

 その台詞と共に、深那実の【DVIS】が小爆発を伴って粉々に砕けた。
 深那実の魔術が消失する。
 ポカンと口を開けたまま呆然となる彼女に、統護は得意げに告げた。
「確かに戦いで大事なのは頭脳と作戦、そして機転だよな。そして、敵を知り己を知れば百戦危うからずっていうのも同意するよ」

 

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 破壊された【DVIS】の残滓が、深那実の足下で微かな煙を上げている。
 音を上げて壊れた【DVIS】と――音もなく消失した魔術。
 場には静寂。
 統護は握りしめていた右拳を緩めて、水平に持ち上げていた腕をおろす。
「さて……と。これで形勢逆転か?」
 相手の魔術を破壊した。いつも通りならば、ここから先は統護の……

 眦を決した深那実が低い姿勢になると、一気に突っ込んでくる。

 暴力的に静寂が破壊された。
 ドン! という足音。
 もの凄い切れ味のステップ・イン。瞬間的とも形容できる速度で、懐に詰めてきたのだ。
 辛うじて反応できた統護は、勘に従って咄嗟にヘッドスリップする。
 ギュンっ! 弾丸めいた深那実の左拳が統護の頬を掠めた。
 迅い。伸びとキレが半端なかった。軌道とタイミングを見極められない。まだ相手のクラウマガに慣れていないのだ。体感した経験のない格闘技をベースとしているパンチが、これ程にも厄介とは。
(つーか、一か八かで勝負を掛けて来やがった!)
 英断である。戦士というより勝負師だ。
 深那実は魔術を忘れて、気持ちを切り替えている。
 やはり恐るべき近接格闘能力だ。安全策できてくれて魔術を破壊できたのは幸運だった。
 逃げはない――というよりも、応じるしかない状況である。
 統護のショート左フック。ヒュゴぅゥ。虚しくミスブローに終わる。空を斬り裂くのみだ。
 深那実は女性としても小柄だ。当然、統護よりもリーチで数段、劣っている。
 統護よりもインサイドから、独特の妙を誇る拳撃が唸りをあげた。
 ダメージで視界が揺れる状態で、なおかつ初体験のクラウマガがベースときている。

