アニメを斬る!

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魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~ 第3部(第08話)

第一章  ストリート・ステージ 7 ―統護VS業司郎②―

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         7

 次で――ついに三十回目のジャンケンであった。
 もはや原型を留めていない程に顔が腫れ上がり、瞼が塞がり、鼻は潰れ、ほとんどの歯が吹っ飛んでいる業司朗。
 しかし戦いのエクスタシーで、これ以上なく幸せそうだ。
「ったく、あのオルタナティヴといい、テメエといい、どんな身体の構造してんだよ」
 熱心に撮影している深那実も同感であった。
 統護の顔は、ジャンケン開始当時とほとんど変わりない。
 多少、肌が赤みがかっているが、腫れも少なく、鼻も曲がらす、歯も折れていない。
「面の皮の厚さと、歯茎の健康には自信があるんだ」
 そう嘯く統護。
 超人化している肉体の恩恵もあるのだが、実は少々インチキをしていた。
 一発目をまともに許して、これはヤバイと思った。二発目からは、元の世界での堂桜一族に伝承されている業を使って威力を半減させていたのである。
 相手の打撃(グー)から伝達してくる物理エネルギーを、己の体内に蓄積可能な衝撃波(生命エネルギー)――『勁』に転化させる特殊な技法だ。
 むろんバレない様に、もらう打撃エネルギー全てではなく、一部のみを吸収していた。おおよそ二割から三割ほどの威力を『勁』に転化させて誤魔化している。
 スリッピングアウェー等の格闘技の防御技術では業司郎にインチキがバレてしまうので、この技法を使ってみたという次第であった。
 ちなみに現在の統護の力量では、どんな打撃に対しても十全に使える技法ではない。顔面にくると分かって待ち構えているからこそ、どうにか使える難易度の高い業なのだ。
 この技法のお陰で外観上の損傷はゼロに近い。しかしインチキで威力を削減させているとはいえ、何度も強打を食らって脳を揺らされた影響で、ダメージ自体は深刻なレヴェルで受けていた。その証拠に、両膝が微かに笑っている。
 統護の番である。
「じゃあ、そろそろ決めさせてもらうぜ」
 今までは全て利き腕の右で『グー』を出していたが、初めて左手での『グー』を打った。
 軌道は左フックである。
 全体重を拳に乗せて、背中が相手に見える程に、肩を回して振り切った。
 業司朗の頭部が左側へと弾かれ、大きくグラつく。
 それでも業司朗は――倒れなかった。
 確かに下顎を砕いた感触があったのだが、決定打とはならず、統護は動揺する。
(これでもダメかよ。流石に危険だな。これ以上続けると……)
 ――殺しかねない。
 いくらサイバネティクス強化されているとはいえ、業司朗が受けた脳への衝撃は許容範囲を超えているはずだ。死ななくとも、このままではパンチドランカー等の後遺症が残るだろう。
(仕方がないか)
 潮時だと判断する。統護は次の一撃で倒れようと決めた。威力は全て吸収させてもらうが。
 敗北は甘んじて受けよう。命には換えられない。
 深那実の扱いについては、同伴して栄護と交渉するしかない。
「ぉぉおおおおおらぁぁあああああ!! ジャンケン、グゥウーーーーーーッ!」
 絶叫と共に業司朗が右拳をオーバーハンドで振ってきた。
 統護は頭部に炸裂する衝撃を待つ。
 ――が。
 業司朗の拳は、統護の横を通過する。

 上半身が頼りなく泳いだ業司朗は、右拳の勢いに振り回されて、そのまま倒れ込んだ。

 前のめりに転がった業司朗は、起き上がろうとはせず、手足を伸ばして仰向けになった。
 大の字だ。
 天を仰ぐ業司朗は清々しく笑った。
「あ~~。俺様の負けかぁ。ま、面白かったから良しとするぜ」
 その声色からは負け惜しみの色は微塵も窺えず、純粋な充足感のみで満たされている。
 統護は大きく息を吐き、緊張を解いた。
「俺の勝ちだな。約束通りに、ここは引いてくれるか?」
 インチキして悪かったとも思うが、正直いってマトモに取り合ってられない。
「分かっているっての。景色がグニャグニャで、こりゃちとヤベエ状態だ。その女云々じゃなくて、早いところ修理しないとマジで死んじまうっての。ぎゃははははははっ!」
「栄護には俺から話をつけるから、病院に急いだ方がいい」
「叔父貴は気にするな。無理そうなら大人しく手を引けって最初から云われているからな」
 業司朗は緩慢な動きで起き上がると、左右に蛇行しながら裏通りから去った。
 表通りでタクシーでも拾って、そのまま堂桜系列の病院へ直行だろう。とりあえず命に別状はなさそうなので、一安心といったところか。
 実際、統護にも余裕はない。
 下半身がフワフワしている。頭がクラクラしており、気を抜けば倒れてしまいそうである。
「……さて、と」
 統護は琴宮深那実と名乗った女性ジャーナリストへと向き直った。
 何処かで見た記憶のある顔だ、と怪訝に思う。
 深那実はアルティメット・ジャンケンを撮影していたカメラをポーチに仕舞うと、深々と頭を下げた。顔を上げると親しげに話し掛けてくる。
「助かった助かった。ホント、ありがとうございました」
「感謝はいいんだけど、いったいどんな情報を掴んでいるんですか?」
 その内容によって彼女への対応を変えなければならない。
「嫌だなぁ……。そんなの素直に教えるわけないじゃないですか」
「だけど、それだとコトミヤさん、でしたっけ。貴女はこれからも堂桜栄護に狙われ続ける事になるけど」
 名前を口にして、初めて気が付く。ん? コトミヤ? そしてこの顔……
「いえいえ。どうにも齟齬があるみたいですね」
「齟齬?」
 深那実の様子に、統護は警戒し始める。
「だって、その気になれば――乱条業司朗くらいは何とでもできましたし。ただ彼が言った通りに、彼と魔術戦闘すると此処じゃ大騒ぎだったから『交渉していた』だけでして。というか餌を撒いてゲーセンに呼び出していたのは、実は……私の方だったりして」
 ぺろり、と舌を出す深那実。
 統護は思わず後ずさる。
「な!?」
 くそったれ。ある意味、業司朗にも嵌められていた。統護とバトルをしたいが為に、あえて深那実の被害者演技を指摘しなかったのだ。
「乱条業司朗を痛めつけて追っ払ってくれたのは余計なお世話だったけれど、代わりにもっと大物が飛び込んできてくれたから、結果オーライでオッケーかな。だよねぇ?

 ……――『堂桜』統護くん」

 統護は歯軋りする。
 この場では堂桜を名乗らなかった。この女、自分が堂桜だと最初から知っていたのだ。
 むろんジャーナリストで、ある程度の情報網を有していれば、堂桜嫡男の自分の顔と名前を知っていても何ら不思議ではない。業司朗との会話の流れからも、統護が堂桜関係者と類推するのも容易であろう。
 しかし――これまでの状況を総括して考えると、明らかにこの先の展開は。
 統護の焦りを見透かしたように、深那実は両目を細めた。
 完全に獲物を狙う目である。
「そっれじゃあ、遠慮なく独占取材をさせてもらおうっと。ちなみに拒否はできないからね。実力行使でやるので」
 というわけで、と一呼吸置いてから深那実は【ワード】を唱えた。

「――ACT」

 

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 深那実が唱えた言葉は【魔導機術】において【ワード】と定義されている。
 施術者が魔術プログラムを起動させる為に設定されるキーワードであり、その中においても「ACT」は全ての魔術師が共通して使用する基礎単語――起動呪文だ。
 『アクセス・クリエイト・トランスファーメーション』の頭文字を繋げた、このACTという言葉によって【魔導機術】のプロセスがスタートする。
 深那実は薄い長方形の機器を胸ポケットから取り出して、掲げた。
 デジタルカメラである。
 着ているスーツと同じくピンク色が基調である撮影機器のスイッチを人差し指でノックした。
 カシャ! というシャッター音。
 中央の円筒型の溝が回転しながらせり上がり、蓋が左右に割れてスライド。