 統護は諦めた――見切って防御する事を

 無駄のない小さな動作で躱すのは無理だ。よって逆に無駄に大きな動作で回避しにいく。
 深那実の上半身から目線を切ると両足の位置のみを見る。同時に、大雑把にダッキングからローリングへ繋げて頭部を大きく旋回させた。足の位置から大まかなパンチの軌道を読んで、ダック&ロールしたのである。成功して深那実のパンチを躱した。
 けれど無駄の大きい回避だったので、代価として、切り返しての反撃はできない。
 ぐるん。
 統護は頭の動きを止めずに続ける。ウィービングではない。変則のダック&ロールに繋げた。
 続いてのパンチも避けられた。深那実の足と膝の動きからして、蹴りはこない。
 クラウマガは拳撃主体の格闘技のはず。そして深那実のリーチを考えると、蹴り技は使い勝手が悪い。よって至近距離に潜り込んでのパンチが主体になる。ならば、このまま――
「そんな無駄ばかりの動きで、完全に攻防分離しちゃっているじゃないの」
 怒りと焦りが滲む深那実の台詞。
 頭の動きを先読みされると直撃される。よって更にダック&ロールを変則化させた。
 横8の字を描く軌道へと。
 いわゆる∞の動きだ。大胆に反動を付けて変則のダック&ロールを加速させる。
 次のパンチも巧く躱せた。頭を振りまくった結果だ。半分は運に近い。
「こ、この変則ローリングって――ッ!!」
 深那実が目を見開く。
 古のボクサーが編み出した、近代ボクシングのシフト・ウェイトの原型とも云われる。
 統護が体現している独特のローリング動作は、使い手の名前をとってデンプシー・ロールと呼ばれた防御技術。
 ジャック・デンプシーはこの防御技術を駆使して、パンチを躱しながら相手との距離を詰めていき、最後には左右のフックでKOの山を築き上げた――と伝説されているのだ。
 相手との位置取りさえ間違えなければ、特にカウンター対策に優れている動きである。
「そんな骨董品が、この私にッ」
 統護の変則防御には付き合わず、深那実は後ろに下がりつつ、サイドステップする。
 当然、統護は追い足を利かせて間合いを詰めにいく。∞を描く変則のダック&ロールそのものよりも、相手との距離を強引にでも潰す足の方がデンプシー・ロールでは重要なのだ。
 だが、深那実の足が統護の足を上回る。
 ダメージでステップワークが十全に機能しなかった。
 追い切れずに、デンプシー・ロールができない位置取りをされた――が、計算通りだ。
 ローリングの反動を使っての左フックを打つ。
 反動がついたブローなので、強打者でなくとも当たれば一発KO、仮に非力なパンチでも返しの二発目で確実に仕留められる――という利点もデンプシー・ロールにはある。
 伸び上がる様な軌道で、顔面を狙った。
 深那実が躱す。ポジショニング優先だった為に、カウンターはこなかった。相手に反撃の隙を与えない。そのまま右のショート・アッパーというコンビネーション・ブロー。
 これも避けられた。想定内である。
 無理をせず、リズムを変えてデンプシー・ロールに戻った。
 カウンターを狙ってくる深那実。
 ダック&ロールで統護は躱してみせる。攻撃へ繋がる防御――デンプシー・ロールの本領発揮である。躱したのみならず、ミスブローした深那実とは対照的に、加速していく。
 すかさず統護が位置取りを変えて、深那実に正対した。一瞬の駆け引きだ。
 深那実の足と膝から視線を逃していない。この膝の動きは、次のパンチがくる。
 パンチは一切見ない。もう一度、デンプシー・ロールを回転させた。
 再びのカウンターだ。頭の軌道へ拳が飛んでくる。
 成功して避けた。躱し際、ローリングの反動をつけて、二度目の左フックを狙いにいく。
 ここで統護は視線を下から上にあげる。
 深那実は左フックに反応して、右顔面をガッチリとガードで固めていた。一発、受け止めれば、デンプシー・ロールの継続を遮断できると踏んでのブロッキングだ。
(いけるッ)
 スウェーバックで躱されたのならば、再びデンプシー・ロールに戻るつもりだった。
 けれど、このタイミングならば。
 統護はパンチの軌道を変化させる。一発目とは違い――伸び上がらない。
 裏をかかれた深那実の顔が「ギョっ」と引き攣った。
 低いスウィング――つまり本来の軌道のままで、左フックがボディめがけて火を噴いた。
 ズボぁヴォんン!!
 肝臓を抉る左ボディへのパンチ。すなわち統護の十八番、リバーブローだ。
 爆裂したような着弾音と共に、くの字に折れた深那実の身体が真横にズレていく。
 狙い通りにボディショットを決めた。残りの集中力を振り絞った一撃。今の力加減の感覚では、頭部への打撃は事故の可能性がある。
 最初から深那実の頭を打つつもりはなかったのだ。
 真横に飛ばされた深那実は、そのまま崩れ落ちる様に、四肢を地面に着いた。四つん這いの姿勢のまま、ガクリと項垂れて動かない。丸まった背中が、微かに痙攣していた。
 ダウンだ。
 統護は追撃にはいかず、一息つく。
「これでさっきのダウンの借りは返したぜ。とりあえずイーブンか?」
 むろん格闘技の試合ではないので、ダウンを奪った回数やジャッジによる採点などないが。
 それでもダウンを奪い返して、統護の溜飲が下がったのは事実である。
 だん! だん! と悔しげに地面を右拳で殴りつける深那実。
(チッ。立ってくるな、これは)
 ピンポイントで肝臓をヒットしていれば、拳で地面を叩く余裕などあるはすがない。
 予想通りに、深那実は立ち上がった。
「腹が吹き飛んだと錯覚したわよ。とんでもないリバーブローね、ったく」
 深那実は足にきている。これでフットワークとパンチの威力を同時に殺した。
 けれどダメージ的には、ようやく互角といったところか。
 統護は深那実に確認した。
「どうする? まだ続けるか?」
 精神的負荷が大きい遠隔型の使用で、集中力は限界に達している。加えて二連戦のダメージで視界が揺れる。まだ四肢に力は入るが、もう手加減は難しいかもしれない。
 今のリバーブローで決められなかったのは痛恨だった。
 かといって力を過剰にセーブしては勝てないだろう。次は頭ではなくボディへのパンチでも、手加減をミスすると、内臓破裂で致命傷になる危険性がある。正直、自信がない。
 故に、統護は覚悟を決めた。
 統護は決意している。たとえどんな戦いで、どんな相手であろうとも、相手を殺めないと。
 それがこの異世界で戦う理由の一つでもある。
 元の世界へのアプローチを探すよりも、統護はこの世界での戦いを選択した。
(仕方がない)
 最悪で、この性悪女に秘密を知られてしまうが――仮に彼女が戦闘続行の意志を示すのならば、『奥の手』によって無力化する。その『真のチカラ』の為に、この異世界【イグニアス】に満ちているモノ達へ、堂桜一族の血脈による古からの契約と法令を……
 じゃり。コンクリ上に堆積している粉塵を擦る靴底音が、統護の意識を揺り戻す。
 深那実が足を動かしたのだ。
 ボディが効いている深那実は、額に玉のような汗を浮かべ統護を睨む。
 統護も睨み返す。もうダメージと集中力が限界だ。後どれくらいまともに動けるか。
 深那実はニヤリと不敵な笑みを浮かべ……

「参りましたぁぁあああああッ!! 私の負けで御座います!」

 平身低頭、というか豪快に土下座した。

 

 

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