 奥から解放されたレンズは――赤色に輝く宝玉でもあった。

 この宝玉によって【イグニアス】世界の人間は、その身に秘める魔力を、【魔導機術】と呼ばれる技術機構に認識・通過させる事が可能となる。
 そして宝玉により使用者の魔力と【魔導機術】を繋ぐ機構(リンケージ)を『ダイレクト・ヴィジョン・インジケイター・サポートシステム』と名付け、接続の鍵となる宝玉内蔵の携帯機器を、機構名称の頭文字を繋げて【DVIS】と呼んでいる。
 一般人が持つ汎用の簡易型【DVIS】とは異なり、深那実が手にしているデジカメ型【DVIS】は所有者の専用【DVIS】――すなわち深那実が魔術師であるという証左だ。
 深那実の「ACT」という声紋を認識・解析した【DVIS】は、機器自体をIDとして、遙か天空に在る超高性能・新世代自己進化型の軌道衛星【ウルティマ】へとアクセス、そしてログインする。
 取得しているアカウントの種別は『ノーマルユーザー』だ。

 軌道衛星【ウルティマ】とは、【魔導機術】という技術を統括・管理する堂桜一族の所有物にして――【魔導機術】を人々に供給する演算・相互間転送機構でもある。

 ログインに成功した深那実の意識内に、【ベース・ウィンドウ】が構成・展開される。これは【ウルティマ】と精神接続した者にしか視えない、電脳世界での立体映像だ。
 この高次元世界において、軌道衛星【ウルティマ】と魔術プログラムをフィードバックおよびフィードフォワードさせて、施術者は魔術を現世に顕現する。
 また、この電脳世界の【ベース・ウィンドウ】における魔術オペレーションは、現実世界の時間軸とは異なる高次元の時間軸で行われるのだ
 システム・リンケージを認識した深那実は、自身の魔力総量と意識容量を解放。
 【ウルティマ】に搭載されている超次元量子スーパーコンピュータ――【アルテミス】の演算領域を割り当てられ、深那実は【DVIS】内のRAM領域に記憶させている魔術プログラムを走らせる。この時点で、施術者の意識容量と【DVIS】の記憶領域が、電脳世界内で完全に同一・同調化する。
 魔術師の証は専用【DVIS】のみではない。国家認証の資格でもない。施術者がオリジナルで開発・構築した魔術理論とその実行プログラムこそが――真の証だ。
 深那実の【ベース・ウィンドウ】内に、多数の【アプリケーション・ウィンドウ】が表示され、その窓内に、膨大な数行の数式が上から下へと流れていく。
 これ等は【ウルティマ】の演算によってコンパイルされた魔術プログラムが、深那実へとフィードバックされてきた実行用の数式群だ。【スペル】と呼ばれる文字列であり、【イグニアス】世界の摂理に上書きされる事象の定義式でもある。

 施術者の魔力を源として、本来ならば仮想現実であるイメージを現実世界にエミュレートする【魔導機術】という技術を、この世界の者は『魔の技術』――すなわち魔術と呼ぶ。

「さあ……。シャッターチャンスよ、《ラヴリー・パパラッチャー》」

 起動した深那実のオリジナル魔術が、此の世に事象として顕現する。
 存在係数を得たパワーヴィジョンとして。
 それは――彼女に背後に浮かんでいる、黄色い手袋を嵌めたコミカルな手を生やし、レンズの下に唇が分厚い大きな口がある、巨大なデジタルカメラであった。
『くけけけけけ! いいねぇお兄さん。綺麗に撮るから裸を撮らせてくれない!?』
 ソレは全身を揺らしながら、ケタケタと嗤う。
 レンズ下の大きな口から、べろん、と真っ赤な舌を垂らしながら。

 

 

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 本作品は、暴力・虐め・性犯罪・殺人・不正行為・不義不貞・未成年の喫煙と飲酒といった反社会的行為、および非人道的、非倫理思想を推奨するものではありません。また、本作品に登場する人物・団体などは現実とは無関係のフィクションです。